平賀源内のエレキテルはどのようなものであったのか?

平賀源内が作ったといわれているエレキテルは2つ現存します.1つは東京の郵政博物館(東京スカイツリー)に,もう1つは平賀源内先生遺品館(香川県さぬき市)に収蔵されています.

上の写真は平賀源内先生遺品館に収蔵されているものです.

ガラス瓶に付いているハンドルを回すとギアによって枕も回転し,相対的に回転速度が2倍になるような構造になっています.

図中の寸法は私が写真から割り出した寸法です.4つの円形のものは松ヤニを固めた「台」です.この上に右の図の「フタ」をかぶせると,ブラシがガラス瓶に接触し,電極(右の写真でフタの上にでている棒状のもの)からガラス瓶に生じた電荷を取り出すことができます.このエレキテルにはライデン瓶がないので,初期のエレキテルと考えられます.

このエレキテルは次のように運転します.

(1)松脂の絶縁板を碁盤の脚の下に敷く.

(2)実験者Aが碁盤の上に乗る.

(3)実験者Aがエレキテルの電極にさわる.実験者Bがエレキテルのハンドルを回す.

(4)実験者Bがハンドルを回し終わったら,実験者Aが人などにふれるとAの指から放電が起こる.

このエレキテルは非常に古いものであり,現在ではもう発電しません.そこで,計算でこの発電特性を求めてみました.

エレキテルの等価回路は左図のようになります.

それぞれのパラメータは材質の物性値(理科年表などに載っています)と寸法から計算しました.電流源の値は復元したエレキテルの発電特性から推測した値です.

ハンドルを毎秒1~3回転させたときの状態です.

この結果から,「碁盤の上の人の指」から放電させるにはある程度長時間の運転が必要であったと思われます.