”じょこ”は英語を中学校から勉強していますが、まだまだ自信がありません。とくに話すのが苦手。”まゆみ先生”はそんな学生をどう見ているのか、弱点の克服のためにどんなことができるのか?アドバイスをもらうことに。
じょこ:
まゆみ先生は英語の先生だったから、そういう意味では、留学前から自分の英語力に自信があったという感じなんですか?
まゆみ先生:
留学前、リスニングが全然だめだったんですよ。スピーキングもとくに勉強していなかったし。How are you?が聞こえなくてショック受けたりとか。音で聴くと全然違ってわからなかったんですよね。
さき:
でもそれって逆に言うと、スピーキング以外の面ではそれなりに留学先の授業についていけたってことですよね。まゆみ先生は日本で学校の授業をちゃんと受けてきて、それで英語の先生になれたし、留学先の授業も受けられた。
まゆみ先生:
そうそう。日本ではネイティブの先生が常にいるわけでもないし、学校の授業で常に英語が使われてるわけでもないからね。でもだからこそ、読むのと書くのと文法はちゃんと勉強したかなあ。それは日本でできることだし。日本人の先生に教わってできることなので。
じょこ:
なるほど。
まゆみ先生:
だから留学先で、ライティングの授業は褒められました。文法が良くできるねって。私が出会った中での話になってしまいますが、中国の友達は、あなたはよくスピーキングができるねって褒められてて。だからやっぱり教育のその国の特徴が出るのかなぁと感じました。アジアの中だと、韓国の友達が、喋れるし書けるし文法もきれいで一番バランスがよくてすごいなぁと思いました。あくまで私の出会った方たちの中でですけどね。
なな:
奈良女の学生の特徴っていうのもあります?
まゆみ先生:
奈良女の学生さんは文法ばっちり、リーディングもばっちり、ライティングもいけるんですけど、…喋らないですよね。スピーキングが苦手だと思いこんでいる節もありますね。リスニングもなかなかの力をお持ちなんですよ!私が学部生のときよりも、リスニングを学校でやってるから、力がある。ネックになるのはやっぱりスピーキングですよね。私が教えている授業でも、すごくしっかり意見を持って、書いてくるんですけど、それをキレイに言わなきゃって思いすぎてるところがあって。考えすぎるんでしょうね。なんでも思ったように単語でも言えばいいんだけど、文章にならないといけないのかなって思ってしまって。そういう弱点はあると思います。ただ、文法力・リーディング・ライティングは素晴らしい。是非喋って欲しいですね。
さき:
私もスピーキングが4技能の中では一番苦労したかなあ。そういえば全然英語できないときに、親の知り合いの子どもと喋ってて、恐竜の絵を描いてたときに、これはダイナソーって言ったら、dinosaurって言うんだよって言われて。それは印象に残ってます。テストで必要とされないから、勉強法とかもアンテナをはってなかったんですよね。実際どうやってできるか考えたときに迷いました。
なな:
スピーキング力を上げるためのおすすめの勉強法や練習法はありますか?
まゆみ先生:
難しいですねえ、独り言を英語で言うっていうのは留学中はやってましたけどね。あと、声に出してとにかく読むこと?テキストでも何でもいいので。
じょこ:
その、独り言を英語で喋るのは、単語で思いついたのをつぶやいたほうがいいんですか?それとも、文章を組み立てて言うのがいいんですか?
まゆみ先生:
単語をぱって言うんですよ。で、あー今のはもうちょっとキレイに言えないかなって考えてみて、それで文にしようとする、みたいな。そういうのの繰り返しでやってました。
じょこ:
じゃあとりあえずはぱっと出てくる単語を。
まゆみ先生:
そうそうそう。
さき:
あと日本語でちょっと自分が興味ある分野になってくると、もうベラベラ止まらないぐらい、喋れるから。日本語で喋れる分野をやってみると、出しやすいよ。
まゆみ先生:
そうそう、自分の専門のこととか、好きな漫画のこととか、家族のこととか。大好きな姪っ子のこととか、溢れんばかりの情熱があるから。どうやってこの可愛さを伝えるべきか、みたいな。そういうのをブツブツやってましたね。
さき:
好きとは逆に、嫌いなものでもいいかも。そういえば、この間、家にゴキブリが出たことが嫌すぎて誰かに喋りたくて英語で1時間ぐらい喋ってました。日本語でもゴキブリで話し始めると止まらないんですよ。
じょこ:
それって面白そう!
なな:
あ、英語で日記つけたりするのはどうなんですか?
まゆみ先生:
向こうではちょっとやってましたね。だけど書くのはね、考えつつになるのでおそらくスピーキングよりはできるんですよ。スピーキングは瞬発力だから、特に訓練と練習が必要になりますね。
なな:
スピーキング力って、いったん身についてもそれを維持するのが難しいですよね。努力しないとすぐ落ちちゃう気がします。
じょこ:
そうなんだ…どうやって維持してるんですか?
まゆみ先生:
スピーキング力を維持するのに帰国後も努力しないといけない、というのは、実は今も課題として残っていることなんです。どうしても日本にいると話す機会が限られてしまうので。ニュースを聞いて、聞こえたフレーズを自分で口に出して言ってみたり、英文の音読をして英語のリズムを忘れないようにしようとしているぐらいでしょうかね。
さき:
英語を話さなくてもいい環境のなかでも、できることはあるってことですよね。
じょこ:
話す相手がいないなら文字や文章が理解できれば十分なのかなと思ってたけど、そういう環境でも、やっぱり声に出すって大事なことなんですね。