バイノーラルマイクは左右の耳の穴の位置で音を録音できるようにする装置です.バイノーラルマイクを使うと立体的な音を録音できます.100円ショップのイヤホンと1個20円のマイクで簡単にバイノーラルマイクを作る方法を紹介します.
音像定位とは耳に届く音からその方向や距離を知り,その音の”像”を知覚することです.私たちが音像を定位するときには,左右の耳に届く音の時間差と大きさの差,頭や耳介で音が反射することによる音の変化の情報を利用しています.バイノーラルマイクはこれらの情報を含めて録音できます.
動画を作りました.参考にしてください.
100円ショップのイヤホン
マイク (C9767) 2個 秋月電子にて購入できる
ハンダごて
ペンチ
ICレコーダー
(1) シリコンのカバーを外す (下左図)
(2) プラスチックのカバーを外す (下右図):ペンチではさんで何度もつぶすようにすると外れます.辛抱強くやってください.
(3) スピーカーを引き出す (下左図)
(4) スピーカーを外す (下右図)
(5) マイクをハンダ付けする:マイクにはプラス極とマイナス極があります.マイクの外側のカプセルと3本の線でつながっている方がマイナスです.左右のイヤホンには2本ずつ電線が入っています.銅色の電線をマイナスに,青の電線をプラスにハンダ付けしてください.1人でやるのは難しいので手伝ってもらってください.
(6) マイクをイヤホンに入れる:木工用ボンドなどで固定すると外れなくなります.
これで完成です.ICレコーダーのマイク端子につないで録音してみてください.
グランフロント大阪The Labにて開催されている大学都市KOBE!発信プロジェクトでの甲南大学担当期間に,上のバイノーラルマイクで収録した音を展示しました.展示したのは,甲子園球場のスタンド,阪神鉄道の駅,王子動物園など兵庫県内の施設で収録したバイノーラル音です.
長期間の展示であるため研究室のスタッフが毎日現地に常駐することはできません.また,トラブル発生時に簡単に復旧できる必要もあります.そこで,Raspberry Pi上でwebブラウザを用いた手離れのよい展示システムを開発しました.このシステムは電源を入れるだけで起動し,省電力であり,トラブル発生時には電源のOn/Offで簡単に普及できます.The Labのスタッフにも大変好評でした.
北村達也, 大学都市KOBE!発信プロジェクトにおける立体音響の展示について, 日本音響学会秋季研究発表会, 1377-1378 (2019年9月).
北村達也, 手作りバイノーラルマイクによる立体音響体験: ひらめき☆ときめきサイエンス実施報告, 日本音響学会研究発表会, 1233-1234 (2015年9月).