コロキウム



教育実践をめぐる「遊び」概念の検討


──教育実践における造形遊び・体育科ダンス・ビデオゲームの思想に触れる──

 


企画者:日向  悠太(立教大学・院生)  


司会者:井谷  信彦(武庫川女子大学) 


報告者:菊地  虹(立教大学・院生)

    北村  桜(立教大学・院生)

    日向  悠太(立教大学・院生)


「遊び」概念は教育思想史研究の上では、近代教育思想・システムの目的合理性の突破口のひとつとして知られてきた。そこには目的合理的思考としての「仕事」と行為自体を目的とする純粋な目的としての「遊び」を対立させるという線引きが見られる。それに対して古屋(2021)はG.H.ミードのプレイ―ゲームの思想の解釈を通じて、「遊び」と「仕事」の連続性を、遊びが仕事に還元されるのとは異なる形で提示した。これは本学会の当初から問われていた「遊び」と「作業」の極端な分離に対する懸念(矢野 1992など)に応答するものであった(西本 2021)。


しかし、上記のような「遊び」と「仕事」の連続性の回復の先に待っているのはなんであろうか。例えば今村(1988)が考えた様に、「仕事」を遊戯性の伴う活動へと転換してゆくという主張であろうか。だがそこに待っているのは、「仕事」を単なる「労働」と遊戯性の「遊び」へと切り分けるという、別の二分法に他ならない。必要なのは、遊びを、仕事概念とは別の参照軸をもって問うという観点である。本発表では「遊び」と呼ばれている諸活動が教育学・教育実践の中でどのように位置づけられ、語られてきたのかという実践の思想を探究することで、「遊び」の教育思想史研究に新たな議論の方向性を提案したい。


※ 対面+オンライン同時双方向型