聖イグナチオ・デ・ロヨラは,「祈り」の守護聖人です.
祈りは,初恋の時の,恋い焦がれる思いに似ている
祈りは,人生の選択を決意する時の思いに似ている
祈りは,助け求める時の思いに似ている
親しい友や恋人と一緒にいる時間は,あっという間に過ぎてしまう.
愛する人と一緒にいる時は,深い慰めです.
1)祈りの妨げになるものは,3つ(「祈りの3妨げ」)
・睡魔
・雑念
・誘惑
祈りはイエスと共に過ごす時間です.
自分自身の努力で,妨げをできるだけ退けるための環境を整えて,日々の生活も整えて,祈りの時間を大切にしましょう.
2)祈りのセットは,3つ(「祈りのセット」)
前備:数分~10分程で,神と話すことを決め,からなず書き残す.
祈り:決めたことをイエスと話す.
後備:10分程で,話したことを,整理要約してふりかえり,必ず書いて,前備と比較する.
3)祈りが継続するのは,3つ(「祈りが継続する3要素」)
・場所を決める
・時間を決める
・継続したくなる喜びを味わう
1 .祈る場所はとても大切
・静かで一人きりになれる,祈る部屋や場所を決める.
・祈りに影響するものは一切除きましょう.
・祭壇のように十字架だけ目の前に置く.
・例えば机の上を全て片付けて,布を敷いて十字架を置くだけでもよい.
・椅子の場合,足腰が直角に曲げられるような硬めの仕様がよく,ソファーのようなリラックスできるものには座らない.
・パソコンやスマホをオフにするだけでも,日常生活の刺激から解き放たれて,自由な祈りの時間に没頭できるようになります.
2.祈る時間帯と時間を決めるのも,とても大切
・祈りの時間の長さは,「何分間,神と一緒にいたいか」と,まず自分自身に問いかけてみましょう.
・私が何分祈れるかと自問自答してしまうと短時間になりがちです.
・神が助けてくださるから祈れるのですが,自分の努力で祈れるなら,自分の努力で問題も解決できてしまうという錯覚が生まれ,それが誘惑だとは思わなくなってしまいます.
・毎日同じ時間帯に祈り(多少ずれても),毎回同じ時間を祈りましょう.日ごとに,気分で長短するのは,誘惑です.
・時間帯は,「祈りの3妨げ」ができるだけない時にします.
・例えば,残業の多い方が夜の祈りにすると,皆さん継続できません.
・実際祈ってみると,祈り始めてから5分程は,心と体が落ち着くための時間となり,祈っていないことがほとんどです.
・その後15分祈っても,全体で最低20分程かかります.
・この短い時間ばかりで心や体を慣らしてしまうと,本格的な1時間の祈りが苦痛になってしまいます.
・解決の工夫は,平日は20分~30分で,土日に1時間とする等は,苦業にならず,善意から行いやすいやり方です.
・土日だけ祈ることでも,継続するための選択肢です.
・工夫して考えて,この祈りのやり方で良いかも,祈りの中で主イエスに質問してみましょう.
・決めた時間は厳守して,たとえ1分でも早く終わりにしよう等の誘惑に負けず,また,延長もしない.
・延長したくなったら,一度終えて,再度祈りのセットをします.
決めた時間より延長することも,場合によっては誘惑です.
3.祈りの最中
・ろうそくを灯したりお香を香らせたりすると,更に祈りに没入できるかもしれません.より良いと思うことは試してみましょう.
・十字架の根本に跪いて,イエスを見上げて対話するという場面が最も深い祈りができるという経験値をいただいた方もいます.
・自分自身にとって,神と最も対話しやすい心の状態を教えていただいて,それを継続してやってみましょう.
4.祈りの継続
・継続は,神との約束を守ることです.
・まず1ヶ月できたら,次は3ヶ月,半年,というように,徐々に期間を伸ばしても構いませんので,「継続したくなる喜び」を神からいただくように願いましょう.
・全てを神に委ねても,自身の中から湧き上がる善意や意思を,継続の助けとして感じましょう.
・自分の努力で祈り継続に努めても,実際は神が図らってくださっているだけですので,継続を心から願いましょう.
何を祈るのか
各自が神にお尋ねください.
何故祈るのか
各自が神にお尋ねください.
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祈りが上手くいかないときのチェック・リスト
1.準備として集中するための時間をとったか.
神を自分の中に見出すために十分な時間をとったか.
2.謙遜な尊敬に満ちた心で神の御前に自分を置いたか.
3.めざしている恵みを心から願う望みをもって祈りに入ったか.
4.体の姿勢と祈りの場所は適当だったか.
5.心が満たされるまで味わいのあるところに十分とどまったか.
6.荒みや慰めを得たというところに戻って「反復」したか.
7.焦点は神だったのか,私だったのか.
8.自分の計画と材料の内容把握に焦点が置かれていたか,それとも神に聴くことに集中したか.
9.本当に聴く心があったか.御言葉を私自身に向けられた言葉として受け止めたか.
10.乾ききった心,落ち着かない心の状態を捧げて,それを祈りにすることができたか.
11.祈りの締めくくりについて:キリストとの対話などで締めくくろうとしたか.
それに対する対策
1.決められていることを見直して,それを忠実に守る.特に,以前に決めたことを絶対変更してはならない.例えば,決めた祈りの時間はどんなことがあっても守ること(霊操12).
2.かえって,始めの決心よりも一層精進し,入念に究明する.特に決めた祈りの時間よりも少し余分にすること(霊操13).
3.望んでいるものを見いだすために,何らかの苦行をして,熱意を神に示す.(霊操89).ただし,極端なことはしないこと.ヘルパーと相談の上で決めると良い.
4.時には神にチャレンジする.「こんなに願っているのに,何故与えてくれないのか.もし私の態度で間違っているところがあれば,教えてください.そうでなければ,願っている恵みをください」と祈る.
5.心にどうしても引っかかっている問題や気がかりな事があるときには,素直にヘルパーに相談すること.悩みの解決のためではなく,祈りを深めるために.
6.どんな苦しいときでも,神は決して見捨てないことを信じ,やがて慰めが与えられることに,大いなる希望をもつこと(霊操320-321)
7.祈りがうまくいっているとき,つまり慰めのときに,今度祈れなくなったときにどうするかを考えて,新たな力を蓄えておく.そして,苦しいときの自分はいかに無力であるかを思い出して,謙遜に主により頼んでおく(霊操323-324)