【ゼミ紹介・概要】
中古ゼミでは、平安京に遷都した延暦十三年(七九四)から約四〇〇年にわたる平安時代の文学(=中古文学)を扱います。平安時代に生まれたあらゆる文学作品──『古今和歌集』を規範に展開する和歌、『源氏物語』を頂点とする物語、『土佐日記』に始まる日記作品や『栄花物語』『大鏡』といった歴史物語、『枕草子』、などのかな文学をはじめとして、勅撰三漢詩文集に始まる平安朝漢詩文など──を研究対象とすることができます。
<3年ゼミ 第一演習>
3年生のゼミでは『源氏物語』の一つの巻を全員で読み進めており、昨年度は玉鬘巻、今年度は須磨巻を扱っています。1年生の古典文字基礎演習で学んだことをいかし、翻刻、校異、語釈、現代語訳、考察を行い、発表します。古典文学の研究方法を学べるのはもちろん、先生やゼミ生から幅広い意見やアドバイスをいただくことができ、卒業論文執筆の土台を築くことができます。
<4年ゼミ 第二演習>
ここでは、3年次のゼミを受けて、各自の興味関心から卒業論文のテーマを決めて研究を深めていきます。意見交換や議論を経て、自らの考察を深めることもあれば内容の見直しにも繋がります。こうして卒業論文の制作を進めていきます。卒業論文の題目は以下の通りです。
<平成30年度卒業論文題目>
・『枕草子』の「をかし」について
・勅撰三代集における夢表現の変遷
・『源氏物語』における物の怪 -六条御息所を中心に-
・『伊勢物語』二条后と『源氏物語』の女君 -藤壺女御・朧月夜を中心に-
・『源氏物語』の乳母について
・『狭衣物語』における『源氏物語』の影響 -飛鳥井女君を中心に-
・大島本『源氏物語』「花宴巻」における仮名文字の使用規則について
・『源氏物語』における本文研究 -国冬本鈴虫巻を中心に-
・『古今和歌集』内の貫之歌の修辞法 -見立てを中心に-
・清少納言が男性に求めたもの ~藤原行成、藤原斉信との関わりから~
・『平中物語』の主人公 -主人公・平中像と作者の意図-
・『竹取物語』の主題とその変容 -「かぐや姫の物語」と比較して-
・『日本霊異記』中巻第三十三縁の生成
【ゼミ合宿について】
夏休みに開催するゼミ合宿では、4年生の卒業論文の中間発表が行われます。平成30年度は神奈川県の鎌倉、令和元年度は静岡県の伊東へ行きました。卒業論文の中間発表だけでなく観光や宴会もあり、ゼミ生同士・先生との交流に良い機会です。
【ゼミ生の声】
・私自身、昔から平安時代の作品が好きだったこともあり、同じ興味を持つゼミ生と共に勉強ができるのが楽しいです。このゼミに入ってよかったことは自分が知らなかった中古文学の知識を得ることができたことと、古典文学を読むのが速くなったことです。
・古典文学を研究したいと思い、このゼミに入りました。豊富な資料や文献があり、とても充実した質の高い研究が出来ます。私は『源氏物語』が好きなので研究していますが、あなたの推し作品もきっと見つかります。さらに、ゼミ合宿などでゼミ生同士の交流も深く、仲が良く温かい雰囲気のゼミです。
・毎時間、意見を交わし合ってゼミが進行するため、あらゆる角度から分析して、常に新たな発見をすることや今までとは違う見方を持てるようになり、自らの学びへの刺激に溢れています。私にとって、ゼミはとても充実した満足な時間です。
ゼミ担当:長瀬由美教授(『源氏物語』を中心とする平安時代のかな文学と、平安朝漢詩文を研究しています。)