11. 楽曲の最小単位は2小節
11. 楽曲の最小単位は2小節
楽曲の構成
実際の音楽は 小節が連続して続いている・・・ではなく、もっと大きな構造で
できています。 楽曲は通常 8小節単位(フレーズ)でまとまり、
8小節 ✖ 4 = 32小節 = 1コーラス(楽章) となり、
イントロ → 1コーラス → 間奏 → 2コーラス…という構成が一般的です。
モチーフ
音楽は2小節が最小単位で、動機(モチーフ)と呼ばれ 「拍子」、
「リズム」、「音程」の3つの要素からなる、曲のイメージを決める、
最小の意味のある単位です。1小節目は強い小節、(奇数小節)、2小節目は
弱い小節(偶数小節)でモチーフが 形成されています。
小楽節
小楽節はモチーフを組み合わせて構成される 音楽の 文 小楽節前半は 音楽的
な(問いかけ)の役割を持ち、メロディーが提示されますが、どこか途中の
ような、少し不安定な響きで終わることが多く、「この後どうなるんだろう
?」と聞き手に思わせる効果があります。小楽節後半 は、 問いかけ に対し
て(応答 Answer) の役割を持ちます。前半のメロディーのモチーフを引き
継ぎながら、より安定した終止感を持って締めくくります。これにより、聞
き手は「なるほど、こう落ち着くのか」という満足感を得ることができます
この(問い) と(応答) という関係性は、音楽に自然な流れとストーリー性を生
み出すための非常に重要なテクニックです。
大楽節 フレーズ
大楽節は、2つの小楽節(前楽節と後楽節)で構成される音楽の「段落」。
通常8小節で、問いと答え(呼応構造)を持つ。
音楽を聴いて まず2小節の繋がりを聴き分けるのです。これが音楽を聴く
一歩目です。モチーフを感じる事が出来れば 楽節も分ってきます。そうなれ
ばしめたものです。音楽を聴くのがより楽しくなってくるでしょう。
リズム → 最小単位は 1小節
メロディー → 最小単位は 2小節(=モチーフ)
例外もあります。
ルンバのクラーベは2小節単位、「知床旅情」は4小節単位、・・・
原則として、メロディーは2小節ごとにひとかたまり。 この感覚を無視す
ると「踊り出したのは いいけど、なぜか音楽と噛み合わない…」という
“ボタンの掛け違い”が起こります。
ワルツを数えるなら、
幼稚園レベル → 1.2.3 1.2.3
ダンサー → 1.2.3 2.2.3 or 1.2.3. 4.5.6
4拍子なら 1.2.3.4 2.2.3.4 or 1.2.3.4. 5.6.7.8. と2小節単位でカウント
するのが自然です。 メロディーを聴いて数えると、必ず2小節で一息つくこと
が分かります。
ふるさと(故郷)の歌詞
歌詞を見ると 2小節単位に なっているのが分かりやすいです。
❚ウサギ追いし❚ かの山❚小鮒釣りし❚ かの川❚ ----- 2小節単位で区切りを入
れています。 これを1小節で切ると「かのや|ま」・・「かのか|わ」 など
言葉がバラバラになってしまいます。メロディも歌詞と同じで 2小節単位で
聴けば、メロディが自然につながり、情景が広がるのです。
ダンス曲 多くは イントロ 4小節のあとにメロディー(ボーカル)が始まります
理想的な流れは次の通り: ワルツの場合
 1.  イントロの前半2小節を聴く
 2. 後半2小節でプレパレーション(ワインドアップ)
3. メロディーの始まりに 合わせて ナチュラルターンでスタート
ここで大事なのは 「奇数小節から踊り始めること」。 強い小節から スタート
するのが自然であり セオリーです。偶数小節からスタートすると、リズムは
合っていても、音楽の流れに合っているとはいえないのです。
しかしこれは 音楽をよく聴いて 2小節単位で流れている との実感がなければ
偶数小節からのスタートでも全く違和感を感じないのです。
デモなどの場合は 曲も決めているし、スタート位置に着いて、曲が始まります
が、競技では思い通りには行きません。スタートの優先順位は
1. イントロが終わって 1小節
2. 後半の小楽節 5小節目
3. モチーフ2 3小節目
4. 7小節目
メロの始まり 1小節目にスタート出来なかった時は、 3小節目を見送って5
小節目の方がベターです、でも精神的に早く出たい ・・なら 3小節目でも
まぁ許せる範囲・・・ 7小節目はお勧めではありませんが 最悪7小節です。
偶数小節は論外!!
奇数小節 は 強い小節、 行きますよ と正に動機を与える小節 これに合わさず
にスタートするのは音楽を聴いていないのです。
音楽を聞く---音として耳に入ってくる、リズムは感じている
音楽を聴く---メロディーを聴き、情景を浮かべながら スタートへ この違いは
大きいです。
ところが現場を見てみると―― 上位級の選手でも 、裏カウント(偶数小節)
からのスタートを見かけます。そう珍しい訳でもありません。奇数 か 偶数 か
の話ですから、メロディーの流れなど 無頓着でも 確率的には、半分は合う訳
です。時の運ってやつで、合ったり、合わなかったりが 結構いるのです。いか
に音楽を聴いていないかがわかります。
何故 スタートが合わないのか? 音楽を聴かないのか?
理由は単純です。「知らないから」。 コーチも指摘しない、テキストにも書い
てない、ジャッジもほとんど見ていない。 だから学ぶ機会がないのです。聞い
てはいるが聴いてはいない。聞けばいいと思っている。
私自身も、ある時クイックステップでコーチャーに「違う!違う!!」と
何度も止められ、 音楽に多少の自身があった 私は? はぁ? 「音楽は
1234・5678だろうが!」と雷を落とされた瞬間 頭をぶん殴られたような
衝撃で目が覚めました。 聴いていなかった事に気づいたのです。
O先生、(全日10ダンス 元チャンプ)には感謝!!
地方競技会では スタートが音楽に合ってなくても、点数に直結することは少な
いでしょう。しかしトップレベルの試合―WDSFやWDC、三笠宮杯 等の動画
を見てください。音楽に合わないスタートをする選手はいません。強い小節か
ら奇数小節から踊り始める ・・決してはハイレベルな技巧ではなく、 音楽表
現の入り口、ダンサーにとって最低限の常識なのです。
ヴェニーズ・ワルツの項でも書きましたが、WDSF・JDSFでは 多彩なステッ
プが取り入れられ Vwはクイックステップと並び 今や花形の種目、 多彩なステ
ップが目をひくとは言え、やはり ナチュラルターンが命、背骨である事には
変わりはありません。JDSFでは Vwは最上位 A級、それも最終予選からでない
と踊る事を許されていないのです。それを 裏カウントで踊ってしまう 残念な
選手は一定数いるのも事実です。ナチュラルターンは複数回 連続するため
裏カウント が一番目立つ種目です。
結 論
リズムは1小節単位、メロディーは2小節単位が基本
スタートは 奇数小節から
偶数小節からのスタートは「ボタンの掛け違い」
 音楽に乗って踊るとは、まず“入り口”を間違えないこと。
  そこから先に広がるのは、表現の無限の世界です。