著者 ロバート・M. ワクター
3.5 5つ星のうち 6 カスタマーレビュー
ダウンロード新たな疫病「医療過誤」Book PDFロバート・M. ワクター - 内容紹介 本書の特徴 1:世界最高の医療水準を誇る米国で死因の第5位をしめ、先進諸国では国家的な問題とされ、流行病のように蔓延している「疫病」である医療過誤を、冷静にまた学術的に高度なレベルを保ちながらも、医学の専門用語をできるだけ少なくして、一般読者にも読みやすい本として書かれています。 2:医療過誤の豊富な事例を正確に知り、さらにその原因を科学的に客観的に分析した医療過誤ノンフィクションは、日本ではまだありません。 3: 医療現場のプロたちが何を考え、感じ、いかに行動するのか、その内幕を知ることができます。また「付録Ⅳ:病院、医療グループ、医師にしておきたい質問」に見られるように、本書の内容は患者にとって医療事故発生予防に役に立ちます。 4:医療過誤は誰かひとりの責任追及ではなくなりません。過ちをおかしてしまう、事故をおこしてしまうという、人間にとって不可避な事象をどのように防止するか。医療における安全性についての正しい認識をもち、「システム思考」を身につけ、医療過誤のおこらないシステムつくることの重要性を示します。 【対談】 「一冊の本」2007年3月号 福井次矢(ふくいつぐや)聖路加国際病院院長/柳田邦男(やなぎだくにお)ノンフィクション作家 ■医療とは患者の謎を解くこと 柳田:第六章の「謎を解くには」に、シャーウィン・B・ヌーランドの『人間らしい死にかた――人生の最終章を考える』(河出書房新社)から引用された言葉が出ています。引用されている言葉とは、「『謎』を解いて得られる満足感は他の何ものにも代え難く、この満足感こそが、医療界で最も高度な教育を受けた専門家たちが臨床の現場に情熱をもって臨む原動力となる」というものです。すばらしい表現だと思います。 医師が仕事をするモチベーションというのは、やはり何万人という患者さんそれぞれの病気の謎、一例一例の症状の謎を解いていくことの知的エキサイティングさにあるんだと思うのです。医師が困難な仕事に挑む動機について、こういうとらえ方をした文章に初めて出会いました。「ああ、納得」という感じですね。 しかし、そういう医師にも魔が差す瞬間がある。本当に謎を解くためには、心を真っ白にして対象を見なくてはいけない。しかし、プロになってくると思い込みが入ってきてしまう。 福井:しかも、だんだん思い込みが強くなってきます。 柳田:エドガー・アラン・ポーの『盗まれた手紙』に、家宅捜索しても見つからない手紙が玄関を入ってすぐの、いちばん目立つ状差しにさりげなく挿してあった、というのがあります。こうしたことは、恐らく臨床の場ではたくさんあるんでしょうね。 福井:医師が専門分化していく中で、臓器の専門家、がんの専門医のような病気の専門家、それからカテーテルや内視鏡などの手技の専門家に細かく分かれてきています。日本ではさまざまな理由から手技の専門家に憧れる若い医師が多く、言葉や五感を介した診断や治療方針決定の専門家には、あまりなりたがりません。 アメリカは、一般内科やホスピタリストのように、人の全身を幅広い視点から診る医師は臨床判断の専門家だとみなされています。日本ではそのような専門家が著しく少なく、医療事故の問題解決が遅れている原因の一つのように思います。 出版社からのコメント この本の著者は医療事故の世界屈指の研究者である米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校メディカル・スクールのR.M.ワクター教授とK.G.ショジャニア準教授です。監訳は聖路加国際病院院長・福井次矢先生、訳者は原田裕子さんです。 米国で一流と言われるメディカル・スクールの現役教授たちが、医療界の沈黙を破って、命を託した医療システムに裏切られていった患者たちの実際の話を語ります。激増する新たな流行病(疫病)について、患者さん、医療提供者の両サイドから冷静に分析した大型ノンフィクション。 各章の冒頭には医療現場の出来事が臨場感をもって語られ、さながらテレビドラマの「ER」を見ているように面白く読めます。保健医療システムの実情、人数の不足で超過勤務にあえぐ医療従事者たちの悲劇……。それは、次の犠牲者にならないために、患者とその家族が是非とも知らねばならない現実といえます。 事例はどれも印象深く書かれています。 第1章の「患者の取り違え」では、本来EPS(電気生理学的検査)の処置を受けるはずであったモリソン夫人とモリス夫人の取り違え。17の過誤が積み重なった経緯が詳細に書かれています。第8章「あれ、忘れ物をしたかな?」に描かれているのは、2002年10月、空港である女性が金属をすべて除いてもどうしても金属探知機が鳴ってしまいゲートを通過できないという出来事。その後検査の結果、なんと4カ月前に手術を受けた際の腹部への忘れ物開創鉤(かいそうこう)が見つかったのです。