「近世」は日本史において、おおよそ江戸時代を指します。つまり、「近世文学」=「おおよそ江戸時代の文学」です。
この「おおよそ」というのが実は曲者で、文学の「近世」をいつからいつまでと捉えるかは、文学史上の重要な問題です。何が問題か気になる人は、私たちと一緒に探究しましょう!
さて、江戸時代には、おおよそ(この「おおよそ」も曲者ですが)安定的な社会状況を背景に多彩な文化が花開きました。
文学の世界では、中世から物語・和歌・連歌・漢詩文・能といった伝統的なジャンルが引き継がれる一方で、その文学的伝統の中から、韻文では俳諧・川柳・狂歌・狂詩、散文では仮名草子・浮世草子・読本・談義本・黄表紙・洒落本・滑稽本・人情本・合巻など多岐にわたる新しい文学ジャンルが展開しました。人形浄瑠璃・歌舞伎という新たな芸能も誕生しました。
最近では軍書(合戦ルポルタージュ!?)や地誌(観光ガイドブック!?)なども近世文学の一領域と捉えられています。また、江戸時代には印刷技術が発達し、絵入りの版本(印刷本)で多様な文学作品が流布したため、「絵」も文学の一領域となっています。「それって文学?」と思った人は、「文学とは何か」を私たちと一緒に探究していきましょう!
古典文学の継承と斬新で多様な文学ジャンルの興隆。そこに「近世文学」の魅力があります。
近世文学は、高校までの古典の教科書に採用されている作品が限定的で、大学入試で出題されることも稀です。それは、すぐれた古典文学のパロディや二次創作であったり、政治風刺が込められていたり、性愛がテーマだったり、絵を中心に構成されていたりと、古典の初学者である中学生・高校生にはまだちょっと早いかな、というオトナ向けの作品が多いためです。
そんなオトナ向け作品も、大学生になれば全面解禁、挑戦歓迎。大学入学後に国文学科の授業で近世の様々な作品に接し、その面白さに惹かれた学生が近世文学ゼミの門を叩きます。
みなさんもぜひ、都留文科大学国文学科で近世文学の面白さ、楽しさを実感して下さい。
近世文学ゼミ担当教員 加藤敦子
近世文学に興味を持った人へお勧めの本
長島弘明編『〈奇〉と〈妙〉の江戸文学事典』(文学通信 2019年5月刊行)
→ ゼミで学ぶこと