電気刺激で植物の成育向上

口上

近年,適当な電気刺激が植物の成長をうながすということがわかってきています.

いろいろな作物に電気刺激を与えてどうなるか調べています.

ハツカダイコン

炭電極(白炭)を土を入れたプランターの両端に差し込み,ハツカダイコンの種をまいて電極に適当な電圧をかけて刺激を与えながら育てると,同じ栽培日数で通常の場合よりも大きく育ちました.生育促進剤のような薬剤を使わないので環境に優しく,収量の増大,植物工場における生産サイクルの短縮,食糧問題の解決に貢献できることを期待しています.

電気刺激を与えるシステムは簡単です.

制御装置で周期的に電源をON/OFFするだけです.

種をまいて29日後に収穫.生育の差が明確です.

右端:電気刺激を与えないハツカダイコン

左の3つ:それぞれ異なる電気刺激を与えたハツカダイコン

サフラン

花の中心部に三本の赤い雌ずい(雌しべ)ができます.これを乾燥させたものが香辛料や漢方薬として用いられます.これに含まれるクロシンは抗ガン作用がある機能性成分です.

1gの雌ずい(花160個分)が1000円以上 する,世界で最も高価なスパイスの一つです.採取は開花直後に手作業で行い,非常に手間がかかります.また,一度にとれる量はとても少量です.そのため国内生産量は非常に少ないです.

・一斉に開花させることができれば,一度に摘み取れるので手間が省ける

・クロシンの含有量を増大したい

というわけで,植え付け前のサフラン球根に電気ショックを与えました.所要時間1秒.電圧は企業秘密.サフランはいい迷惑.

ホームセンターで何の変哲もない土を買ってきて,電気ショックをかけた翌日(某年8月27日)に植えました.温度管理をしないガラス室で水道水だけを与えて育てました.

同年,11月11日の状態


左端は電気ショックをかけないもの,右の3つは電気ショックを与えたものです.よく咲いています.

クロシンの含有量も1.2倍になりました.

◎サフランは土に植えなくても発芽・開花します.某年7月から10月の第1月曜日に球根頭頂部に電気刺激を与えました.土に植えず,暗所で栽培しました.

電気ショックをかけないもの(同年10月17日)

電気ショックをかけたもの(同年10月17日)

電気ショックをかけないもの(同年11月28日)

まだ咲いていません

電気ショックをかけたもの(同年11月28日)

開花しています

適切な電気ショックで

  • 開花の増加
  • 開花斉一性の改善による雌ずい採取の手間削減
  • 薬効成分増大
  • 生産サイクルの短縮

が期待できます.