MHB各種言語教育SIG
第2回茶話会 2022年7月3日
どのような集まりか
(部会世話役・湯川先生からのメッセージより)
茶話会を行いたいと思います。名前の通り会員どうしのざっくばらんな懇談会です。お気軽にお時間の許す範囲でご参加ください。
茶話会といっても話のきっかけある方がよいので、最初20―30分程度でひとつ話題提供を用意しています。
日時・申込方法
2022年7月3日17:00〜18:20(日本標準時)
オンライン開催(Zoomミーティング使用、Zoom ID等は、開催3日前くらいに参加者申込者に連絡します)
〈終了しました〉
話題
(部会世話役・湯川先生からのメッセージより)
今回もひきつづきマルチリンガルの視点をアセスメントにも取り入れることについての以下の論文の要約を用意しています。
Fauve De Backer, Stef Slembrouck & Piet Van Avermaet (2019) Assessment accommodations for multilingual learners: pupils’ perceptions of fairness, Journal of Multilingual and Multicultural Development, 40:9, 833-846, DOI: 10.1080/01434632.2019.1571596
ご一緒に考えたり情報交換ができればと思います。
実施報告
第2回茶話会を行った。大変活発な議論ができ有意義な時間となった(参加者6名)。
(1)まずreading当番からDe Backer他(2019)の論文の要約を問題提起として提示。
〇Testが学校教育の言語にまだ精通していない多言語話者の学習者に対し、以下の問題を避けるために、公平な機会確保のための評価方法が必要
• 持っている実際の能力を発揮できない
• 成績の低下
• より低いレベルのカリキュラムに割り当てられる
• 卒業率の低下
• 特別支援教育へのすすめ
• 退学リスクの高まり
〇具体的なaccommodationの方法としては
バイリンガルテスト
言語の変更
時間の延長
辞書の使用
用語集
口頭でのテスト (Abedi, Hofstetter, and Lord 2004)
〇本研究は、オランダ語を母語としない児童が60%以上在籍する小学校(103校)から同意を得た35校が参加。1校1名の研究参加者
主な質問
どのクラスメートがどのような状況下で配慮されるべきか?
あなたは配慮されるべきか、なぜか?
具体的な状況を設定した質問
〇結果 児童のうけとめはおおむね寛大。しかし全国統一テストがない文化が関係?
〇結論 「Accommodation」を超えていく(AAAL conference, 2014, Menken and Shohamy 2015)
そのようなラベルは本当に必要か?
多言語評価が新しい規範となり、言語がもはや排除のメカニズムとして機能しない評価方法は?
(2)意見交換で出た論点の主なもの:
・大学入学共通テストの英語以外の外国語テストのレベルや内容の妥当性の問題
そもそも異なる外国語間で、受験人口の数やタイプが異なる(たとえば中国語受験者に継承語話者が多いなど)のに平均点が同じにならねばならないとする前提がテストの妥当性や目的と整合していないのではないかという点
・上のDe Backer et al. (2019)の研究が実施された社会的背景は日本の場合と大きく異なる。社会背景が統一テストでの競争を強いられるような場合には、生徒の聞き取り結果が異なってくる可能性
・大学入試で外国語のテストでさえも日本語力がないと解答できない形で出題されているのは、大学へ入ってからの教授言語の体制と連動してくるという現実
・学校教育の中での先生の評価(内申書)の扱いについて、日本の学校、IB,イギリスのAレベルなど、システムについての違い
・このような「配慮」の結果多言語話者の成績がどの程度よくなるかによって同級生の受け止めの違いが生まれる可能性
・日本にもThe Seal of Biliteracyのような認定・表彰制度を導入?
次回もマルチリンガルの視点を取り入れたアセスメントのテーマを継続する。
11月6日 17時より80分間 読み物は未定