2017横浜アディクションセミナー資料集<仲間のわかちあい> -WA体験談2-

WAにつながって

WAカナです。私は幼い時からずっと母親から「がんばりやさん」と呼ばれてきました。そして大人になってもがんばることは良いことだと心から信じてきました。そんな中、仕事であまりにも苦しい事が続いて起こり「私の仕事の仕方には問題がある」ということを認めざるをえない機会が与えられ、WAにつながりました。

初めてWAのミーティングに参加した時、仲間のみんなと文献を読み合わせしました。その時「私たちは、実際の自分よりもっと仕事ができるように見えれば、皆が自分をもっと好きになってくれるという錯覚を持っています」という箇所を読んだときに、気づいたら涙が出ていました。今まで自分が「がんばりやさん」でずっと死に物狂いでやってきたのは、そうすることで皆が自分をもっと好きになってくれると思っていたからなのか、と初めて気づきました。それから約一年、ミーティングにはあまり参加できていませんが、仲間のおかげでステップワークを少しずつ進めています。

WAの問題は純粋な仕事だけでなく、私の活動全般に及んでいます。私は今育児休業中ですが、仕事をしていなくても育児や家事、活動の仕方がおかしいということに気がつきました。WAの文献の中に「アドレナリン・ハイ」という言葉があります。アドレナリンとは興奮作用がある脳内物質という程度は知っていて、試験の時やプレゼンの前などにアドレナリン・ハイになっているんだろうな、と思っていました。しかし仲間とステップワークを続けるうちにアドレナリン・ハイはもっと自分の仕事と生活全般を覆っているということに気がつきました。仕事のやり方がおかしくなっていたのも、アドレナリン・ハイが関連していました。経費精算やクレーム処理などの気が乗らない仕事は「やらなければ」と恐れを感じてアドレナリンを出さないと取りかかれないという状態にまでなっていました。仕事だけでなく家事も同じでした。例えば、私は外出前には決まって急いで家事を片づけなければという強迫観念にとりつかれます。また帰宅時もバタバタしてあれもこれもしなきゃ、といつも焦ります。これらは自分で「やらなければ」と勝手に危機を作り出し、アドレナリンを出すことで物事を片づけているという状態なのだと今は理解しています。

私は今、二人の子供を育てています。今までは子育ては問題なくできていると思ってきましたが、このアドレナリン・ハイがわかってくると、今まで見えていなかったことが見えてきました。私は子供が泣いたり機嫌が悪くなると、強く緊張します。それだけでなく、普通に子供と遊んでいるときでさえずっと緊張しています。子供を機嫌悪くさせてはいけない、楽しく遊んであげなければ、うまく受け答えしなければ、上手に絵本を読まなければ、泣いたらすぐに泣き止ませければ、9時には寝かさなければ、虫歯にさせてはいけない、 文字を覚えさせなければ、自転車を練習させなければ、病気にさせてはいけない…。私の子育ては子供への愛情よりも恐れに支配されていました。恐れがあるとその通りにならないとイライラしてとても苦しいです。仕事もそうです。怒ってるお客様をなだめなければ、完璧な資料を作らなければ、プレゼンを絶対に成功させなければ、この資格を取らなければ…。「やらなければ」という恐れからくるアドレナリンだけが仕事を進める原動力でした。だから私は、仕事も子育てもすべてが苦しい状態だったのだと思います。「がんばりやさん」の実像は、怖いからやらなければと苦しんでいる姿でした。

これまではそういう生き方しか知りませんでした。でも今、私は恐れを取り除かないと苦しいだけということを知っています。WAのおかげで新しい生き方を学ぶ機会が与えられたこと、そして回復の道を一緒に歩いてくれる仲間に感謝しています。