2012年3月25日の長泥地区住民総会に原発事故被災者弁護団から弁護士を招き
弁護団を通じての原子力損害賠償紛争解決セン ターへの集団申し立ての説明会が開かれた。
その後、4月8日15日22日の3回にわたる個別相談会ののち、7月13日に集団申し立てが行われた。
以下は第2回個別相談会の前日4月14日に鴫原さんの仮住まいにお邪魔して伺った内容である。
計画的避難区域だった飯舘村が、放射能汚染度によって「避難指示解除準備区域」「居住制限区域」
そして「帰還困難区域」の3区分に再編され、長泥地区だけが唯一「帰還困難区域」に指定されて
地区への進入路に管理ゲートが設置されることが決定した時期に重なる。
――賠償請求申し立てで弁護士さんに相談したいという人は増えているんですか
増えてるっていうか、実際には62軒くらいしかないのよ(長泥全戸数の公称が)71戸でもな。農業やってる人が。
農業やってない人まぜれば66くらい。(相談したいという家は)55、56くらいまでいったかな。
(住民総会のときに希望者に名前を書いてもらって)直接名前書いていったのは50くれえだったんだが、
あとから来たのが2人くらい。はっきり分かってんのは55。
でもあとは増えるような気はするな。区分けして長泥は50ミリ(mSv/y)超。
「帰還困難区域」ってのを出されてからは、よけい本気で考えるようになったんじゃないのかなと。
――いまちょうど(避難区域見直し再編の)説明会をやっていて、
「住民の方と相談しながら決めていきたい」とか言ってますが
いやー、相談してもらうのももう・・・逆だと思うんだ。こっちで言ったやつだらやるんだったらいいが、
あっちから決めてきてから相談つったって。
決めてきたっていうか提案だから、もうそれなんだべ。もう、いきなりだかんな、おれらからすれば。
村長さんあたりは・・・村っつうの、村長さんあたりは「全員、おれたち全部で戻る」と。
出るときも全部で出たんだから戻るときも全部で戻る、区分けはしたくないって言う。
全村で戻るつうんだもの。
――長泥とほかのところと、汚染度が全然違いますもんね
最初は長泥、蕨平、比曽と3区だけは、避難するときもあそこの(汚染度)だけは違うんだって。
(当初示された避難圏で)30kmかかってたのが蕨平だったからな。
おれもいま国から説明つんだか発表つんだか、あんなもの出してもらって、
(帰還困難区域指定が)長泥ひとつになるとは思わねかったからな。
ちょっと困惑するっていうんだか。長泥だけが「帰還困難区域」っていうのが当てはまんのは。
あと何軒かの、蕨平だって何軒か部分的な(帰還困難区域相当の汚染度で)、
そこをどう調整するってだけで、実際決まってんのは長泥はこれは決まってんだなと。
そのままやられれば(蕨平、比曽の)何軒かは(帰還困難区域に)交ざるっていうか認められる、
「帰還困難区域」に認められるのが区単位になるとすっと長泥だけかなと。そういう感じもするからな。
そうなったとき3区(比曽、長泥、蕨平)で国といろいろ交渉っていうんだかなあ、
賠償補償にしても1区でやんのと3区でやんのとはなあ。
人数的にも違うし相談もできるが、長泥ひとつだけで交渉なり、そういう話し合いになれば、
心細いっていえばおかしいが、ちょっとそこらへんは気にしてるところだな、いまは。
区域と賠償とはこれは違うくなるし、いまは何人か紛争解決センターと長泥の弁護士さんが
やってみっかなっていう感じだから、どうなるか・・・
――いったん決まっちゃったらバリケードを張って入れなくするわけでしょ。
説明会では鍵を村に預けて住人の方が入るときはそれを借りて、って言ってましたけど、
そうやってたら帰れないですもんね
いやー、いまだけならまだしも3年も5年もやったら、みんな帰んねくなるよ、バリケード張られれば。
おらも遠のくもの。長泥では何十年だべなあ、戻るとしたって。
――10年なんて言ったら、小学校に入った子供が高校生ですもんねえ
そうなったら帰る帰んねえの問題じゃねえもんな。もう、いまだけだと思う。
今年くらいはいいけどもが、バリケードほんとに張ればほとんど入んねんじゃねえかな。
別に財産持ってくるったって持ってこらんねえんだし。タンス持ってくるってもできねえし。
――空き巣なんかも入るでしょうしねえ
入ったって入んなくたって、大概のものは大事なものは出してるから、
あとはもう、なんともしょうがないと思うな、おらも。
そうなったら(被害を)拾い出しておいて賠償してもらうしかねえ。東電なり国なり。
価値のあるものは分かってるからな、大事なものは。
そういうものを出されるところに引っ越しっていうかな。
