ナノ蛍光体を活用した有機-無機ハイブリッドディスプレイの開発

 ナノ粒子は,可視光を散乱しないサイズであれば,透明な材料中に分散させた場合でも透明性の損失がなく,分散させた透明な材料の付加価値を高めることができるため,様々な研究が進んでいる。その中でもナノ蛍光体は,通常の蛍光体よりも蛍光量子効率を飛躍的に向上できるなど,これまでの蛍光体には見られなかった特性が報告されている。

 このようなナノ蛍光体を透明な高分子材料に分散させ有機-無機ハイブリッド材料とすることで,新たな高機能性材料を開発することを本研究では目的とする。

 具体的には,光の三原色である青・緑・赤をそれぞれ発光するナノ蛍光体を合成し,それらを透明な高分子材料中に均一に分散させることで,透明でありながら,ナノ蛍光体に適した励起光を照射することで,光の三原色を利用した様々な色に発光する機能性材料を開発する。

 利用用途としては,普段はその透明性を活かしてガラスの様に使用し,イベントなどの際,ナノ蛍光体を発光させるための励起光を細かいポイントに多数照射できる装置を取り付けることで,ディスプレイとして利用することを用途の一つとして考えている。

 そのための研究分担として,分散させるナノ蛍光体の合成およびハイブリッド材料の性能評価,高分子材料とナノ蛍光体のハイブリッド化,ハイブリッド材料の機械的性質の検証の3つを設定した。

 分散させるナノ蛍光体の合成およびハイブリッド材料の性能評価では,必要な色を発するナノ蛍光体の合成条件を過去の文献を基に検討する他,そのナノ蛍光体そのものおよびハイブリッド材料での蛍光特性の検討を担う。

 高分子材料とナノ蛍光体のハイブリッド化では,透明な高分子材料の選定やナノ蛍光体の均一分散のための最適条件の検討などを担う。

 ハイブリッド材料の機械的性質の検証では,ハイブリッド材料の様々な場面での利用を想定した際の機械的強度やディスプレイとして利用するために必要な装置の検討などを担う。

 健太郎助教・博士(工学))

研究テーマ:機能性無機材料に関する研究 

南澤 宏明(教授・博士(工学))

研究テーマ:新規な環境中の微量金属イオンの定量法、固相抽出法による金属イオンの分離濃縮、未利用資源の有効利用、環境中の有害物質の除去 

松本 真和(教授・博士(工学))

研究テーマ:海水溶存資源の回収と結晶材料への転換、気-液界面反応場を用いた晶析技術の開発、酸素種ラジカルの生成促進と難分解性有機物の分解

平林 明子(専任講師・博士(工学))

研究テーマ:複合材料の成形、高温特性、クリープ特性 

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