■横すべり零化撃心横加速度制御
文献[1]で提案した四輪アクティブ操舵則は,右辺第三項と第四項からなるスライディングモード制御器によって,パラメータ変動や横風外乱が作用する場合でも,実車両挙動が規範モデル応答に追従するように制御する.ここで規範モデルは,運転者のステアリングホイール入力に対して,常に車両横すべり角が零となり,ヨーレートや重心横加速度が一次遅れ系となるように設定する.
ただし,上式において,uf, ur は前後輪実舵角,β は車体横すべり角,γ はヨーレート,m は車両重量,v は車速,lf, lr は重心から前後輪軸までの距離,l はホイールベース,Iz は重心軸まわりのヨー慣性モーメント,Kf0, Kr0 は前後輪のコーナリングパワーのノミナル値,δ はステアリングホイール角,ks はステアリング比,ρ1, ρ2は正定数, σ=[σ1, σ2]T はスライディングモード制御器の切換関数を表す.
この四輪アクティブ操舵則により,実車両挙動が規範モデル応答に追従するとき,後輪に関する撃心横加速度apは,運転者のステアリングホイール角δに比例する.ここで,従来の2WS車両のステアリングギア比 ks0 を用いて,ks=ks0* 2Kf0l2 / lr m v2 となるように設定すると,曲率κの定常円旋回に必要なステアリングホイール角は,δ=ks0 l κとなり,ニュートラルステア特性となる.
参考文献
[1] 平岡敏洋, 西原修, 熊本博光, モデル追従型スライディングモード制御による四輪アクティブ操舵車両, 自動車技術会論文集, Vol.35, No.4, pp.163-169 (2004.10)