私たちは1995年よりインターネット上の読解支援システムの研究を始め,1997年に川村よし子先生(東京国際大学),保原麗さんとともにリーディング・チュウ太を公開しました.その後,リーディング・チュウ太は世界中の日本語教育の現場で利用され,やさしい日本語を書くツールとしても用いられてきました.このページでは当研究室にて開発した関連のツールをご紹介します.
リーディング・チュウ太の開発,運用を一緒に進めてきた,川村よし子先生(東京国際大学)が2020年度日本語教育学会学会賞を受賞されました.
インターネット上で無料で利用できる日本語教育支援システムです.日本語のテキストを入力すると,単語に分割し,それらに辞書情報をリンクしたり,難易度を判定したりすることができます.1997年より公開を始め,20年以上に渡って世界中の皆様にご利用いただいています.
「リーディング・チュウ太」という名称は "Reading Tutor" に由来しています.チュウ太のイラストを描いてくださったのは,川村先生の娘さんです.
リーディング・チュウ太は筑波大学に移設され継続することになりました.関係者の皆様のご尽力に感謝します.
当初はなかなか利用してもらえず苦労しましたが,その後のインターネットの拡大によってようやく日本語教師の皆さまにも受け入れられ,欠かせないツールになりました.1997年の日本のインターネットの状況を考えれば,このシステムを1997年に公開したことはもっと評価されてよいと思っています.
2021年にリーディング・チュウ太の閉鎖がアナウンスされた際,語彙チェッカー(旧日本語能力試験の出題基準に基づいて単語のレベルを判定するシステム)は残してほしいとのご要望を多くいただきました.そこで,語彙チェッカーと同様の機能を持つシステムを公開しました.
リーディング・チュウ太の運用が筑波大学にて継続されたことから,2021年末をもってこのサービスは停止しました.
文章中の単語や表現をスリーエーネットワークの「みんなの日本語」の何課で扱うかを判定するシステムです.複数の単語から成る表現も判定できるようになっています.
みんなちぇっかー(仮)は2021年末をもって6年間に渡る運用を終了しました.詳しくは以下の論文をご参照ください.
中野光, 北村達也, 教科書における語彙の初出課を判定するシステム, 日本語教育方法研究会誌, 22, 1, 68-69 (2015).
語彙チェッカーを用いてやさしい日本語を書く作業をもっと直感的な操作で行いたい.そんな要望を実現したシステムです.文章編集エリアの単語がレベルごとに色分け表示され,直接編集できます.このエディタはレベルチェッカーWebAPIとJavaScriptを用いて実装され,高速な処理を実現しました.また,同様の機能を持つiOSアプリも試作しました.
このシステムの公開は2021年8月末をもって終了しました.詳しくは以下の論文をご参照ください.
北村達也, 粟井彗太, 単語レベル判定WebAPIおよびスマートフォン対応アプリの開発, CASTEL/J 2021 (2021).
単語のレベルをチェックしながら文章を作成するというコンセプトを最初(2015年)に実現したソフトウェアです.かぶとエディタはJavaで開発され,OSによらず動作しました.このコンセプトは,上記のレベル判定機能付きエディタに引き継がれています.
かぶとエディタの開発および公開は終了しています.詳しくは以下の論文をご参照ください.
北村達也, 単語リストに基づく単語分類機能をもつテキストエディタ, 日本語学, 8月号, 80-87 (2015).
北村達也, 孝橋一希, 文難易度の調整を支援するシステム「かぶとエディタ」の連語対応, 日本語教育方法研究会, 22, 2, 20-21 (2015).
北村達也, 住田真一, 孝橋一希, 文難易度の調整を支援するシステム「かぶとエディタ」, 日本語教育方法研究会誌, 22, 1, 14-15 (2015).
謝辞 一連の研究はJSPS科研費,日教弘本部奨励金などの支援を受けて行われました.