220727 長州産業

長州産業株式会社 太陽光パネルの製造および屋根設置に関するヒアリング

取材協力:建築知識ビルダーズ


場所:長州産業本社・工場(山口県山陽小野田市)

参加者:

長州産業:エネルギー機器本部 取締役本部長 早崎様 産業システムビジネス課課長 落合様  本社営業課課長 西村様  施工グループ 山門様  

福岡営業課 髙田様  

エネルギーパス協会 今泉様  エクスナレッジ ビルダーズ編集 中川様 山川様  前(東京大学)

太陽光パネルの製造・屋根設置に関するまとめ

  • 太陽光パネルの大部分はガラス・アルミ・樹脂といったありふれた素材で構成されている

  • セルのシリコンは重量の3%、電極・電線は1%程度 鉛はごくわずかで土壌への溶出基準を満たしている

  • 太陽光発電の価格の大部分は内需であり、輸入部材の割合は小さい

  • 太陽光パネルは適切に施工すれば雨漏りのリスクは極めて少ない メーカーは雨漏り保証も提供している

(長州産業)当社は1980年の成立以降、長年住宅設備を製造販売してきました。太陽熱温水器を扱ってきたことから、屋根載せのノウハウなども蓄積してきました。太陽熱の技術を活用して、太陽光発電の製造販売に発展させてきました。太陽光パネルについても、この工場にて生産を行っています。

長州産業 太陽光発電システム 蓄電システム 

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太陽光パネルの製造について

(長州産業)太陽光パネルは、発電するシリコンからできた「セル」をレイアウトして、ガラス・シートと一体化させて製造します。以前はセルを切り出す前のシリコンの塊(インゴット)も国内で製造していましたが、現在では輸入となっています。

(前)太陽光パネルのメインは、ガラスと樹脂シートとセルなんですね。分解してみると、ガラスが厚くて重たいんですね。

(長州産業)ガラスは3.2ミリ厚のもので、雹などが当っても容易には壊れない頑丈なものです。このガラスが全体重量の6割を占めます。残りの大部分は、アルミ枠と樹脂です。セルの割合は3%、電線や電極の割合は1%です。

(前)ガラスとアルミと樹脂がほとんどというと、これは「ほぼ窓」ですね。太陽光パネルは見た目が独特なのでよほど特殊なものなのかと思いましたが、意外とありふれた材料がほとんどなんですね。

(前)太陽光パネルには有害な物質とかは含まれているのでしょうか?

(長州産業)一部のパネルについてはセレンやカドミウムを含んだものもあるようですが、弊社は単結晶シリコンのパネルのみを製造しているため、セレンやカドミウムは含んでいません。鉛については、質量%で0.3%未満になり土壌への溶出基準0.01mg/lを満たしています。

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(前)太陽光パネルも環境負荷が小さくなるように進化しているということですね。

(前)太陽光発電システムの値段の内、輸入部材の割合を教えてください。容量5kWの太陽光発電システムのお施主さん出し価格が税抜125万円とした場合、日本国内の内需になっている金額はどの程度でしょうか?

(長州産業)弊社では部材は輸入していますが、国内工場でパネルを組み立てていますので、価格の大部分は国内の生産・設置に伴うものです。地域の雇用にも貢献しています。

(前)システム価格の大半は、国内の需要につながっているということですよね。ここのパネル工場もそうだし、設計する人や屋根に載せる職人さんの仕事にもなる。輸入した金額の5倍の内需につながり、さらに発電した電気で輸入燃料が減って日本や地域経済の活性化にもつながる。この大きなメリットを忘れてはもったいないですね。

太陽光パネルの屋根載せについて

(長州産業)当社は太陽熱温水器の製造・販売を30年以上にわたって行ってきた実績があり、屋根載せの工法も確立させています。その自信もあって、業界でも珍しい「雨漏り保証」をお付けしております。

(前)屋根にも色々なものがあると思いますが、どのような施工方法があるのでしょうか。

(長州産業)一番一般的な和瓦については、瓦に穴をあけて野地板にアンカーを固定する「アンカー工法」、支持金具を野地板に固定する「支持金具工法」、一部の瓦を金属製の支持瓦に変える「支持瓦工法」などがあります。

スレート瓦については、瓦に防水パッキンの付いたねじでアンカーを固定する「アンカー工法」、金属屋根についてはつかみ金具工法などがあります。

太陽光発電システム 施工マニュアル『和瓦A「支持瓦」』

(長州産業 スレート瓦 アンカー工法) 太陽光パネル施工風景

(長州産業 ガルバリウム鋼板 アンカー工法) 太陽光パネル施工風景

ソーラーフロンティア つかみ金具 太陽光パネル施工

(長州産業)当社でもっとも実績があるのは和瓦の「アンカー工法」となります。

(前)えっ、瓦に穴をあける方法が一番多いんですか?

(長州産業)支持金具や指示瓦を用いる工法は、瓦に穴をあけないメリットがあるものの、サイズや形が合わない場合があるなどのデメリットがあります。アンカー工法は瓦に開けた穴を何重にも防水しているので、雨漏りを確実に防ぐことができます。上に太陽光パネルが載るので、防水部材に紫外線があたらないので劣化が抑えられるのです。

(前)瓦に穴をあけるから雨漏りしそう、と思い込みで判断してはいけないんですね。

(長州産業)これまで適切に施工した場合で、雨が漏ったケースは一つもありません。施工される方には講習会を都度開催して、しっかり技術を習得していただいています。実は今日も講習が行われているんです。

(前)長い時間をかけて確立された工法と、しっかりした施工技術の確保によって、太陽光パネルの安全安心が確保されていることが理解できました。さらにメーカーの雨漏り保証があるのだから、これから太陽光パネルを載せる人にとっても心強いと思います。