220803 浜田
太陽光 廃棄パネルのまとめ
太陽光パネルの適切なリサイクル方法は開発済であり、実際に稼働している
廃棄パネルのリサイクル費用は1枚3000円程度(粉砕・埋当の場合は1枚2000円程度)
現状において処理能力には十分な余裕があり、将来の廃棄パネル増加にも十分対応できる
(前)貴社の太陽光パネル事業について、ご紹介をお願いします。
(浜田)当社では、2040年に最大で太陽光パネルが80万トン排出されるという環境省の見積もりに基づき、太陽光パネルの処理体制を構築してきました。廃棄パネルは事業用ソーラーは同じパネルが大量に出てくるので、別の現場に設置して引き続き利用する「リユース」する場合が多いのですが、住宅用はパネルの枚数が少ないのでリユースが難しく、リサイクル処理する場合が多いです。この東京工場でリサイクルしているのは、半分程度が住宅からの廃棄パネルです。
(前)貴社には先進的なパネルのリサイクル方法があると伺いました
(浜田)当社ではホットナイフという方法で、ガラスと発電シートをキレイに分離する方法を構築しています。実機の運転を通して、作業の実際をご確認ください。
ホットナイフによる使用済み太陽光パネルのリサイクル
(浜田)まず、ジャンクションボックスを外します。
(浜田)次に、パネル4辺のアルミ枠を外します。
(浜田)NEDOプロジェクトでNPCと共同研究した、ホットナイフによる解体装置です。太陽光パネルのガラスと発電シートは強く密着されているので、2つを分離するのは大変なのですが、太陽光パネル装置メーカーと協業することで確実に分離できる方法を新たに開発しました。ホットナイフの部分だけ高温にするので、パネル全面を高温にする方法に比べ、加熱に必要な熱量が少なくて済みます。
(浜田)まずPVパネルの一部分だけ発電シートを切除してナイフを当てる場所を確保した後、そこにナイフを入れガラスと発電シートを分離していきます。 なお、本工場では発電シートの破砕はしていませんが、京都では破砕も行っています。京都工場は作業がより自動化されており、効率化が進んでいます。
分離したガラスは、グラスウールの原料などとしてマテリアルリサイクルされます。発電シートは精錬工場で溶解し、銀などの有用物質を抽出し、その他はスラグとしてセメントなどの原料になります。パソコンやテレビなどの廃棄物と同様に環境基準に従って適切に処理されますので、ハンダに用いられる鉛溶融などの問題もありません。
(前)ホットナイフの特徴を教えてください
(浜田)ガラスと発電シートをキレイに分離できるので、分離したガラスをグラスウールの原料など、ガラスとして再利用できるのが最大の特徴です。ただし、ガラスが割れているパネル、CISなどガラスに素子を蒸着させたパネルは処理できません。
(前)発電シートがクルリと剥かれて、キレイにガラスが分離されてくるのをみて、すごい技術だなと感じました。ガラスは製造時のエネルギー消費やCO2排出量がかなり大きいので、ガラスとしてマテリアルリサイクルできるのは素晴らしいですね。ちなみに、処理コストはどれくらいでしょうか?
1枚あたりの処理費は、約3000円です。通常廃棄(埋め立て)の2000円に比べると若干高いのですが、太陽光を推進されている住宅業者の方は環境意識が高いので、ご負担いただけています。
(前)浜田さんに太陽光パネルを処理してほしい場合は、どうすればよいのでしょうか。
(浜田)当社は廃棄物リサイクル処理業者なので、廃棄を請け負ったハウスメーカーや工務店様が パネルを持ち込んでいただければもちろん処理させていただきます。また当社は廃棄物収集運搬業者でもあるので、ご用命いただければ現地に回収に伺います。
(前)この工場の処理能力はどの程度あるのでしょうか? また現状の稼働状況はどの程度でしょうか?
(浜田)現状で、1日1交代で480枚、1枚15キロとして約7トンのパネルを処理できます。年間なら1800トンくらいです。現状の稼働率は1割以下で十分に余裕があり、廃棄が本格化してきた場合は交代数を増やすことで処理量を増やしていくことは十分可能です。
(前)太陽光パネルを適切にリサイクルする技術が確立していて、将来にわたって処理するキャパシティーも十分に準備されていることが確認できました。ありがとうございました。