うち残ったって(自宅で生活できないのが)10年にもなれば、もう入らんねえもん。
建て直してもらうか、リフォームして入るなんてのは、よっぽどのことだべ。
10年も放っとくっちゅうのは・・・
全部直すんだったら建て直してもらった方が早いか分かんねえもん、リフォームじゃないと思うから。
そこらへんのな、どういう国では慰謝料つうか、あれで建てろって言ってんだか。
ひとりではとても建てられるわけねえべ、慰謝料が600万でも。あれは別だと思うかんな。
慰謝料は慰謝料だとおれは思ってんだが、国ではどういう考えで、一括で払って生活の糧にしろとか、
おれはそう聞こえたんだが、どこまでだか細かいとこまでは説明してないし。土地もあんだから。
若いひとたちなら、勤めてるひとならなんとかなっかも分かんねえけど、年金暮らしのひとはもう、
(賠償金を)使ったらあとは年金で暮らせるかっていったら、とてもきついもんなあ。
もともと田舎で暮らしてるのと出て暮らすのと。
――いままでとは食費も全然違うでしょ
だいたい倍くらいは・・・。交際費つんだか時間もかかってるしストレスもあるし、
無駄消費っていってはおかしいんだが、余計にカネは使うっていうのはあるな。
――コメとか野菜とか、いままでは畑からとってきてたわけだし
まあ、飯舘だってみんな作ってるわけでねえから。作ってるひとは作ってやってるが、
買ってやってるひとは買ってやってるし、そうは違わないと思うが、ただ物価が違うからな。
便利だから金遣いが荒くなっちゃうの。
――10年戻れませんってなったら、10年ここ(避難先)に住むわけですか
ここだって10年入ってられねえとなれば、うちを構えたいっていうのが正直な話でねえか。
10年戻らんねかったらもう、戻る必要ないっていって、戻って農業やるわけでねえからな。
若いひとたちは自分で仕事見っけたらここから通った方が。福島ってことは変わんねんだからな。
みんなバラバラになっちゃうんじゃねえのかなあ。
一戸建てを建てたいっていうのはあんだけど。みんな村さ戻る気っていうのは・・・
戻るしかないっていうのはあるが、いまはいちばんきついよな。
さっきも電話もらったんだがな、長泥はどうするんだって。
それはみんなで相談して・・・決断は自分だかんな。
まあ相談してみて、みんなでこう、おらもやっぱし引っ越しってなるといやだもんなあ。
10年も過ぎれば子供たちも出るっていうか、ここさいるわけでもねえべさ。
一家もどういう生活になっか分かんねが、まあ10年先のこととならば、もう70になるんだから
老後のことを考えねっか分かんねから、そこらへんはみんなと相談したいなっつのが。
ここは便利がいいところだからって言ったってな、地域のひとと・・・ここらへんの地場のひとと、
福島の都会のひとと飯舘の村の付き合いつうのは違うからな。
60年も(飯舘村の中だけで)育ってきたからって、もうなるしかないんだから。
ちょっとは決断するのにも迷うべなあ。
――毎日窓から見えるのがこの景色じゃ気が滅入っちゃうでしょ
気が滅入るっつか、ここさこうやっていんのがまいっちゃうよ。
だからパチンコさとか飲み屋さとか行くの、おれは。
当たりめでねえの、仕事でも持ってればいいべが、おらみたいな60過ぎてから仕事もな、
見守り隊さ行くのが関の山だもの。あとはないんだから。
これが切られればどこさ行けっていうんだか、除染だかなんだかやれっていうんだか。
ほかさ行って働くっていっても、なんだかなあ、おまえなんかダメだって言われるかも
分かんねから。ほんな力もねえもんな。
財産からうちから投げてきてから、それから仕事するってのは、相当のエネルギーのあるひとだな、
強い人ならできる。並みの人間ではもう、諦めるってことはねんだが、妥協っていうんだか、
そういう考えが多くなんでねえべか、60過ぎたひとだと。
これから子供を育てていかねばなんねえっていえば、ちょっと精神的にも違うし、
やるしかないっていうのもあるかも分かんねえが。60からほかの仕事やれっていってもな、
とてもその気には・・・おれはだど。そんな気はあまりないなと思うな。時間が経てばどうだか。
――10年経って戻れますっていっても、それで戻って農業やるのかっていうとね
食べられるかどうか分かんねけど、除染して、何年かすれば食べられるかもしんねえが、
相当勇気がいるんじゃねえ。除染なんていっても、住んでらんねえもんな。
どこまでが安全だっていうのか。
放射能に強いひとは食べるかも分かんねっが、放射能怖がってるひとは絶対食べねと思うもんな。
飯舘の、なんぼ除染しましたなんていったって。
