国際開発学会 審査委員会特別賞を受賞しました

《受賞報告》

国際開発学会 審査委員会特別賞
『国際開発と環境―アジアの内発的発展のために―』

国際共生社会研究センター長

 北脇 秀敏

 

2014年11月29日(土)と30日(日)、国際開発学会第25回全国大会が千葉大学西千葉キャンパス(千葉市稲毛区)にて開催され、東洋大学国際共生社会研究センター監修、北脇秀敏、池田誠、稲生信男、高林陽展(編)による『国際開発と環境-アジアの内発的発展のために-』(朝倉書店、2012年)が本年度の国際開発学会賞・審査委員会特別賞を受賞いたしました。式典当日は、センター客員研究員の金子彰(元国際地域学部教授)が出席し、センター長の北脇秀敏の受賞スピーチを代読いたしました。

 国際開発学会長佐藤寛先生、賞選考委員長内海成治先生、ご来場の国際開発学会員の皆様、本日ここにこのような栄誉ある賞をいただくことができまして大変感激しております。

 東洋大学国際共生社会研究センターは、平成13年度に文部科学省の私立大学学術研究高度化推進事業であるオープン・リサーチ・センター整備事業により国際地域学研究科内に設置された組織で、平成22年度からは戦略的基盤形成支援事業の助成金を得て研究を続けており、その研究テーマは「アジア開発途上地域における内発的発展支援手法の開発」となっております。

 今回の受賞作であります『国際開発と環境-アジアの内発的発展のために』は、そのセンターの研究成果を中間的にとりまとめたもので、本年9月には続編「国際開発と内発的発展」を上梓しております。こうした出版活動が順調に進みましたことは文部科学省の助成金により各研究員が順調に研究を推進できたことと、遅筆な各著者を叱咤激励していただいた朝倉書店の森田部長を始め大勢の皆様のお力があったことが大きいと思います。この場を借りて御礼申し上げます。

 今回、賞をいただきました著作『国際開発と環境-アジアの内発的発展のために』は、本編7章と9つのコラムから構成され、カバーする分野も文系・理系の垣根を取り払った幅広いものとなっています。先生方の前で釈迦に説法ですが、途上国の開発は極めて複雑で既存の学問体系の一分野では到底なし得ないものです。受賞作の基となる研究を行いました東洋大学国際共生社会研究センターは、社会科学と自然科学とが融合して創立された国際地域学研究科が母体となって設立されたものです。そのため、受賞作のような分野横断的な研究に基づいた研究が可能になったものと考えております。

 なお、国際共生社会研究センターは、文部科学省助成によるアジアの内発的発展に関する研究を一応今年度で締めくくり、来年度からは研究対象地域にアフリカを付け加えて新たな出発をきるべく構想中です。本著を始め現在のセンターにおける研究活動で培った内発的発展に関する知見を、新センターでは現実の途上国支援プロジェクトに適用するための手法を模索する予定です。国際開発学会の専門家のみなさん、ぜひこれからも当センターの活動にご理解を賜り、開発途上国の内発的発展のためご協力をいただきますようお願い申し上げます。最後になりましたが今後国際開発学会がさらに発展され、国際開発のための強固な研究基盤を構築されることをお祈り申し上げてお礼の言葉とさせていただきたいと思います。