微小コウチュウの飼育方法
生態情報を得るためには、野外での観察も重要ですが、飼育することにより身近においておくと、観察も容易になることから、飼育も重要と言えます。また、研究で幼虫を得たい場合には、成虫を飼育して産卵させることが近道でもあります。ここでは、主にケシキスイ類の飼育の方法を紹介します。
容器
容器の汚れにより菌が繁殖して、飼育失敗ということは頻繁に起こります。そのため、まずは容器の減菌処理は、重要であるといえます。減菌には、オートクレーブを用いれば良いのですが、そのような機材がない場合、次亜塩素酸(漂白剤)に漬けたり、消毒用エタノールスプレーで拭くことでもある程度効果があります。
モノタロウHPより
※左の二種類の飼育ケースの底に直径がちょうど良いサイズのろ紙。飼育する際に下に敷いておくと、ひっかかりが出来て昆虫が歩行可能になるほか、汚れも吸収してくれる。
餌
たとえば果実食の昆虫を飼育して,卵・幼虫のサンプルを得たい場合を考えます.パイナップルを与えて飼育する場合,パイナップルを与える分量ごとに切り分けておき,冷凍保存しておきます.餌が古くなったら,解凍したパイナップルを与えます.同様に,シダの葉柄を食べる昆虫の場合,切り分けて冷凍したシダを解凍して,与えることもできます.このように,餌を冷凍保存して与えると,効率良く飼育できます.ちなみにですが,冷凍したバナナは,解凍すると液化してしまうようで,冷凍に不向きなものもありそうです.
飼育設備
例えば異なる2種を飼育していて,種間の幼虫の成長速度を比較したいとします.その場合,少なくとも温度と日長を一定にしておくと,純粋に成長速度のみを比較できます.この場合,温度と日長を調節できるインキュベータがあれば一番良いのですが,その設備がない場合は,卓上型の冷温庫(図),蛍光灯(図)およびプログラムタイマー(図)があると,代用できます.
実際の飼育の様子
観察の方法
昆虫を飼育していて,成虫の採餌状況,産卵場所,幼虫の採餌状況等々を観察したい場合,24時間実態顕微鏡で観察することはできません.その場合,デジタルビデオカメラ(図)を用いたり,簡易な方法としては,RICOH WG-40やTG-4などのコンデジのタイムラプス機能(例えば1分間に1回撮影するなど,一定時間後に自動で撮影する機能)を用いて記録することも可能です.上記WG-40では,タイムラプス機能で撮影した写真を動画として再生できる機能もあります.