プロローグ
突然ですが、以下のようショートストーリーを頭に描いて下さい。
ある町内に武さんと文さんというおじさんがいる。二人は子供のころからの友人だ。武さんは町内で八百屋の店を出している。毎日良く働き、店の休日には、近くの「〇〇温泉」へ行き、ゆっくり風呂につかり、浴槽の片隅の電気風呂が好きで、必ず長時間体に電気を通して楽しむことにしている。
文さんは親譲りの財産家で、アパートの大家で左うちわで暮らしている。鳥と花が大好きで、庭には大きな鳥小屋を建てて、インコや文鳥、雀などの小鳥や鶏、雉なども飼っている。広い庭は奥さんともども育てるいろいろな花が咲き乱れている。
ある日のこと、武さんが野菜の台の上を整理していたら、なんと台の片隅に青虫がうごめいている。こん畜生メとすぐに踏みつぶしてしまった。そこへ文さんが「こんちわ」とやって来た。その時、誰かが捨てたらしいバナナの皮、つまり果物の衣の上にうっかり足をのせたものだから、滑って思わずよろよろとした。武さんがあわてて抱き留める。「誰がこんなところに皮なんかすてやがって!」と武さんはぶつぶつ言いながら、ゴミを片付けていた。
(よく頭に入れて下さい。この太字部分が後で役立ちます)
●75歳以上の人の運転免許
さて、話を変えて、後期高齢者の免許の話に移りましょう。75歳以上の人が運転免許を更新する時は、高齢者講習とともに認知症テストを受ける必要があります。
また、平成30年3月から、75歳以上の人が、たとえ軽微であっても、交通違反で捕まると、認知症テストを受けなければならなくなりました。理由なく受けないと免許停止となります。
そこで、このテストに合格は勿論、高得点で合格することを考えます。実際には76点以上取れればいいのですが、自己満足の上から、少しでもいい点を取りたいのが人情でしょう。そこで、この認知症テストの中身を調べます。
テストの問題は以下の4つになっています。
1.この問題の主目的は、何月、何日、何曜日、何時、何分というのがちゃんと書けるか(時間認識)。
2.記憶の問題です。四つずつのイラストがある画面を4枚見せられ、これら16のイラストを暗記させられます。我々高齢者にとって一番苦
手な 問題です。出題時には説明があり、最初はイラストの品名だけ、次はその品名の分野がヒントとして説明されます。
2‘.この問題は、数字がでたらめに並んでいて、この中から例えば1と5に斜線を引け、とか言われます。時間制限があります。この問題
は、実は目くらましで、2で暗記した問題に混乱を与えるためのものです。最終得点には関係ありません。適当にやって、覚えたイラスト
を忘れないようにすることが大事ですが、と言って何もしないわけにも行きません。
3.次が大問題。問題2で覚えたイラストの品名を、順番はどうでもいいから、思い出してできるだけたくさん書け、です。当然時間制限が
あります。
3‘.もう一つの記憶問題。この用紙には、覚えた16種のイラスト品名の分野がヒントとして示されているので、これから連想してイラストの
品名を書く。3ができれば、この問題は楽勝できる。
4.最後の問題。白紙に時計の文字盤を描き、更に監督者の指示した時刻を針で示す。受験室の時計の文字盤は隠されています。腕時計も最
初から外すよう指示されます。別に難しい問題ではないようですが、配点は一番多くなっています。結構こればできない人が多いそうで
す。
(問題用紙の番号と上記番号は一致しませんが、要はテストは4つということです。)
問題用紙を見てみましょう。以下のurlにカーソルを合わせると、カーソルが掌マークに変わります。そしてクリックすると問題用紙にジャンプします。
ジャンプしない場合は、urlをコピーして、適当な検索画面(googleなど)に張り付けてして検索して下さい。
http://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninti/kensayoshi.pdf
さて、これらの問題の中で一番嫌なのが、前述したように、2と3の暗記問題です。実際我々高齢者の物忘れは日常茶飯事ですからねえ。こういう川柳があります。
「万歩計半分以上は探し物」
笑えませんね。それ故、この問題のことを考えると憂鬱になります。
これらはどんな問題でしょうか?
まずどういうイラストなのか見てみましょう。一回のテストでは、4つのイラストが書いてある画面が4枚、合計16のイラストを1枚1分ほど見せられて、それらを暗記することになります。
これらの画面は実は4種類しかなく、パターンA,B,C,Dと分類されているので、これを見てみましょう。以下のurlを前と同様にクリックすれば、必要ページにジャンプします。
パターンA
http://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninti/patterna.pdf
パターンB
http://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninti/patternb.pdf
パターンC
http://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninti/patternc.pdf
パターンD
http://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninti/patternd.pdf
これらの画面を見て64種類のイラストをあらかじめ暗記しておいてもいいのですが、それでは大学入試の丸暗記方式みたいで効率が良くありません。もっといい方法はないか?「いい国作ろう鎌倉幕府」(鎌倉幕府の成立は1192年)みたいに!
