アマチュア無線を災害時に役立てるために(その2)

メールや掲示板、クラウドを活用することの重要性

(アマチュア)無線機器の準備も訓練も万端整った。これで災害時の活動にも貢献できる。

さて、情報はどうやって入手するのでしょう。また、得られた情報は最終的にどうしたらいいでしょうか。

 情報の意味

災害時に必要な情報 にまとめてあるように、情報には「生のバラバラな情報=断片的事実」、「断片的事実をつなぎ合わせたまとまった(しかし不完全な)情報」、「推測を含む情報」、「予測を含む情報」と「上位機関の意思決定を含む情報」、または「疑義の多い情報」、「憶測、デマ」などがあります。

これらが区別できるように、明確に分けて記録することと、送信する際にもその情報の確度(信憑性)がどの程度なのか相手にわかるように送る必要があります。

すると、METHANEのそろっていない情報は確度が低いことになります。

 オーダーとニーズの違い

 災害時の情報で最も重要なものは、「○○を△△個すぐに送ってほしい」というオーダーですしかしここに大きな落とし穴があります。オーダーの奥には「○○が非常によく使われている」「○○が不足している」「○○がなくなった」というニーズの情報があります。

 支援を希望する側は、「○○がよく使われている」→「○○がなくなると困る」→「○○を多めに送ってもらおう」という心理になります。供給する側は、「××地域の○○は残り●●日分ある」という情報の整理をします。この情報の違いを確認するために多大な労力を払うことになります。

 供給側は、限られた資源を無駄なく届けるために「正しい情報」がある場所への供給を優先することになります。つまり、ニーズの正確な情報を上位組織に送ることが、はやく支援を得られる近道だという事です。

情報伝達方法

 無線通信が唯一の手段であれば、それ以上考える必要はありません。しかし、現在考えられている大規模災害時の情報伝達方法では、音声による情報伝達と、文字情報による情報共有が並行して行われます。(音声通信とデータ通信)

 ボランティアとして活動する者であっても、送信すべき情報が文字情報として提供されたり、送信後の情報のまとめを文字情報として提供することを求められることもあります。手書きのメモを授受しても、誰かがその手書きの文字を書き起こしているのです。本部要員の大半の仕事はこの作業です。これではボランティアとして本当に相手方に貢献していると言えるでしょうか。

 表題にあるようにメールや掲示板、クラウド(データの保存共有)を活用する知識と技量が求められます。無線で交信さえできればいいというわけにはいかないのです。

メール・掲示板で、最低限必要な情報

 SNSが便利とされる世の中、新社会人のメールが使い物にならないという嘆きの記事が毎年この時期に書かれています。

ところが、旧社会人であっても、使えるメールを書くことができる人は多くはありません。知り合い同士の情報共有であれば、結局電話で済むという落ちもありますが、災害時にはこの方法は使えません。逆なのです。

文字として多くの情報を送り、その概要を音声で送ります。文字情報を音声で確認する手間を発生させてはいけません。


メールや掲示板を書く時には

 

1.件名:一番重要な中身を代表することを端的に書く

2.本文冒頭:誰から、誰へのメールなのか明確にする。

3.緊急性:至急回答の要否、単なる情報の共有か否かを明確に記載する。

 4.本文METHANE、6W1H(上記を含む)を漏れなく記載する。

  複数の要件がある場合には、番号付けをして適切な改行を置く。

  ※1メール1要件が原則

5.署名 発信者の所属、立場、氏名等を記載する。(発信元の明確化)

6.メールの形式はプレーンテキストとする(メールへのウイルス対策)


添付ファイルは原則禁止し、ファイル共有(Dropbox、Google Driveなど)を利用する。メールの回線に障害があれば、肝心のテキスト部分の送信すら困難になる。メールの受信だけで各自が契約しているデータ通信上限を超えてしまう恐れがある。