おらもここさいると孫がいっからやっぱりどうしても福島県外の遠くの方のな、
選ぶようになっちゃった、自然と。だから福島の風評被害つうのも、なかなかな・・・
――去年の11月25日に飯坂温泉で村長さんを呼んで長泥地区の懇談会をやったじゃないですか。
そのときはどんな話だったんですか
そんときから弁護士さん入ったから。弁護士さん入ったってもセレモニーっていう感じ。
頼むっていうか、弁護士さんにお話を聞くっていうか、ほんとちょこっと、10分か15分くらいだったからな。
あのときは、どうなるかっていうのも、村長だって分かんなかったし、
いまだって分かんねんだもの、はっきりしたのはな。区分けにしても、それもまだ決まってねえから。
あのときも半年経ってたから、事故があってからな、交流会っていう感じだったもんな。
安否確認つんだか、お互いに話したり、しばらくだったなとか、大丈夫だったのかなあっていう、
そんなような感じだったもんな。
一回に長泥がな、百五十何人集まるっていうのも、まあないと思うな、一回に150人が集まるっていうのは。
長泥地区でどっか行くとか行事やってとか、いままでおれもずっとやってきたけど、なかなかない。
住民の6割くれえが・・・240人くらいだから、そのうちの150人くらいだから。
6割7割集まるっていうのは、相当の事業やったって。
――みんなやっぱり不安だったんでしょうね
村長を呼ばったからな、方向がどうなるっていうのが聞きたかったんだべが。
いま見てってもな、なんにも変わんねえもんな。
ただなんぼかは、除染だとか区分けまできたけど、1年だべ。
あの頃は夢中だべ。なんにもないとこさ放かっちゃみたいだったな。
ここではな、どうなってんだってなんぼでも聞きてと思うけど、いま考えると。いまはまた決まんねえんだろ。
――弁護士さんに相談しようと判断したのは、いつ頃なんですか
正月過ぎっていうか、年が明けてな、どうなんですかっていう説明会が2月20日かな、役員会で。
役員会では、やっちめっていう。お金もかかるわけでもないし。弁護士さんも黙ってたんではダメだよと。
国なり東電の言いなりになってもしょうがねんじゃないかっていう。
そんな話を聞いたときに役員会では、各組に分けて順序よく、2月26日にな、
3月4日にふた組、あと3月20日と4回に分けて説明会して。
弁護士さんの方でも、個人的にひざを交えてしゃべりたいと、納得してもらいたいと、
その中で質疑応答ができるからと。
それを聞いて3月25日の総会に行政区の中で賛同してくるひとと、
長泥の住民と、そんなような形を取って区会の中で。
(区の総意として決定して)区でやるとな、しばりつけるようになっちゃうから、
これはちょっと、やだっていうひとも、関係ないひとも巻き込むわけにいかないから。
関係ないっていうことはないけども。賛同できるひとはあとに残って弁護士さんの話を聞いてくださいと。
弁護士さんが来て、それで全体への説明、ある程度の説明は受けてっけど
聞いてないひともいたから。それで賛同できるひとは名前書いていってって、説明聞いて。
それで(4月)8日15日22日と個別相談会で、弁護士さんと決めるっていうんだか
個別相談会で納得したら、財産も考えも全部違うわけだから、納得したらハンコとお金をいただくと。
お金(弁護士費用)っていうのは1人3万なんだかな、あとは5%の弁護料を取るよと、
とりあえず3万でいいと、5人も6人もいても3万でいいと、あとは賠償が支払われたときでいいと、
10人家族だって3万、1人のときは1万でいいよと。
どこまで相談すっかというのも、いまのとこ精神的なやつも弁護士代はもらってるよっていうの、
それは構わないよと。10万から上がった部分だけに5%かけるっていう、そういう考えなんだが。
35万っていう精神的なのを最初にやると、その中で農機具だとか土地問題、家具とかな、
それはみんなだんだん、いまのとは台帳を作るっつうの、そんな形。
5月いっぱいまで、ひとまわりは個人に聞いて、遅くても5月いっぱいまでに1回目を請求したいと。
――その請求をするのに訴訟するわけですよね
訴訟というのは違うと思う。国と東電と弁護士さんの3人で調整をすると。
いわきで訴訟を起こして勝ちはしてんだが、家屋は年代で違うつうんだが、
慰謝料の場合は20万近くを見てもらったと、請求した。それが基礎になんのかなという。
慰謝料っていうのは、みんな違うっていえば違うんだべし、地区は同じくなるっつうか
団体でやればな、ひとりで慰謝料請求したって、そんなには認めらんねえべ。
団体でやればなんぼか違うんじゃないかなというような感じで。
そんなに争うとか、裁判てことはないからな。裁判の手前だからな、
