出土遺物の中には、そのままでは形が保てないものがあります。木製品、金属製品、土器、貝・骨・種子などの動植物遺存体等、材質も様々です。そのため、それぞれに適した「保存処理」を施すことが必要となります。今回、展示した木製品、金属製品、動植物遺存体は、いずれも埋蔵文化財調査室にて保存処理を行いました。
木製品は、木の成分をほとんど失っていて、水を含むことで辛うじてその形を保っています。そのため、木製品の保存処理は、含まれる水分を処理剤に置き換えて固める方法を用います。当調査室では、「ラクチトール」や「トレハロース」という糖アルコールの一種を使用しています。
①保存処理前の木製品
乾燥しないように水漬けで仮保管。非常に脆い状態。
②保存処理(1)
ラクチトール水溶液に漬ける。段階的に濃度を挙げてしみ込ませた後、粉末をまぶす。
③保存処理(2)
乾燥後、表面をクリーニング。
④保存処理後の木製品
変形を防ぎ、ある程度の強度も保てる状態。展示などに活用可能。
鉄や銅の金属製品は、土中で徐々にさびが進みますが、発掘後、空気に触れるとさびが一気に進み、崩壊する場合もあります。さびの主な原因は、酸素・水分・塩分です。これらを引き離すことが、金属製品の保存処理の主要な目的となります。処理後も適切な温湿度の管理が重要になります。
①保存処理前の古銭
さびで覆われ、文字もはっきり読み取れない状態。
②保存処理中(1)
表面のさびを除去。顕微鏡で精密に行う。
③保存処理中(2)
脱塩処理後、水分を除去し、合成樹脂をしみ込ませる。
④保存処理後の古銭
「寛永通宝」の文字が明確に見える。光沢、色合いも変わる。