そこで、これらのイラストを分類して並べてみると、ある特徴があることがわかります。その表を以下に示します。
その特徴とは、どのパターンでも最初から順に
武器、楽器、体の一部、電気機器、虫、動物、野菜、台所用品、文房具、乗り物、果物、衣類、鳥、花、大工道具、家具
となっています。
これで、プロローグの意味がおわかりでしょう。太字でアンダーラインの文字がキーワードで、ほぼこの順番になっています。
では、これらの字を暗記することを考えます。プロローグのショートストーリーのシーンは暗記するうえで大事なのです。ただし、屋台が野台(ヤダイ)と覚えること、また大家はオオヤでなく、ダイカと覚えるといいですね。
これらを表にしてみましょう。下をご覧ください。
〇暗記の一方法
暗記する方法はいくらでもあるでしょうが、以下のようなことを考えました。
先のショートストーリーを4字熟語にすることを考えます。そのため文章を整理して枝葉を落とします。
1.武さんは、体に電気を通すのを楽しむ。
2.虫が野菜の台の上で動く
3.文さんは、果物の衣に乗る
4.鳥花の大家
これを、少々漢文調に変えます。
1.武楽体電 武は体電を楽しみ
2.虫動野台 虫は野菜台で動く
3.文乗果衣 文は果に乗り
4.鳥花大家 鳥花の大家
以上を、理屈はとも角、四字熟語として暗記して下さい。ただし、大家は勿論ダイとカです。
これで問題の16分野が4つの四文字熟語になりました。これを覚えておけば、その順番で問題は出てきます。こうしておけば、先のパターンの画をあらかじめよく眺めて、思い出せるでしょう。
ただし、答えを書く時、イラストの品名は、監督者が言った通りに書いて下さい。オートバイといわれたら、バイクとは書かない、ドライバーといわれたら、ねじ回しとは書かない、金槌といわれたら、トンカチとかハンマーとか書かないようにすることも大事です。
しかし、これらのイラストを見ると、今時目にしないブラウン管テレビとか、大型ステレオとか、相当に古くから同じ画を使っているようで、笑えますね。
なお、時間が限られているので、四文字熟語は考えずに思い出せるように日ごろから練習しておきましょう。武田信玄の風林火山ではありませんが、
「武虫文鳥」
などと覚えるのもいいですね。解答用紙の番号欄には先ず、
1.武
5.虫
9.文
13.鳥
と書いておき、それから下の文字を連想しましょう。さらにこれをブチュウブンチョウと読めば、ローマ字にしてBCBCですみます。
記憶というのは、連想でいろいろ思い出します。記憶術の名人は、アッという間に暗記ストーリーを考えて、連想で思い出すのだと、何かで読んだことがあります。16のキーワードがBとCだけで思い出せれば大変結構なことだと思います。
エピローグ
お恥ずかしい次第ですが、私こと去る30年11月13日に交通違反で捕まってしまいました。知らないところで一方通行を逆方向に走っていたのです。たった100mばかりのショートカット道路ですが、入口の標識に全然気づきませんでした。止まれ、とスピーカーで言われ、見たら後ろにパトカーがぴったりついていました。これで、ゴールド免許がパー、小遣い7000円がパーです。それで済んだと思っていたら、神奈川県公安委員会から、配達証明付きの郵便で、12月11日、午前8;45分までに、二俣川の運転免許センターへ出頭せよ。理由なく出頭しないと免許取り消しだ、と有無を言わさぬ命令です。これは前述したとおりです。通行禁止の標識を見落とすのがそもそも認知症の始まりだ、と言われたらそれも仕方のないことです。
そこで、この頃テスト内容がネットで見られるという話を聞き、10日の晩検索、一夜漬けしました。この時は16のキーワードを一生懸命暗記したつもりでしたが、本番の試験になったら気が焦ってしまって、96点しかとれませんでした。隣の席のおじさんも、ネットのイラストをコピーしてテスト直前まで見ていました。92点がとれたそうです。このおじさんは遠いところから来たので、今朝4時起きだとぼやいていました。
このテストを受けて、半年以内に免許書き換えの人は、このテスト結果が有効で、合格していれば、更新時のテストは受験不要だそうです。つまり、このテストの有効期間は半年しかないということですね。
私は、31年7月が書き換えなので、この制度外です。すぐまたテストをうけなければなりません。そこで、こんなアンチョコを考えた次第です。
しかし、テスト内容がオープンになっているということは、このサイトを見て予習して来るような人は認知症ではない、と国が認めているようなものです。
最低必要点は76点ですが、100点が取れるように祈っています。頑張って90歳過ぎても運転しましょう。
参考までに、最後に警視庁の関連ページのurlを書いておきます。
https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninchi.html
平成30年12月16日
青柳 勝