2021年度 CAPE公開セミナー論理学上級I:様相論理、もう一歩先へ

今年度も論理学上級を開講することになりました。随時情報更新していきますので、このページおよびtwitter @takuro_onishi をチェックしてください。

日程

3月19日(土)、20日(日) 各日10:30-12:00, 13:00-16:30

YouTube ライブで配信 (※各コマの開始・終了時刻は少し前後する可能性があります。)

講義概要

様相論理と言えばフレーム意味論(a.k.a.可能世界意味論)ですが、今回の講義ではその一歩先に進んで、様相論理の代数的意味論を学びます。主要な目標は、フレーム意味論にかんする様相論理の完全性定理の代数的一般化であるJonsson and Tarski’s theoremです。フレーム意味論よりも強力な代数意味論を通じて、様相論理への理解をもう一段、深めたいと思います。

[3/13更新版] 様相論理と言えばフレーム意味論(a.k.a.可能世界意味論)ですが、今回の講義ではその一歩先に進んで、様相論理の代数的意味論を学びます。フレーム意味論で興味深いのは何と言っても、公理とフレームの性質のあいだの対応関係(□A→□□Aは到達可能性が推移的なフレームでのみ妥当になる、とか)です。では、こうした対応関係(とくに1階述語論理の式で定義できる性質とのそれ)が成り立つのは、どのようなときでしょうか。これをここでは「対応問題」と呼ぶことにしましょう。また、公理とフレームの性質の対応関係は、証明論と意味論の間の完全性とはまた別の概念です。では、ある公理を含む論理が、それと対応する性質を備えたフレームのクラスにかんして完全になるのはどのようなときでしょうか。これをこんどは「完全性問題」と呼ぶことにしましょう。この「対応問題」と「完全性問題」が、この講義で、代数的意味論を通じて取り組む問題です(その解決の全体を網羅することは難しいですが)。証明体系とフレーム意味論を直接扱うのではなく、それらを代数の世界に移して(映して?)考えることで、少し見通しがよくなります。標準的な枠組みから一歩先に進んで、様相論理への理解をもう一段深めましょう。

講義資料

レジュメです。更新していきます。間違いありましたら教えてください。

  • Ver. 1.1 (3/20) 講義中に判明した誤植、間違いを修正したものです。講義終了後に気づいた間違い(命題30)の訂正も含まれますのでご覧ください。

  • Ver. 1.0 (3/18) 講義はこれを使って行います。間違いが発見されたら講義後に修正して公開します。

  • Ver.0.91 (3/17)

  • Ver.0.9 (3/16)

  • Ver. 0.8くらい (3/15)

受講対象者

哲学・論理学・言語学・計算機科学などを専門とする大学生以上を想定していますが、どなたでもご参加いただけます。前提知識としては、(1)様相論理の可能世界意味論に触れたことがある(拙著『3STEPシリーズ論理学』の4章まで読んだ、くらい)、(2) ブール代数について聞いたことがある、程度です。

参考文献

  • Blackburn, de Rijke and Venema, Modal Logic, Cambridge U.P., 2001 (とくに第5章)

https://www.cambridge.org/core/books/modal-logic/F7CDB0A265026BF05EAD1091A47FCF5B

  • 大西琢朗『3STEPシリーズ論理学』昭和堂、2021年

※レジュメを配布・公開しますので、購入の必要はありません。