6. ジャイブ の カウント、タイミング、ビートバリュー
6. ジャイブ の カウント、タイミング、ビートバリュー
ジャイブを巡る大いなる謎
ダンス界では、ジャイブ・シャッセのビートバリューは「サンバと同じ」──
つまり 3/4・1/4・1 が定説です。これはもう、教本にも載っているし、試験に
も出るし、誰もが一度は「そういうものだ」と信じ込む瞬間があります。しか
し音楽的に見れば、これはちょっと…いや、かなり違う。 なぜなら、イーブン
ビートとスウィングビートの概念がそもそも導入されていないから 選択肢が
ないというより、「選択肢という発想がない」状態。まるで、カレー屋さんで
「ラーメンください」と言ってしまったような気まずさ。
8ビートのジャイブもあるとの話は・・・?
ジャイブは4ビート スウィング系ですが 8ビートもあり 8ビートは イー
ブンです。 イーブン、スゥイングは性格を異にした 全くの別物 ジャイブは
スウィング系 なのにイーブン系 8ビートジャイブとは困ってしまいます。
ジャイブの直接的なルーツは、1920年代から30年代にかけてアメリカで大流行
したスウィングジャズにあります。ニューヨークのハーレム地区などを中心に
黒人ダンサーたちがスウィングジャズに合わせて踊っていたリンディーホップ
やジッターバグといったダンスがその原型です。これらのダンスは、4分の4拍
子のスウィングジャズ、つまり「1・2・3・4」という4ビートの中で、2拍目と
4拍目にアクセントを置く音楽の「弾むようなリズム(スウィング感)」体現し
たものでした。これが、ジャイブが基本的に4ビートで踊られる所以です。
第二次世界大戦中、アメリカ兵士たちによって、この熱狂的なダンスがヨーロ
ッパ、特にイギリスに伝えられました。現地のダンサーや指導者たちは、その
エネルギッシュなスタイルに魅了されつつも、より洗練されたダンスへと体系
化していきます。こうして、ジッターバグは「ジャイブ」という新しい名前で
呼ばれるようになりました。
ロックンロールの衝撃:8ビートとの融合
ジャイブの歴史における最大の転換期は、1950年代に訪れます。ビル・ヘイリ
ーやエルヴィス・プレスリーといったスターの登場により、ロックンロールが
世界的なブームを巻き起こしたのです。ロックンロールの多くは、4ビートを
さらに細かく刻んだ「1&2&3&4&(ワンエンツーエンスリーエンフォーエン)」
という8ビートを基本としていました。この新しいリズムは若者たちの心を掴
み、ダンスフロアの主役となりました。ここで重要なのは、もともとスウィン
グジャズで踊られていたジッターバグやジャイブの弾むようなステップやエネ
ルギッシュな動きが、このロックンロールの8ビートのリズムと驚くほど相性
が良かったことです。人々は、リンディーホップやジャイブのステップを応用
して、ロックンロールの曲で熱狂的に踊り始めましたこの融合が、ジャイブが
8ビートの音楽でも踊られるようになった直接的な理由です。
競技ダンスとしての洗練と現在
その後、社交ダンス界では、このジャイブを正式な競技種目(ラテンアメリカ
ン)の一つとして採用します。その際、イギリスのダンス指導者たちによって
より技術的に洗練され、スウィングのリズム感を重視した現在の競技スタイル
が確立されました。そのため、競技会で流れるジャイブの曲は、伝統的なスウ
ィング感を持つ4ビートのものが主流となっています。
まとめ:歴史が育んだ二つの顔
このように、ジャイブの歴史を振り返ると、8ビートの疑問が解決します。
起源は4ビート: ジャイブのルーツは、4ビートのスウィングジャズで踊られて
いたリンディーホップやジッターバグにあります。基本的なリズムの解釈や
ステップは、このスウィングのリズムに基づいています。発展期に8ビートと
融合 1950年代のロックンロール(8ビート)の大流行期に、その音楽に合わせ
て踊られるようになったことで8ビートのリズムとも親和性を持つようになり
ました。したがって、「ジャイブは4ビートのスウィングジャズから生まれ、
その発展の過程で8ビートのロックンロールと融合したダンス」であると言え
ます。現在では、競技会では伝統的なスウィング感を重視した4ビートの曲が
一方、パーティーやデモンスト
レーションなどでは、よりポピュラーで誰もが楽しめるロックンロールやポッ
プスの8ビート曲が使われる事もあり、場面に応じて使い分けられています。
ジャイブが持つこの二面性こそが、時代を超えて多くの人々に愛され続ける魅
力の一つなのかもしれません。
ジャイブの歴史を辿ってみて・・・ エルヴィス・プレスリーの熱狂に 飲み
込まれ 8ビートで踊り狂った時期があったのですね 60年代のアメリカンポッ
プスはなじみ深い曲が多いのですがと言う事でジャイブの音楽は、8ビートが
使われる事もあるが、4ビートのスウィング系が主流である事が分かりました。
4ビートのスウィング系は 三連符が基本で、ジャイブシャッセの ビートバリ
ューは 2/3・1/3・1 が自然な解釈です。つまり、サンバのような16ビートの
「カチッと分割」ではなく、ジャイブは「跳ねる」「弾む」「乗る」リズムが命
8ビートなら シャッセは チャチャチャと同じになります。ジャイブはチャチ
ャチャとは違うだろう・・ならサンバのビートバリューで行けばいいじゃん・
・ こうして 教本ではサンバと同じビートバリューで踊るとされているのが
現状・・・ これは、ジャズの即興演奏を譜面通りに演奏するようなもの いや
それはそれで高度ですが、ちょっと“ノリ”が違います。
実際の踊る現場は大混乱??
結論から言えば─現場では 全く問題なし。3/4・1/4 と 2/3・1/3の違いは、理論
上は確かに存在します。でも、実際の踊りの現場では「誤差の範囲」。むしろ
重要なのは、踊り手の感性と音楽への“乗り方ビートバリューの数値よりも、
「ビートに乗る力」が問われるのです。JDSF競技の世界では、ジャイブは最上
位クラスのA級選手のみが踊る “特権種目” そんなトップダンサーたちにとって
は、ビートバリューの数値など もはや「どうでもいい」領域なのかもしれませ
ん。彼らはきっとこう言うでしょう:「ビートバリューの数値なんて知ったこっ
ちゃねぇ。 感じるんだよ、ビートを。乗るだけさァ──」 (知らんけど)
机上では理論は必要
現場では問題なくても、机上ではそうはいきません。以前YouTubeで、ジャイ
ブ・シャッセのビートバリューを「3/4・1/4」と説明しながら「これ、試験に
出ますよ〜」と語っていた動画を見た記憶があります。指導員資格、教師資格
審判員などを目指して勉強する者にとって、音楽理論と整合しない教本の記述
・・・老婆心ながら── ・・・・・・・? いいの? と、
イーブン、スゥイングの概念を取り入れる事で全て解決する事なのに・・・