本ゼミについて
担当教員の専門は近代日本におけるモダニズム運動です。モダニズムとは1910年代から30年代にかけて勃発した文学・芸術運動です。モダニズムとは、過去=古典を過剰に重視する態度を批判し、今、ここの新しさを重視する思潮です。ヨーロッパから始まったモダニズムは運動は、最前線で闘う者たちを意味する軍隊用語の「前衛」を語源とするアヴァンギャルドな運動です。文学はもとより、芸術(絵画や彫刻など)、映画、建築、音楽、児童教育まで多岐に亘る前衛運動でした。日本では1910年代の末ごろから徐々に西欧の新しい精神としてのモダニズムが知られるようになります。様々なジャンルを横断した新しい思潮としてのモダニズムの衝撃は日本にも及び文学、美術、建築、映画など様々なジャンルで前衛的な実験が行われるようになります。このようなモダニストたちの革新的な活動は、実は現代社会にも大きな影響を与えつづけています。
本ゼミでは、開かれた場としてのモダニズムの精神を受け継ぎ、近代・現代の文学のみならず、芸術、映画なども研究対象です。映画がいかに文学に影響を与えたのか、建築がいかに文学に影響を与えたのか。音楽と詩との共鳴。実験と革新としての近代日本の知のダイナミズムをゼミ生の関心に沿って明らかにしていくことに本ゼミの特色があります。
【ゼミの方針】
ゼミ生の関心をふまえつつ担当教員と相談しながら、研究蓄積がある研究対象を選択して各自の研究を進めて行きます。詩でも小説でも映画でもジャンルを問わず関心のある対象をゼミ生は選択できますが、膨大な先行研究と格闘することによって近代日本の知の厚みを実感することは、他者の言葉といかに関わり、どのように合理的に自らの考えを構築していくのかの訓練となります。そのため研究蓄積が少ない現代のポップカルチャーなどは研究対象としてあまりお勧めできません。
【ゼミの進め方】3年・4年合同で2コマ連続でゼミを行います。(木曜日3・4限)
3年生前期:指定された文献を読み発表してもらいます。
3年生後期:夏合宿までに決めた対象について各自で発表してもらいます。4年生の卒論発表の司会とコメンテーターもやります。
4年生前期:卒論に関する中間発表と3年生の発表に対するコメンテーター。
4年生後期:卒論に関する発表と3年生の研究発表の司会とコメンテーター。
【ゼミ合宿】
毎年夏に開催。ゼミ生で行き先は決めます。今年は1泊2日で小田原にいきました。谷崎潤一郎の「陰影礼賛」に関する討論を行いました。コンパも定期に行っています。今年度前期は他ゼミとの飲み会も行われました。
【ゼミ生に求めること】
とにかく読む・見る・聞くことを求めます。そのための浪費は惜しまないこと。そのうえで議論に積極的に参加すること。議論に加わり、様々な意見に接し、冷静に対話していくことは社会人になっても必要とされる学知です。ゼミでの勉強は社会人になっても必要とされる知を学ぶことを意味します。
〇ゼミ生より
一口に日本文化といっても、思い浮かべるものは人によってさまざまです。日本文化ゼミ
は、ゼミ生それぞれが興味を持ったことを多方面から捉え、 幅広く扱っています。実際の研
究テーマは、太宰治をはじめとする近代文学の王道から、原作小説と映画、日本の妖怪、日
本の文学と絵画、グリム童話と教育、能、講談、オペラと多岐にわたります。
普段のゼミでは、知らない分野の発表に対して質問や意見を求められることもあります。
私は時々的外れなことを言ってしまうのですが、指導してくださる脇田先生は学生の意見
や率直な疑問を尊重してくださるので、学生の意見を否定せず豊富な知識と経験から丁寧
に教えてくださいます。
ゼミは三年生と四年生が合同で活動していて、オンとオフはきっちりしていますが堅苦
しい雰囲気はありません。ゼミ生は穏やかで面白い人が多く、参加自由の旅行や飲み会では、
先輩や話したことがない人と意外な趣味の共通点を見つけて盛り上がることがあります。
やりたいことがまだ決まっていない人も、きっと自分の関心を見つけられるゼミです。ぜひ
一度見学にお越しください!