ミャンマー政変と人的資本の危機ー
―労働者の適応戦略に着目して―
岡本 郁子 研究員(国際学部 国際地域学科)
Marie Lall 客員研究員(UCL教育研究所 教授)
ミャンマー政変と人的資本の危機ー
―労働者の適応戦略に着目して―
岡本 郁子 研究員(国際学部 国際地域学科)
Marie Lall 客員研究員(UCL教育研究所 教授)
背景
2021年2月に発生したミャンマーの政変は、それまでの経済改革によって改善傾向にあった国民生活を大きく悪化させました。コロナ禍による経済低迷の最中に生じたこの政変は、国軍の権力掌握に対する国際社会からの厳しい非難を招き、海外援助の停止や外資系企業の撤退が相次ぎました。その結果、国内の失業率は急上昇しています。その後の内戦の激化や2024年以降の徴兵制導入によって、若年層の国外流出も一層加速しています。こうした状況は、ミャンマーの経済成長に資する人的資本育成という観点からは、長期的に大きな負の影響を及ぼすと見込まれます。また、単に経済的側面だけでなく、労働者やその家族の精神的・身体的な側面を含むウェルビーイングにも深刻な影響を及ぼすことが懸念されます。
目的
2023年から2024年にかけては、政変後にタイ・インド国境地域への退避を余儀なくされた学生を中心とする若者層の実態調査を進め、彼らが直面する課題を明らかにしてきました。本研究では、焦点を労働者に拡大し、ミャンマー国内の農村部と都市部、およびタイ・ミャンマー国境地域において、労働市場の著しい変化にどのように適用しているのかを明らかにするとともに、そうした変化が彼らの経済的な状況のみならず、生活の質やウェルビーイングにどのような影響を及ぼしているかを明確にすることを目的としています。
主な活動
ミャンマー国内(農村部および都市部)とミャンマー・タイ国境地域(チェンライなど)での実態調査を予定しています。
2025年7月14日更新