顔面新麻痺を及ぼす疾患は数々ありますが、その中でも特に多い末梢性のもの、ベル麻痺、ハント症候群を指して、骨のトンネルの中を通る、顔面神経の膝神経節などを中心にウイルスによる炎症が起ることで、神経が損傷して顔の症状が出ているものについて話を進めていきます。
発症直後では神経が絞扼(腫れて押さえつけられる)ことによって、損傷を受けてしまい、一時的に神経と筋肉との連絡が途絶えることもあります。
重症度や状態に応じて発症からおよそ1〜3、4ヶ月頃で傷んだ部分の神経と筋肉が繋がり始めるのですが、
この過程で神経が間違った筋肉へ再生すると、顔の筋肉が以前のように動かしづらくなるなど、
さまざまな症状が起こる場合があります。
当院の治療は、問診で西洋医学的に病態を捉え、状態を把握し、「なぜ今の状態になっていて、どの様に治療を行うか」を
重視し、現在のお困りの状態から来院頻度、治療内容のご説明を行います。
ある日突然に発症し、その後3日〜およそ7日ほどて、片方の顔が次第に動かなくなり、
目が閉じず涙がこぼれる、口が動かしづらく飲食が不自由で涎が出る、耳の後ろ辺りが痛む…といった症状が現れます。
これらの症状は神経の炎症により圧迫を受け、神経と筋肉が部分的または全体的に連絡が途絶している状態です。
症状の最初の悪さは治りの悪さには一定の関係があり、初期治療が遅れると、治りに影響するとされています。
ですので、まずは耳鼻科を受診し、抗ウイルス薬やステロイドによる治療により神経の圧迫を減らすことが一番重要です。
当院へは、耳鼻科受診後にお越しください。
発症から日が浅い状態では弛緩性麻痺(力が入らないので、うまく動かせない)となり、
次第に神経と筋肉が再接続されると徐々に動きを取り戻します。
しかし、ここで神経と目的の筋肉が繋がり間違いが起こる場合を過誤支配といい、顔のこわばりや目や口がつられて動く
病的共同運動の原因となります。発症後3ヶ月以上で何らかの過誤支配や病的共同運動などが残った場合を後遺症となります。
発症したおよそ7割の方が治癒(後遺症がない、または非常に軽微)するとされています。
顔面神経麻痺のうち約6、7割が末梢性(脳での障害ではない)であるとされ、
その末梢性のなかでもベル麻痺が大半を占め、次にハント症候群が多く、その他外傷性のものなどが続きます。
ベル麻痺の原因は単純ヘルペスウイルス1型の再活性化が示唆され、
ハント症候群は水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化が原因です。
これらのウイルスはヘルペス科と言われ、幼少の頃に半数以上の方が保有しているとされています。
ベル麻痺では自然治癒も見込める場合が多い一方、ハント症候群は顔の症状だけでなく目眩や聴力低下など聴覚や平衡感覚にも支障をきたす場合があり、自然治癒しづらいとされています。
症状の違いはウイルス自体の違いと、初感染の場所と後に潜伏する神経の場所によります。
顔面神経麻痺では、頭蓋骨の中(顔面神経管という細いトンネル)にある、膝神経節という場所の近辺です。
この閉鎖された空間で、ウイルスを排除するために起こる炎症が原因になります。
因みに、炎症とは、「発赤、発熱、腫脹、疼痛」をいい、すべて免疫細胞が異物(この場合はウイルス)と感染した組織を除去し、元の状態に修復しようとする過程をいいます。
前述のとおり、ヘルペスウイルスは多くの場合、発症前に保有している場合が多いとされています。
「ストレスや疲れが原因」などとはよく言われますが、顔面神経麻痺においては初感染よりウイルスの再活性化が問題になり、
再活性化の歯止めが効かないが故に、顔面神経管内で炎症を引き起こす、ということです。
ヘルペスウイルス科は、風邪などの他のウイルスと異なり、初感染後に末梢の神経細胞体に潜伏し、
宿主の免疫機能の低下より、ヘルペスウイルスは再活性化し、免疫細胞に感染します。
これにより免疫応答の立ち上がりを阻害するため、炎症が起こりやすいとされています。
閉鎖空間での炎症は、神経組織を傷つけ、接続している筋組織への廃用萎縮を招くことになります。
ですので、発症後直ちに耳鼻科への受診と治療開始が予後を左右する大きな要因となります。
鍼治療は、国内のガイドラインでも、一定の評価がなされ、2023年度版より「弱く推奨する」としています。
発症直後の投薬治療後が最初の治療開始目安と考えています。
炎症により神経がダメージを受け、自力で治そうと神経細胞や免疫細胞が頑張るわけですが、
初期の症状の強さが治りに影響するとされ、ダメージの大きさによって予後が変わります。
ここで治そうとする過程で遅れやミスが起こると、神経迷入や過誤支配といわれる状態となり、
顔のこわばりや目や口がつられて動くなどの症状となってしまいます。
こうなっしまう前に、できうる事を積極的に取り入れてほしいと考えています。
当院では顔面部の経穴(ツボ)をはじめ、全身の経穴を使い、患部の血流を改善し、全身の自律神経を調整、免疫機能の正常に働ける環境を整えることが回復を早めると考えています。
また、当院に配備しているスーパーライザーEX(PBM)では、痛みや損傷を与えることなく、当該神経や栄養血管へのアプローチが可能です。
国内の論文は僅かですが、海外では類似した波長で研究がなされ、評価されています。
鍼治療と並行して行うことで、早期からの介入により、神経のダメージ修復に有効であると考えています。
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