私の教員生活は東京都がスタートでした。

6年間勤務してから結婚を機に、妻の実家のある埼玉県の教員採用試験を受験しなおし、現在に至ります。

これまでを少し振り返りながら、東京都と埼玉県のちがいに触れてみたいと思います。

※それぞれの自治体で1校ずつ特別支援学校でのしか経験がありませんので、学校によっては異なる部分もあるかもしれません。

●入都式・新任式

初任者は4月1日に勤務校に着任すると、初任者だけで早速初めての出張があります。

東京では入都式、埼玉では新任式と言っています。

どちらも教育長のお話を聞き、初任者の代表が挨拶する(採用試験で成績トップの人?)、都歌や県歌を歌ったりと内容にはそれほど違いはありません。

●期限付任用教員・臨時的任用教員

教員採用試験に不合格であった場合にも教員として勤務することができます。

東京都の場合は正規任用になれなかったとしても、採用試験の成績によって、期限付任用教員として声がかかります。これは1年間常勤(勤務時間・内容は正規任用と同じ)で勤務し、勤務態度が良好であれば次年度は採用試験を多少免除された形で受験できる制度です。

期限付任用教員で声がかからなかった場合は、臨時的任用教員の申し込みを行い、産休代替や育休代替として勤務することができます。


埼玉県は期限付任用教員の制度はありませんが、臨時的任用教員の制度はあります。

年間通じて常勤(勤務時間・内容は正規任用と同じ)で勤務します。臨時的任用教員としての経験に応じて内容が免除された採用試験を受験できるようです。

埼玉は臨時的任用教員数が多いように感じます。(私の勤務する学校は3〜4割くらい。特別支援学校は特に多いと思います。)

中には採用試験を受けていない方もいますし、年配の方もいらっしゃいます。1校には長くても3年までしか勤務することはできません。


※採用試験に合格した教員のことを、東京都では正規任用と言いますが、埼玉県では本採用と呼び方が微妙に違います。

● 全校連絡会・職員会議

所属する全教職員が集まります。東京では全校連絡会、埼玉では職員会議と呼んでいます。

東京都も以前は職員会議と呼ばれていたようですが、私は全校連絡会の経験しかありません。

何が違うかというと、全校連絡会はその名の通り、管理職の指示・連絡やその他分掌等からの連絡のみです。

職員会議はそれに加えて審議事項もあるというところでしょうか。(あくまで私の主観です)

なので、所要時間は職員会議のほうが長い気がします。

● 教員の職階

教員や教師の正しい呼び名は教諭です。一般的に担任をもって授業をする先生のことです。

教諭からスタートしますが、役職によって呼び名が異なります。また、給料表の級数も違います。(級が高いほうが職責もあるため基本給が高い)※1級職は助教諭や実習助手、寄宿舎指導員です。


東京都

教諭(2級) → 主任教諭(3級) → 主幹教諭・指導教諭(4級) → 副校長(5級) → 校長・統括校長(6級)


埼玉県

教諭 (2級)→ 主幹教諭(特2級) → 教頭・副校長(3級) → 校長(4級)


東京都は他の自治体に比べても職階が多いと思います。


埼玉県で勤務するようになって、年配の先生に「東京都の主任教諭って授業しなくて子どもと関わらないんでしょ?」と聞かれたことがあります。いやいや、決してそんなことはなく、主任教諭も担任をもつし、授業も行います。

教諭と違うのは、分掌主任や学年主任などの主任業務は基本的に主任教諭に任されるということです。(学校によっては教諭で主任業務をしている場合もありますが。。。)

主任教諭制度があるおかげで、校内での人事のやりやすさが違うと思います。

つまり、「あなたは主任教諭なんだからこの主任業務をお任せしますよ」と理由を明確に人事を行うことができるということです。


それから、東京都では教務主任は主幹教諭が行っているのですが、埼玉県では教諭が任されているということにびっくりしました。

主要な分掌(教務・生活指導・進路など)の長は基本的に主幹教諭が任されています。

埼玉県の主幹教諭は何をしているのかというと、私の学校の場合ですが、会計処理を基本行っています。(東京都では会計関係はすべて経営企画室が担当)埼玉の場合、主幹教諭の立ち位置がまだ微妙なんだなという印象です。


指導教諭は学校全体の授業や指導の改善を行う中心人物です。

初任者や年次研修での研究授業の参観・助言を行ったり、研修センターで講師を務めたりする立場です。


教頭と副校長の違いですが、学校現場で感じるのは副校長のほうが決裁できる範囲が広いため、起案文書を回覧したときに細かなことは副校長までの印があればすぐ実行することができるというところでしょうか。


東京都の統括校長ですが、これは名誉職です。その違いは特別支援学校の場合、障害種別(知的・肢体・盲・ろう・病弱)が2つ以上の学校の校長は統括校長となっています。例えば、光明学園(旧称:光明特別支援学校)は肢体不自由と病弱のある児童生徒が通う学校ですので、統括校長です。大規模校の校長というイメージでしょうか。

ちなみに、東京都の場合、こうして2つ以上の障害種別を併置する特別支援学校の名前を○○学園としています。私立っぽいですが、東京都立ですので公立です。

● 帰庁報告・復命報告

出張先で直帰をする際には、所属校に電話連絡をして、管理職に直帰してもよいか伺い、許可をもらわなくてはなりません。

その連絡のことを東京都では帰庁報告と言っていましたが、埼玉県では復命報告と言っています。

● TAIMSネットワーク・学校間ネットワーク

教員1人1台、PCが支給されています。このPCを使って校務を処理するわけですが、東京都と埼玉県ではかなり仕様が異なります。どちらも市販の法人向けノートPCであることに変わりはないのですが、ネットワークの範囲が違います。

東京都では、TAIMSネットワーク(Tokyo Advanced Information Management System:東京都高度情報化推進システム)と呼ばれていて、東京都の全職員が同じネットワークにつながったPCを使っています。つまり、行政仕様のPCであって、インターネットやデータの取り出しなどかなり厳しい規制がかかっています。

一方、埼玉県では、行政は県庁LANというネットワークで、県立学校は学校間ネットワークとわかれています。行政系は東京都と同じまではいきませんが、それなりに規制のかかったPCです。学校間ネットワークはかなりゆるく、使いづらさは感じません。そのかわりやりたい放題感があって、管理する側は大変です。

以下名前が違うけど、私には違いがわからないもの↓

● 経営企画室・事務室

東京都では学校にある事務室のことを経営企画室と呼んでいます。

詳しくは分かりませんが、役割はそう変わらないと思います。

経営企画室・事務室の責任者のことは東京も埼玉も室長と呼んでいます。(出身の群馬県では事務長と呼んでいたように思います)


● 教育庁・教育局

いわゆる教育委員会と呼ばれるところ、その自治体の学校を統括している部署です。都庁・県庁内にあります。

東京都は教育庁で埼玉県は教育局です。