瀬戸内海沿岸を北上する過程で「公園などで野営をする」というのは、少々無謀な行為です。この日は、今治市から瀬戸内海を渡るための最後の島となる生口島(宿泊地=休憩所)を出発。尾道へ渡るため、因島から最後となる向島にある「向島運航」桟橋を目指してひたすら走りました。
無事、向島につくと目的の渡船で尾道に到着。ここから倉敷を目指してひたすら走りました。
本来は、生口島(宿泊地=休憩所)を出発すると瀬戸大橋スパリゾート(ホテル&健康ランド・24時間営業)手前にある別の健康ランドで宿泊するはずでした。ところが、目的地に着くとそこは更地になっていて何もない状態でした。腰が抜けた感じに陥ったものです。
地図上では確認できているはずの建物(健康ランド)でも、いざその場所に着くと何もないことがこれまでもありました。なので、地図表示を100%信じてその場所を目指すと、とんでもないことになります。
正にこの日がそうでした。「やっと目的地に着いた」と思ってもその建物がないのです。全身虚脱感に襲われた感じになります。つまり、更に別の場所を探して前進する必要があるからです。自転車で知らない夜道を走るのは、不安になるだけではなく事故のリスクが伴うので非常に危険です。飲酒運転者もいてるはずですから。それでも、寝床(お手洗いのある所)を確保するためには、暗くなることを承知の上で一歩前進するしか選択の余地がありません。
辛い選択でしたが、少し先に進むと瀬戸大橋スパリゾート(ホテル&健康ランド・24時間営業)のあることが地図上で確認できましたので、そこを目指して走りました。
走行途中、地元在住の女性との嬉しい出会いがありました。この方がまた親切な方でした。私の進路を先回りして待ってくれてたうえに、差し入れまで頂きました。このことが2回ありました。本当に親切なご厚意を頂きました。感謝の気持ちでいっぱいです。
健康ランドに着いたときは、もう真っ暗になっていました。知らない街の夜を走るのは、すごく不安なものです。だって、目的地と自身の位置関係が把握できなくて、手探り状態で走行しているわけですから。まぁ、このような条件のもとでもなんとか健康ランド(兼ホテル)に着くことができました(写真)。
健康ランドに着けば、風呂でゆっくりしようと思い、その前に少しロビーの椅子に腰を掛けて翌日の走行ルートを確認していると、私の座っている向かいのソファーに私よりも年配で商売をされている男性がやってきて、腰を下ろしました。すると、このあと彼と随分話が弾みました。とにかく長話になりましたね。私が「朝が早いので、それではこれで失礼します」とお別れを告げたのが23時を過ぎていました。彼自身も時計を見て驚いていましたから。お風呂に入ったのがこの後になってでした。
健康ランドに関しては、いくら地図上で表示されていたとしても閉館のケースが他でもありましたので十分注意しておくべきです。できれば事前に確認をしておくことが最善でしょう。
苦労しながらも尾道市へ着くと、倉敷市にある「瀬戸大橋スパリゾート(ホテル&健康ランド・24時間営業)」で泊ることが出来ました。
この日の天気予報は、「深夜から雨が降りだし、朝まで雨が残ります」の予報どおりになっていました。起床して外を覗くと、まだ雨が降っています。
ところで、朝起きるとホテル玄関前にパトカーが横付けになっていました。聞こえてきた話から、なんでも男性が女性に触れたとか、による大騒動でした。でも、このようなところで、なんでそのようなことが起こるのかな~ぁ?
