コロキウム4


批判理論と教育/教育学の思想

―激動の時代とその後―

企画者・司会者:藤井 佳世(横浜国立大学)


報告者:井関 正久(中央大学)

白銀 夏樹(関西学院大学)

藤井 佳世(横浜国立大学)


【概要】

本コロキウムでは、ドイツにおける批判的教育科学の更新を目的とし、批判理論と教育学の関係について再考する。批判的教育科学は、1960年代半ばに批判理論から影響を受けて始まり、解放の教育を実践する教育改革を各地で推し進めたが、その改革の失敗とともに1980年代以降に衰退した。その後、批判理論と教育学の接続は、十分に展開されなかった。 

近年、ビースタが解放概念に含まれる矛盾を指摘し、ランシエールの平等概念から新しい解放の教育学を提案しているように、教育改革の失敗だけではなく理論的問題も明らかにされている。また、1960年代のドイツは、戦後ドイツを巡る世代間の断絶が意識された時期でもあり、高等教育への進学者が増加した時でもあった。

そこで、本コロキウムでは、批判的教育科学が始まった1960年代から衰退した1980年代初頭までを対象とし、ドイツの政治状況と重ね合わせながら、教育によって社会を変えようとする社会変革と教育改革の思想について考えてみたい。とりわけ、教育における批判やコミュニケーションを支持する考えや機会平等の意識を反映した教育実践を考慮しながら、政治史と教育学の観点からの報告を組み合わせ、それぞれの視点から見える世界を立体的に構築できるような議論を進めたい。

なお、本コロキウムは、Zoomによるオンライン形式(同時双方向型)で開催する。