第1回　保存修復を経て文化財『狭衣』を　未来へと伝える

ページ作成日：2021年7月26日 （2023年7月28日サイト移行に伴い一部修正）

指定の理由として、東洋大学の「狭衣」は鎌倉時代の本として古くから伝えられており、紙の劣化損傷や虫による被害が極めて少なく、非常に良い状態で残されていることが挙げられます。

しかし、いくら状態が良いと言って何もせずにそのままにしておくと、劣化の進行を防ぐことは出来ません。
日本の文化財の保存において、まず劣化・損傷しないように処置することは、文化財活用のための大前提となります。そして文化財の修復は、原物の尊重とその維持を第一とします。

図書館では平成23年度に国と東京都の補助を受け、狭衣の保存修復作業を行いました。
実際の修復作業は高い技術を有した専門業者が行いますが、図書館では貴重書を未来へと伝えるために、このような維持管理も一業務として担っています。

修復作業は「狭衣」が本来もっている風合いや全体の様子を極力変えない方針で行いました。

「狭衣」の修復の様子を、BeforeとAfterの画像でご紹介いたします。

「狭衣」には、付箋を貼った後と思われる糊の付着や不審紙の紙片が数多く見られました。これらは「狭衣」が使われてきた経緯を示すものであり、それ自体に歴史的価値を有していると考えられます。よって全て残して修復を完了しました。

貴重書デジタルアーカイブでは、目視では見られない詳細部分を拡大機能により閲覧することが可能です。
現在「狭衣」も貴重書アーカイブにて一部を公開しています！

ぜひこの機会に「狭衣」を貴重書デジタルアーカイブで眺めてみてはいかがでしょうか？

＜保存修復と『狭衣』に関する図書館資料＞