本ユニットでは,光触媒反応のさらなる高度利用の実現を目指します。光触媒とは,特定波長の光を吸収することで触媒作用を示す物質の総称であり,光の照射により通常の触媒プロセスでは困難な化学反応を常温で促進させることが可能です。代表的な光触媒の素材としては酸化チタンが知られており,有機物や細菌の分解といった環境汚染物質の除去をはじめ,様々な場面で応用されています。
一般的に光触媒の反応機構は「半導体モデル」と呼ばれています。具体的には,ある光触媒に自身のバンドギャップ以上の光エネルギーが照射されると,価電子帯の電子が励起されて伝導帯に移ります。こうして伝導帯に電子が上がることで,伝導帯には電子が抜けた正孔ができます。最終的にこれらは光触媒の表面に拡散し他の物質に移行することで化学反応を促進します。
つまり,電子が他の物質に移行すればそれを「還元」,正孔が他の物質に移行すればそれを「酸化」することになります。なお光触媒には他にも,酸化タングステンや酸化タンタルなどが知られています。
なお本ユニットを担当する教員と専門領域に関しては以下の通りです。
研究テーマ:高速液体クロマトグラフィーを用いるアミロイド凝集体の高感度な分離検出、機能性高分子を用いる環境試料中の有害な金属成分の吸着除去
研究テーマ:溶液内および界面の化学的探究、新規分析化学システムの創出
研究テーマ:電気自動車等の電子部品・技術の向上に関する開発研究
本ユニットでは,下記の3つのテーマを通して光触媒の高性能化と光触媒反応機構の解析,さらには光触媒の高機能化を目指します。
テーマ1においては,光触媒へプラズマ処理を行うことで光触媒の反応面積の増大,表面改質,光の吸収波長の広域化を行うことにより光触媒の高性能化,使用用途の拡大を目的とします。
またテーマ2においては,光触媒作用による有害物質の分解・除去の他,光触媒上での分解反応機構や物質の吸着・分配機構の解析などへの利用に向けて,光触媒担持したマイクロリアクターの製作を目的とします。なお本リアクターは,他のテーマで作製した光触媒の評価への応用も視野に入れています。
そしてテーマ3においては,反応物質に対する選択性に乏しい光触媒に高選択性を付与すべく,基質特異性を有する生体触媒・酵素とのハイブリッド化を目指します。これにより,光触媒反応の精密な制御が可能となり,効率的な反応場を構築することが可能となります。
最終的にはこれらの知見を統合することで,光触媒反応の新たな利用価値の発見に繋がることが期待されます。
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