線型代数学

担当 平地 健吾 <hirachi@ms.u-tokyo.ac.jp>

このページでは1年生理Iの線形代数の講義情報をのせます。

Text book

参考書「線形代数学」川久保勝夫著、日本評論社 1999

新装版2010は緑色のカバー;誤植が直っている.

シラバス

●9月16日の講義(1)

・行列式の幾何的な意味の説明(面積、体積の拡大率)

・置換の定義と記号の説明

・置換は積に関して群をなすことの説明(逆元の作り方)

・定理:任意の置換は共通文字をもたない巡回置換の積として表される(厳密な証明は下のcyclic.pdf参照)

・定理:任意の置換は互換の積として表される

・符号の定義

・符号は互換への分解によらない(証明は来週)

・置換の符号の定義

●9月23日の講義(2)

・符号の定義が互換への分解によらないことの証明(対称群の差積への作用を用いた)

・行列式の定義と3次以下の行列の場合の計算方法

・下半ブロックが0になる行列の行列式;とくに上半三角行列の行列式は対角成分の積

●9月30日の講義(3)

・行列式の列に関する線形性、列の入れ替えによる符号の変化(証明も与える)

・(列)基本変形を用いた行列式の計算

・転置行列の行列式(上記の結果は行について成り立つ)

・(行と列)基本変形とサラスの方法を用いた行列式の計算

●10月7日の講義(4)

・余因子展開の使い方

・余因子行列と逆行列の関係

・行列の積と行列式の関係

・正則性と行列式が0でないことの同値性

・Vandermondeの行列式

・基本変形による逆行列の計算方法

●10月14日の講義(5)

・固有値と固有ベクトルの定義と例

・固有値が存在しない実行列の例

・固有べクトルの幾何的な意味.実固有値が存在しなくても複素固有値が存在する例.

・固有方程式を用いた固有値の計算方法(2次,3次行列での計算例、上半三角の場合の計算)

・線形変換の固有方程式の定義とそれが基底の選び方によらないことの証明.

●10月21日の講義(6)

・行列が対角化可能である必要十分条件は「固有ベクトルからなる基底が存在する」

・2次正方行列が対角化可能なのは「スカラー行列であるとき」または「固有方程式が相異なる根を持つとき」

・異なる固有値の固有べクトルは一次独立である

・固有空間の次元は固有多項式の解の重複度以下であることの証明

・行列が対角化可能である必要十分条件は「固有空間の次元が固有方程式の解の重複度と一致する」

●10月28日の講義(7)

・2次正方行列のジョルダン標準形

・3次正方行列の対角化の計算例

・複素行列の三角化の証明

・多項式への正方行列の代入;行列の積と多項式の積の対応

・ケーリー・ハミルトンの定理(証明は来週)

●11月4日の講義(8)

・ケーリー・ハミルトンの定理の証明

・ケーリー・ハミルトンの応用:行列のベキの計算、逆行列の多項式としての表示

・内積空間の定義 (実数上のべクトル空間の場合)と例:ユークリッド空間、L^2空間

・内積の基本性質:中線定理(証明は来週)

●11月11日の講義(9)

・中線定理の証明

・ピタゴラスの定理、シュワルツの不等式、三角不等式

・正規直交系:直交系の一次独立性、シュミットの正規直交化

・ベクトル空間の直和の定義

●11月18日の講義(10)

・直交補空間の定義と例;二次元空間だと直線の法線が直交補空間、3次元空間だと平面の法線が直交補空間

・有限次元内積空間は部分空間とその直交補空間の直和であることの証明

・内積を保つ線形写像は等長線形写像でありその逆も正しい

・等長写像は単射であることの証明

・内積空間は次元が一致すれば計量同型である

・随伴写像の定義と一意性の証明(存在の証明は次回)

・随伴変換と転置行列に対応する

●11月25日の講義(11)

・随伴写像の存在証明

・等長線形変換を直交変換という

・直交変換 ⇔ 随伴が逆写像

・直交行列 ⇔ 列ベクトルへの分割が正規直交基底

・Hermite内積の定義といくつかの注意

・Hermite内積の実部は実内積を与える

・Hermite内積に関する随伴の存在

・Hermite行列とユニタリ行列の定義

・Hermite行列の固有値は実数であり,固有空間は互いに直交する

・Hermite行列のユニタリ行列による対角化 証明は来週

●12月2日の講義(12)

・Hermite行列のユニタリ行列による対角化 証明の続き

・対称行列の直交行列による対角化の計算例

・二次形式の標準形と符号数

・Sylvesterの慣性法則の証明

●12月9日の講義(13)

・符号数の計算例

・正定値、半正定値の定義と判定方法

・二次曲線の合同変換による分類(円、楕円、2直線)

・正規行列のユニタリ行列による対角化を目指して準備をする:

・正規行列Aの固有空間とA^*の固有空間の対応

・正規行列の相異なる固有空間は直交する

・正規行列の不変部分空間と直交性

・正規行列の対角化

・逆行列を使った連立一次方程式の解法

・クラーメルの公式

・基本変形による連立一次方程式の解法:解空間の次元と解の存在の判定