どうやら晴天になるのは間違いなさそうです。そのことを前提として、とにかく雨の上がるのを待ちました。そのため、この日の出発時間がかなり遅れて8時を過ぎていたように思います。
さて、この日辿りつき泊ったのは、兵庫県相生市にある「道の駅あいおい白龍城」でした。
道の駅へ着いた時は、ライトがなくては走れないほど真っ暗闇になっていました。できれば、もう少し手前にある道の駅に立ち寄ることを前提にしての走行でした。ですから計画どおりに進むことが出来ていれば、本来であれば明るい時間帯に着いていたはずです。
倉敷を出てからは国道430線を通ると、途中から30号線へと進みました。この後、本線の国道2号線に入りました。ここで、岡山市街から岡山ブルーラインを走ると沿道に道の駅が二か所ありますので、本来であればいずれかの道の駅で泊る予定でした。
ところが国道2号線がバイパスになっていたので、自転車で本線を走ることはできません。バイパスに沿いブルーラインへ入ることすらできないのです。
このようなややこしいところでは、歩行者用の親切な標識があれば、目的の道の駅へ行くことが出来るはずです。とても歯がゆい思いをしたものです。
それにしても、バイパスのある道路は、自転車で走る者にとって凄く面倒。
仕方がありません、走行ルートの変更です。まず泊る場所を相生市にある「道の駅あいおい白龍城」に変更しました。次に瀬戸市内を通るブルーライン及び別のルートで走ることを諦めて、そのまま国道2号線から250号線を通り相生市街を目指すことにしたのです。
ルート変更をしながらも、とにかく目的の場所に着くことが出来ました。でも、相生市の駅前に着いたときは、この日もすでに真っ暗になっていました。このあと、更に駅から海岸の傍にあるはずの道の駅を目指して進みました。
「道の駅あいおい白龍城」には温泉施設に加えて道の駅の向かいには、スーパーやマクド、それにコインランドリーまでありましたので、旅人には至れり尽くせりの場所でした。ここに着くには苦労しました。でも、なんだか苦労も一気に報われた感じがしたものです。
到着の後は、まずお風呂に入り、それからコインランドリーで洗濯を済ませました。すべてが終ると、やっと寝ることができました。
写真は、私が寝床にした場所です。いつもの要領で新聞紙を敷くとその上にテントの下に敷くためのグランドシートを広げると、後はその上で寝袋に入って寝ます。この夜は、お風呂から外に出てみると、関東ナンバーのライダーがテントで寝ていました。
ここへ至るまでのルートはバイパスですから自転車は走れません。ただ、側道がありますので、国道を走るよりは、確かに比較的安全に走ることができます。ただし、側道ですが、途中で降ろされて迂回させられることが度々ありました。降りるりるのは構造上、止む終えませんが、問題はそのあとです。その後、どちらに進めば良いのかの標識がないために、随分判断に迷うこともありました。弱者切り捨ての日本の道路事情を実感したものです。
この日は、「道の駅あいおい白龍城」を6時45分に出発しました。目指す場所は、明石市にあるフェリーターミナル(タコフェリー)です。さすがに兵庫圏内に入ると車の往来が激しいので、ひと時も気を緩めることができません。そのような緊張感を持ちながら明石市フェリーターミナルに着いたのが乗船までには十分余裕のある時間帯でした。
なんといっても、明るい時間までに淡路島(岩屋港)に着く目処がついたことが嬉しかったものです。
さて、この日は土曜日であることも含めて、また、タコフェリーが15日で就航が終わりでしたので、とにかく大勢のお客さんで賑わっていました。自転車や自動二輪車・乗用車等・・・、それはすごかったですね。ただ15日でこの航路が終わる運命であることを知ったのは淡路島へ渡った、夜のことでした。
淡路島(岩屋港)へ上陸すると、この夜泊るべき「道の駅東浦ターミナルパーク」を目指して時計回りで走りました。この道の駅へ来る途中ですが数年前に開催された花博会場跡地の前を走り抜けることができました。その時、この地を訪れているので二度目になります。当時の花博の賑わいが蘇ったものです。
