弦楽器パート

Violin

[1st]

ヴァイオリンはオーケストラの中心を担う楽器です。マツ材のカエデ材からできた木の本体に、G-D-A-Eの四本の弦を張られていて、弓には馬の尾が使われています。全体的に木でできているのでかなり軽いという印象を受けます。ヴァイオリンには数々の古い名器があり、ストラディヴァリ等、億単位の値がつく楽器もあるそうです。

弦五部(1stヴァイオリン、2ndヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)の中ではもっとも高音域を奏でるパートです。楽曲の中ではメロディーを担当することが多く、オーケストラの主役と言えます。また、弦楽器の中でも最多の人数のパートです。楽曲の中にはハイポジションで弾きまくる曲が多いので、技術的に難しいです。1stヴァイオリンのトップ奏者はコンサートマスター(コンマス)と呼ばれ、オーケストラ全体のリーダー役を担います。


 [2nd]

2ndヴァイオリンは1stヴァイオリンの次に人数の多いパートで、主に1stヴァイオリンのメロディーの音とハモる音を弾くことになります。ユニゾンで弾くこともありますが、伴奏などを奏でることが多いです。セカンドはメロディーはあまり弾かずに、縁の下の力持ちをしている印象がありますが、楽曲の中でところどころアウフタクトの部分など「裏のおいしさ」が感じられる部分が多々あります。


[活躍する曲]

バッハ作曲 「無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番 ”シャコンヌ”」

ベートーヴェン作曲 「ヴァイオリンソナタ 第9番 ”クロイツェル”」

ラフマニノフ作曲 「ヴォカリーズ」

Viola

ヴィオラは解りやすく言うと、ヴァイオリンの少し大きめの楽器で、ヴァイオリンとチェロの中間のような楽器です。ヴァイオリンと同様、顎に挟んで演奏します。ヴァイオリンに対し胴体部分の容積が広いことや木の厚みもあることから、ヴィオラの音は独特のまろやかさや深みを持っています。一見地味に見える楽器ですが、バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、ドヴォルザーク等多くの大作曲家がヴィオラの魅力の虜になったと言われています。

楽曲の中では、弦楽器の中音部を受け持ちます。中音部という性格上、旋律や低音部の旋律は演奏することが少ないですが、弦楽合奏には必ず欠かせないのがこの楽器で、オーケストラの中で非常に重要な役目を担っています。旋律と低音の間の中音部には曲の雰囲気や作曲家の雰囲気が入るので、(長調、短調なども)作曲家にとっては腕の見せ所となる部分です。ヴィオラ譜を上手く書く作曲家は良い作曲家とさえ言われます。縁の下の力持ちの印象の強いヴィオラですが、独奏曲も案外多く作曲されているようなので、独奏楽器としてのヴィオラというのも注目です。


[活躍する曲]

ブラームス作曲 「ヴィオラソナタ 第1番、第2番」

モーツァルト作曲 「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」

 Cello

ヴァイオリン族では2番目に大きい楽器で、普通の人は楽器の底のエンドピンというピンで床に支えて弾きます。弦楽器の中では一番音域が広い楽器で、低音にはもちろん、高音にもチェロ独特のしびれるような音色の良さがあります。独奏楽器としても有名なチェロですが、独奏曲にはピアノ伴奏などのない無伴奏曲などもあり、多くの名曲があります。

チェロはオーケストラの中ではべースの中心や、低弦部の旋律を担っているパートです。オーケストラ全体が動くような、低音部の動作にはチェロパートは非常に重要な役です。低弦部の激しい動きには非常に迫力があり、心まで動かされるような旋律を見せる一面、レガートの演奏ではオーケストラを抱擁するような美しい音色を奏でることも可能なパートです。


[活躍する曲]

バッハ作曲 「無伴奏チェロ組曲」

ドヴォルザーク作曲 「チェロ協奏曲」

Contrabass

楽器の大きさも非常に大きく、人と同じくらいの大きさです。(余談ですが、電車に乗るときも料金が取られるそうです)演奏者は専用の高い椅子に腰掛けたり、立ちながら演奏したりします。弦楽器はなぜか低弦部にいく程、自分の楽器を愛してやまない率が上がるという話がありますが、実際コントラバス奏者にはほんとうにコントラバスが好きな奏者が多いようです。

コントラバスは弦楽器の中で最も低い部分を演奏するパートです。コントラバスはまたオーケストラ全体のベースともなり、オーケストラ全体のリズムを担うパートです。奏者には指揮者のビートを正確にとらえる能力が求められます。普段あまり曲を聴いていてコントラバスなどの強い印象を受けないかもしれませんが、オーケストラをやっているとほんとうに迫力面ではもちろんのこと、さまざまな場面で非常に重要な柱のような役をするパートです。


[活躍する曲]

シューベルト作曲 「ます」

サンサーンス作曲 「動物の謝肉祭より”象”」

ベートーヴェン作曲 「交響曲第5番 ハ短調」 第三楽章