災害時トリアージの基礎知識
一般的に非医療従事者であり、日常的に訓練を受けていない市民が「トリアージ」を行う事はありません。
しかし、避難所で避難者に対応する立場になる者は、「トリアージがどのような状況でどのように行われるか」を理解していると役に立つかもしれません。
医療救護班、救急隊員などは「START」「PAT」等の「災害現場で緊急医療対応するためのトリアージ」を行いますが、ここでその内容までは言及しません。(同じトリアージという言葉であるが内容も目的も違うので混同しないよう注意が必要です)
昨今様々な団体(公的機関、学会、NPO、もろもろ)が災害時に活動する事を表明し、それぞれが違った意味で「トリアージ」という用語を使用しています。例えば、避難所トリアージとは、要治療、要全介助、要部分介助、自立、自宅待機など、避難所でどう受け入れるべきかを判断する基準です。上記緊急医療対応のためのトリアージとは別の観点であるので注意を要します。
ここでは医療救護班(※災害医療の訓練を受けている組織)が「成人の負傷者・病人」に対して行うトリアージの意味で使用します。(※小児に対する最初のトリアージは成人と同じ)
重症:速やかに適切な治療を受けさせるべき者 (STARTトリアージでは緊急群:赤に相当)
呼吸が速い、呼吸が遅い(会話ができない、ぜいぜいしている、呼吸が無いか、呼吸が無いときがある)
冷や汗をかいている (顔色が悪い、手が冷たい、手首の脈が触れない)
ぐったりして応答(返事)がない、目を開けない、握手ができない
※PAT法に相当する部分
出血があり、止血困難である
目で見えるケガがあり、腫れや変形がある(頭、顔、胸、腹、大腿部)
※感染対策上必要な判断
38℃以上の発熱のある者、複数の発熱者
下痢、嘔吐のある者
中等症:重症よりは治療を受けるまでに時間の余裕がある (STARTトリアージでは待機群:黄に相当)
歩行不可(何らかのケガや苦痛があって、歩くことができない)
普通の呼吸をしている(普通に会話ができる)
冷や汗をかいていない(顔色が普通である)
指示に従える (求めれば握手ができる、正しく受け答えができる)
軽症:そのまま避難所にいても差し支えない (STARTトリアージでは軽症群:緑に相当)
歩行可 (ケガがあっても軽微、洗浄・包帯処置等で対応可能)
持病・障害があるが、手持ちの医薬品等で対応できる
その他、その避難所において対応可能な状態である