シナリオを作る
一般的な(?)TRPGにおけるシナリオを、プレイヤーキャラクターの行動に対する筋道を提供するものという定義とするなら、フロストギガースのゲームシナリオはシナリオではありません。フロストギガースのゲームシナリオは、プレイヤーが積極的にゲームをぶん回す用の設定かつデータ、です。
ゲームシナリオでは、セッションを「ミッション」という塊に分割し、プレイヤー及びプレイヤーキャラクターの行動を、「ミッションをクリアするアクション」へと整理します。ミッション達成、つまり、達成目標への到達ができていれば、次のミッションが出ます。これを繰り返して、大きなセッションとしての物語を描く。というのが、フロストギガースの基本的な運用です。
そして、各ミッションの舞台は一緒ですんで、みんなの設定がひょんなところでつながったりは、当然します。誰かの作った設定を使って、別の誰かが成功を収めることもあるかと思います。この辺の、誰かの設定に乗っかって別の人が新しい設定を生む。とかで、ちょっとした世界観デザイナーの気分も味わえる。そこが、ナラティブ系TRPGであるフロストギガースの面白みです。
■世界設定(世界観)について
このゲーム「フロストギガース」では、「ゲーム参加者により描写される世界設定のまとまり」を、世界観、と呼んでいます。
フロストギガースは現代日本をちょっと懐かしくしたような架空世界が用意されていますが、ルールブック単体で遊ぶぶんには、これを特に気にする必要はないつくりになっています。これは、フロストギガースが取り扱っている世界観は現代日本モチーフではありながら、このゲームが政治や宗教、信条や主義を語るものではないことに由来します。そのため、ことTRPGゲーマーが遊ぶ上においては「ロボットものアニメ世界」といった、プレイヤーがとっつきやすい世界設定を使うのがいいでしょう。
デザイナーのお勧めは、プレイヤーに「自分たちの中でロボットが怪獣を撃破する物語といえば何?」と聞いてしまい、それをそのままゲーム開始時の世界観として使用することです。フロストギガースはルールとして「GMが決めていない設定は、プレイヤーが決めてよい」ということになっています。つまり、フロストギガースでは「設定の細部についてを、プレイヤーに任す」ことができるようになっています。これを積極的に行うことで、プレイヤーとGMはまさに自分たちだけの空想世界を遊べるわけです。
■フロストギガースの難易度設定
フロストギガースのセッションを予定立てたものの、どうやって難易度設定したらいいかわからん。という話ですね。まずゲーム全体の難易度をどうするかなんですが、まずは当日、本人たちに期待する難易度を聞いちゃうというのがあります。
- 初心者向け:最低難易度のゲームで手取り足取りの説明が入る。
- キュート:死亡率0% ほのぼのコース
- アルファ:まあ2割くらいはキャラクターが死ぬ。下手をうてば全滅ゲームオーバーになる。標準的なゲーム。
- コンバット:5割の確率でキャラクターが死に、5割の確率でゲームオーバーになり、3割の確率で全滅する。戦闘志向が極度に高い。
どれくらいの難易度かと申しますと上記の感じです。
初心者向けであればまあ、初心者向け難易度を選ぶのがいいですよね。ただ、我こそはゲーマー!という人もいらっしゃると思うので。
そのあたりは聞いてみて考えるのがいいでしょう。
難易度設定方法は実に簡単です。ルールブックに記載している、デフォルト10というルールを使います。
普通の人が出せるパワーが10,だいたい普通の人がクリアできる難易度も10、全力で頑張って難易度20として、このゲームが何人だったらクリアできるかというのをもとに難易度を作ります。たとえば、難易度アルファは「2割ぐらいはキャラクターが死ぬ」って書いてあります。
この場合は、「10人行って2人帰って来なかった、つまり10人が力を尽くしてまだ足らない。つまり、あと1名いればいけたかも……」という位で考えましょう。だから、難易度はフルパワーの人が11人で、難易度合計220。これを最初の10人で人数割りして、平均22。だいたい難易度22×プレイヤー人数、ぐらいに設定すれば、難易度アルファぐらいにはなるだろうというわけです。
たとえば、この難易度でセッションを4人で3ゲーム位で回すとします。4人で難易度22ずつですから、だいたい1ゲームあたりの平均難易度が88ぐらいにすればいいわけです。ただ、最初の方は特徴やアイテムにまつわる設定も溜まってないので、難易度50ぐらいに抑えて、その分後半を辛くしましょう。たとえばこのような形はどうでしょうか。
ミッション1:難易度50
ミッション2:難易度150
ミッション3:難易度20
大事なこととして、一度作ったものは必ず検証してください。クリアできるかの検証はとても大事です。
今回の場合ですと、実際問題として2ミッション目での難易度150はクリアできないので、分割しましょう。
ミッション2-1(前半戦):難易度80
ミッション2-2(後半戦):難易度70
こんな感じです。同時ミッション、つまり一度出した特徴やアイテムはもう片方には出せない。ということにすれば、緊張感も増すことでしょう。
フロストギガース(巨大ロボット)が出るシーンは、単純に難易度を1000倍してください。フロストギガース搭乗の場合、自分の特徴とかは100倍するんですけども、ここでは1000倍です。というのも、フロストギガースは複数回行動できますから、このような値になっています。まあ、この辺は検証結果を見て調整してみてください。
シナリオの内容については、フロストギガースとは要するにモンスター退治のゲームだと割り切れば、以下のようなテンプレート展開が考えられます。
- ミドルフェイズ:モンスターの襲撃に生き残った人々に別れを告げる
- クライマックスフェイズ:モンスターの攻撃に耐える/モンスターを倒す
- エンディングフェイズ:モンスターの被害にあった街に凱旋する
これで難易度は大体決まりました。先ほど出した難易度をプレイヤー人数で割っておくと、取り回しが楽になります。こんな感じです。
- ミッション1:モンスターの襲撃に生き残った人々に別れを告げる:難易度12×PC人数
- ミッション2-1:モンスターの攻撃に耐える:難易度17×PC人数
- ミッション2-2:モンスターを倒す:難易度20×PC人数
- (ミッション2は同時ミッションです)
- ミッション3:モンスターの被害にあった村に凱旋する:難易度5×PC人数
こんな感じですね。
あとは魅力的なモンスターを考え出せば完了です。