また第14章「秘密をもらす」では小児心臓外科医として医療界のスターであった医師が、単純なミスのために患者を死亡させてしまった例が紹介されています。臓器提供者と被提供者の血液型照合の確認ミスでした。 豊富な事例をもとに、最終的に間違った行動や判断をしてしまった個人への責任追及だけでは決して医療の安全性は高められないことを伝えています。 内容(「BOOK」データベースより) 次の犠牲者にならないために。日々発生するアメリカの医療過誤の実体を冷静に分析した衝撃のノンフィクション。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) ワクター,ロバート・M. 医学博士。UCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)メディカル・スクール教授、UCSF医療センター医療サービス部長。UCSF患者安全委員会委員長。病院医療協会初代会長。医療過誤に関する専門誌2誌の主席編集委員を務めている ショジャニア,ケイヴェ・G. 医学博士。UCSFメディカル・スクール助教授。臨床医、教育者、病院の質と患者の安全についての研究者。患者の安全に関する専門誌の編集委員。2002年に病院医療協会より若手研究者賞を受賞している 福井/次矢 聖路加国際病院院長、京都大学名誉教授。1976年京都大学医学部卒業。聖路加国際病院研修医・医員。1980年より4年間、アメリカ・コロンビア大学、ハーヴァード大学留学。1984年ハーヴァード大学公衆衛生大学院修士課程修了。国立病院医療センター(現国立国際医療センター)、佐賀医科大学(現佐賀大学医学部)、京都大学大学院医学研究科臨床疫学教授、同医学部附属病院内科総合診療科科長を経て現職。「総合診療」や「根拠に基づいた医療(Evidence‐Based Medicine=EBM)」の推進・医学教育の改革に貢献してきた 原田/裕子 1982年慶應義塾大学経済学部卒業。同大学在学中に日米会話学院同時通訳科修了。1985年慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了(英米文学専攻)。1986年防衛大学校外国語教室助手。同校専任講師、助教授を経て1996年退職。2000年米国シモンズカレッジ看護学部卒業。米国マサチューセッツ州登録看護師免許取得。同年マサチューセッツ総合病院神経外科病棟勤務。2003年看護師免許取得。特別養護老人ホーム医務室勤務、千葉県立衛生短期大学非常勤講師を経て、日本看護協会国際部勤務。2007年1月、日本看護協会退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
以下は、新たな疫病「医療過誤」で最も役立つレビューの一部です。この本を買うか読むかを決める前に、これを検討する必要があるかもしれません。 自意識過剰で協調性に欠ける医師の絡む医療事故防止の困難さが良くわかる。間違った足の手術防止のためにマークを徹底しようまでは意見が一致したが、マークするのは(A)手術する足にする、(B)手術しない方の足 に割れた話を読んで笑ってしまった。医療過誤はあるものと思って医師に掛かるべきとの覚悟を決めた。某県の医師会病院建設計画の会合に出席してことがあるが、会議進行の下手なことと、自分勝手で協調性のないことに驚いたことがある。社交性のない牧童か農民の集まりの様であった。一般の会社での会議とは全く違う雰囲気であり、とてもまとまりそうも無いと言うのが正直な印象。幸運を祈って病院へ! この本には医療現場でおきる種々の医療過誤の具体例が述べられている。医療従事者であれば日常的に遭遇している、もしくは遭遇する可能性の高い話ばかりである。しかし、一般の人にとっては病院とはこんなにお粗末で危険なところかと驚くであろう。ここに語られている一つ一の話はそれなりに興味深く教訓に富んだ話ばかりでリスク管理の話からベイズ定理、システム論と展開されている。「ミスを犯さない医師はいない。」この前提-本質-に立たないと医療過誤に対する対策は立てられない。この本を読んだからと言ってどうしたら良いのかと言う明快な回答が示されているわけではないが、けして過誤を犯した医師を罰することで解決できる問題ではない。私は医療過誤をおかした医師を民事だけでなく刑事告発すると言う日本の現状の異常さが、現在の医療崩壊の原因と考えている。けして医師数が足りないだけではない。是非、検察・マスコミの方に読んで頂きたい本である。 Tags:新たな疫病「医療過誤」PDFダウンロード新たな疫病「医療過誤」PDF新たな疫病「医療過誤」のePub新たな疫病「医療過誤」ダウンロード新たな疫病「医療過誤」オーディオブック新たな疫病「医療過誤」ダウンロードブック新たな疫病「医療過誤」発売日新たな疫病「医療過誤」試し読み新たな疫病「医療過誤」ネタバレ新たな疫病「医療過誤」amazon新たな疫病「医療過誤」download新たな疫病「医療過誤」kindle