「道の駅東浦ターミナルパーク」の敷地内には、その名のとおり「バスターミナル」があり、そこを拠点として高速バスが運行されています。なので、タコフェリーの乗客が減少するのは当たり前です。利便性を追い求めると、その一方で、失うものもあるわけです。その答えがフェリーの廃船です。これも宿命です。
道の駅に着くと間もなくしてからでしたが、弟からの連絡でタコフェリーが15日で終わることを知りました。明日の周回を諦めて帰路につく必要がある、と一瞬、考えたものです。でも他のルートのあることも分かりましたので、とりあえずは予定どおり周回することにしました。
夜になると、道の駅駐車場には、淡路島を観光する方たちの乗用車やキャンピングカーが駐車場に数台止っていました。
寝る方法ですが、ご覧のようにテントがありませんので、道の駅の軒下にある広い廊下の隅っこで、写真のような状態で寝ました。長椅子のない時は、いつも、あのスタイルで寝ていました。
淡路島も南側にあたる紀伊水道側(和歌山県)と鳴門海峡側(徳島県側)については、かなり厳しい起伏の道がありますので、大変です。ただし、大阪湾側にあたる東側と西側にたる瀬戸内海沿岸の道は平坦で、とても走りやすい道路です。ただし、西側の路面は、心持、道路継ぎ目に傷みが見られますのでロードバイクでの走行は注意が必要です。
私が走った土・日曜日は、多数の自転車が走り抜けていました。普段の土・日曜日でもこれほどの自転車が走っているのでしょうか。いや、恐らくたこフェリーの廃船に関係があるように思いました。
周回を終えてフェリーターミナルの手前にある「道の駅あわじ」(写真、橋の傍)へ着いたときは薄暗くなりかけていました。到着と同時にフェリー乗り場の確認をしておきました。明日一番の船に乗船予定なので間違いの起らないようにしておくためでした。
この後、道の駅で寝るための場所を確認をすると、少し離れの中腹に「松帆の郷(温泉)」がありますので、そこに直行しました。このお風呂の露天風呂からの眺望がまた抜群で、写真の明石大橋に灯さる夜間ライトアップの夜景をつぶさに見詰めることができます。その眺めは抜群です。是非一度ここの露天風呂から明石大橋の眺めを堪能してほしいものです。
夜は、橋のたもとにある「道の駅あわじ」の軒先にある長椅子で就寝しました。
この朝は5時発の第一便のたこフェリーに乗船する予定でした。それに合わせて起床するつもりが、なんと寝過ごしてしまい、目覚めたのが4時15分でした。すごくびっくりしました。洗顔もしないで急いで荷造りをしてフェリーターミナルへ急ぎました。辛うじて間に合いました。
乗船上に着くと、この日がたこフェリー最後となる可能性が強いので、取材の方も来ていました。
船は予定どおりに出船。船内で早い朝食のパンを食べました。私の場合は、たこフェリーを使うことがありませんので廃船になるとしても、なんら痛手を負う訳でもありません。が、お仕事に携わっておられる方や利用者にとっては、かなりショックが強いだろうなぁ・・・と考え込んだものです。
明石ターミナルへ着くと岸壁から見る街並みは、まだ暗かったものです。これから走る国道2号線は、神戸&大阪市内を結ぶ幹線道路なので、交通量は中途半端ではありません。その道を一路、大阪を目指して走り抜けました。なお、激しい交通量なので、安全を前提に考えると歩道を走るべきですが、歩道はデコボコがあるこでパンクのリスクが伴います。すると低速走行になるので走行距離も思うように稼ぐことができませんので、危険を覚悟のうえで一般車線を走り抜きました。
このルート、大阪までの交通量は溢れるばかりの走行車両でした。
ま、それでも、のらりくらりしながらも、写真の大阪・御堂筋に着いたのがちょうど正午でした。
御堂筋を抜けると、大阪&和歌山市を結ぶ国道26号線を通り、一路我が家を目指して地元近くに着いたのが午後3時頃になっていました。
写真は、御堂筋のイチョウ並木です。この道は、素晴らしい通りですよ。大阪を訪問された時は、是非立ち寄ってほしいものです。