トルコ・シリア地震後の復興都市計画立案にかかる共同研究



松丸 亮 研究員(国際学部 国際地域学科)

志摩 憲寿 研究員(国際学部 国際地域学科)

冨安 亮輔 研究員(福祉社会デザイン学部 人間環境デザイン学科


 本研究は2023年に発生したトルコ・シリア地震により甚大な被害を受けた地域の復興を学術的側面から支援し「より良い復興」を強く意識し持続可能な地域の創成にかかる知見を得るものであり、株式会社長大との共同研究の形で実施しています。


背景

 2023年2月6日4時17分(現地時間、日本時間10時17分)、トルコ南東部を震源とするマグニチュード7.7の地震が発生し、また同日13時24分(同19時24分)にも2回目のマグニチュード7.6の大規模な地震が発生しました。被害は都市部を中心に甚大となっており、多数の市民が避難生活を余儀なくされる状況となりました。

目的

 甚大な被害が発生したトルコ・シリア地震からの復興を学術的側面から支援し、かつ支援を通じて、2015年に仙台で開催された国連防災世界会議で採択された仙台防災枠組みで強調されている「より良い復興:Build Back Better」を強く意識しかつ持続可能な地域の創成にかかる知見を得ることを目的としています。


主な活動

2023年8月21日~25日にかけて研究対象のトルコ東部東アナトリア地方のM県にて現地調査を行いました。

 市街中心部は被害を受けた地区とそうでない地区がはっきりと分かれており、ほとんどの地域ではがれき等の撤去は進んでいましたが、一部倒壊した建物がそのまま残されている場所もありました。

 また、被害は地震の揺れによるものだけでなく、液状化に起因するものもあることがわかりました。                                          

 一方、郊外部の住宅地区は壊滅的な被害を受けているところも多く、がれき等の撤去も進んでいない地域が多く見られました。多くの家屋が土を固めたレンガ造りとみられ、耐震性に乏しい建物が被害を拡大させたと推察されます。

 地方政府およびAFADは、被災者用のコンテナ住居(右写真)、コンテナ商店を用意し、被災者の生計再建を支援していますが就労人口の流出に歯止めがかからないと言った声も聞かれました。

今後の計画

 発生したがれきの処理に加え、それらを利用した持続的な街づくりを模索することや、災害に強いだけでなくSMARTなインフラの再建を目指すこともこれからの復興に求められています。今後は、復興計画を主導しているトルコの民間企業に対し、学術的な側面から断続的に支援を行い、復興計画の実現を後押ししていく予定です。