原生生物(プロチスト)の新種を記載するには

原生動物園 Review

原生生物(プロチスト)の新種を記載するには

著者:山口晴代*

原生動物園 Vol. 3: 9-15 (2012)

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「種を記載し,生物の類縁関係に基づいて分類体系を組み立てること」を目的とした分類学と呼ばれる学問は,人間のためにあると言っても過言ではない。種が存在するか否かは別の問題として,生物aと生物bが外部形態やDNAの塩基配列で異なると人が認識できる場合,分類学者はそれらを別の生物と捉え,分類学のお作法に則って異なる名前を与える。このプロセスを経ることではじめて,かつて多くの先人たちがそれぞれ好き勝手な名前で呼んでいた生物を他の生き物と区別し,共通の名前で呼ぶことが可能になる。このように,分類学は人間が生物を認識するために重要であり,分類学者には生物の類縁関係に基づいた人間の認識しやすい分類体系(=自然分類)を構築することが求められる。しかし,生物の分類体系とひとくちに言っても,分類群ごとにその分類体系の複雑さは異なっており,ある属に含まれる生物群が別の属に含まれる生物群と同じくらい外部形態が異なって,DNAの塩基配列も違うわけでは必ずしもなく,分類群毎にその分類基準は異なっている。(続きはpdfで)

*) 国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター

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