10年前に小さなIT企業で客に罵倒され続け、バーンアウトして倒れました。
1年半入院し、1年自宅療養した後、パート時短で5年半。元の仕事に復帰できるまでに8年近くもかかった。
仕事自体が辛かったわけじゃない。残業が続いても、休日がなくても、どれだけ忙しくても、そのこと自体が底付きの直接の原因ではなかった。客に理不尽なことを言われても、プロジェクトを成功させるためには耐えられた。私がどうにもならなくなったのは職場に相談できる味方が一人もいないと絶望した時だった。責任者が何人もいて、部下も何人もいて、けれど誰にも頼れないし、誰も助けてくれないと思っていた。
日本でWAを立ち上げるために、まずはアメリカ西海岸で開催されたWAカンファレンスに初めて参加した時、最終日のパーティ用にお菓子を買いに行くという年配の仲間が私の部屋まで一緒に行くか?と迎えに来てくれた。私は慌てて、出かける準備をしようとしたら、その仲間が「Don’t rush.(急がないで)」と静かに言った。一瞬意味がわからなかった。英語だったからでなく、初めて聞いた言葉のような気がした。
私はいつだって焦って追い詰められている。もたもたして怒鳴られたりしないようにどうしても焦ってしまう。トイレもお風呂も食事をするのも、何をするにもいつも次にすることを頭の中で準備しながら、いつも今、ここ、にいなかった。
今でも、仕事中何度もあたふたして、周囲の人に「落ち着いて~(笑)」って言われる。それでも昔より近寄りがたい雰囲気がないから、そうやって笑いながら自分のちょっとおかしな状態を指摘してもらえるようになった。