は じ め に
音楽とダンスの距離
現代は、情報があふれる時代です。ネットを開けば、社交ダンスに関する知識
や技術、音楽の情報が簡単に手に入ります。けれども、そうした情報の多くは、
振付やステップ・・・といった「目に見えるもの」に偏りがちです。
社交ダンスにおいて最も大切なのは「音楽」だと言われています。 音楽は、
ダンスに命をふき込む魂のような存在です。にもかかわらず、その音楽の本質、
特にリズムやビートといった根幹に関する議論は、驚くほど少ないように感じます。
音楽は、ダンスのドレスである
ダンスは、音楽という名のドレスをまとって初めて完成する芸術です。音楽が
なければ、ダンスはただの運動に過ぎません。逆に、音楽があっても、それに
寄り添わない動きは、どこか空虚に映ります。私たちが踊るとき、ただステップ
を踏むだけではなく、 音楽の流れ、拍子、リズム、フレーズに耳を 澄ませる
ことが求められます。音楽の呼吸に合わせて 身体を動かすことで、初めて
「踊っている」と言えるのではないでしょうか。
教本に書かれていないこと
教本や講習会で学べることは多くあります。しかし、音楽の感じ方やリズムの
捉え方といった「感性」に関わる部分は、なかなか言語化されず、個人の経験
や感覚に委ねられがちです。
私自身、長年の試行錯誤の中で、 ようやく ダンス音楽とはどうものか・・、
少しずつ見えてきた気がします。 これは、教本には載っていない、 けれども
踊り手にとっては極めて重要な「気づき」でした。
一滴のスパイスとして
このページでは、 私自身の経験や考えを、 少しずつ綴っていきたいと思って
います。決して正解を示すものではありません。ただ、どこかで誰かの心に、
小さなスパイスのような刺激を与えられたなら・・・それが願いです。