調停つうか、そんなような感じだから。
――飯野町での説明会の翌日だか翌々日くらいに、5家族が2億6500万円の賠償請求訴訟を・・・
あれが弁護士を立てて訴えるっていうんだから。東電さ訴えるつんだからな。
訴訟を起こしたっていうのは、あれが本当(の訴訟)でねえべか。
おらのは(訴訟の)手前だと思うからな。期間も短いと、3カ月か6カ月で。
どうしても納得いかないときは裁判になるよと。裁判やるかどうかは、もう一回弁護士と(相談して)。
これはもっと時間もかかるしお金もかかることになんでねえかな。
そこまではもうやる気ないから、いまのとこはな。今度のやつで出て、国が区分けして
補償だの賠償だのが合わないときは、そこさ行くしかないかなとは思ってるが。
ある程度はな、妥協つんだか、諦めはしねえが、なんでもかんでも反対だなんていったんではな、
長泥地区ひとつなんだから。そんなの出さねえとか勝手にやれとは言わねえべが、
そんなのできないんだってどんとやられれば、なんつったっておらは小せえからな。
飯舘村でみんなで戦うんだったらな、ちっとは違うが。それはさせたくないと思ってんだか、
それは分かんねえからな。小さいのは踏んづけられるからな、どうしても。
ひとつだけだから出た杭だもの、ここだけを光らせれば飯舘村(への賠償レベル)を
(長泥に)近づけろって。(それをさせないために)低く抑えられるのかなっていう。
いまはなんていうの、怖ろしいっていうんだか。
飯舘村の全部が、こんなんでは(こんな賠償では)ダメなんだっていうんなら、
早く言えば長泥が基礎になるわけだべや、慰謝料の。長泥がこんくらいなんだから、
あんたらはこうくらいだろうってなってくると思うから。
飯舘村がみんなしてな、長泥が(こんな賠償では)できねえって、おらもこんなんではできねえって、
みんなして盛り上がれば、おら的な正当な賠償つんだか補償してもらえるだろうから。
黙ってたら国のいいなりだ。それは訴訟を起こしてどこまでが国(の責任)だかって、
認められねえからな。負けたら、そこはきついなつう。
おらが頑張んねえと、頑張るっていうか、やんないとまわりがシワくなっちゃうからな。
訴訟したり弁護士頼んだっていいんだから、こんどは飯舘村のひとも自分のために頑張って。
長泥を応援しろとは言わねえが、自分たちも同じく、村はひとつだと。そうやって頑張んねえと。
おらもしたいが飯舘村の、20ミリ、50ミリ以下のひとが頑張んねえと。
おらも頑張んねばなんねっが長泥こと応援したり自分のこと助かるためにはやんねと、
ほんとに国の言いなりにな、なってくしかないのかなと思う。
――ほかのところだと「帰れない」と思ってるひと、いっぱいいますもんね
おらいつも言ってんだど、長泥とおんなじだべと。
なんで黙ってんだって言ってんの、いまの村民には。
んだべ。帰ってきてあんたコメ作ったり野菜作んのかって。
2~3年過ぎたら帰れるっちゃ(長泥と)あんまり差はないど。
放射能の差はメーターで見えるだろうけど、精神的とかって、農業やれるなんて5年10年、
長泥とまずおんなじだと思わねばな。違うといえば、長泥はそれ以上のな。
でもまず、いまはおんなじだど。いまはなんにもできねえもんな。
おらは10年とか20年経たねば帰られねえっていうんだから100%補償してもらうしかない。
――それで除染しました、野菜作りましたコメ作りました、誰が買うんですかこれっていう・・・
自分が食えるのかつうの。飯舘村の長泥のほかの地区が動かねば
しょうがねえと思うんだな。長泥はもう決められてんだから。
逆に言えば長泥はやりやすいんだな、ひとつだし分けられるわけでねえから。
東電も国も(特に汚染度が高いと)認めたわけだから、ある程度無理は利くわけだからな、おらは。
無理は利くんだが、おらだって、最低の線より最高の、なんていうの価値観でもなんでも、
差をなるべく、お金に換えるんなら1000万なら1200万でも1500万でもな上げたいと。
補償でも賠償でも。そういうわけだからな。
それでも、(ほかの地区の)みんなが(国、東電の言うとおりで)いいとなったんでは
長泥は受けちまうもの。国の最低の線でやられちゃうから、それは悔しいから応援してくれと、
あんたらも帰ってきてからどうすんだって訴えてるわけだから。
(長泥もほかの区も)どっちも損するんだから。おらが早く低い線で納得して判を押したら
(他の地区の賠償額も)下がってくわけだべ。長泥がこんくらいだから、って絶対なるもんな。
長泥(への賠償額)が高く十分ならおらも助かるし、お互いに飯舘村が団結してひとつになればと、
目が覚めてもらいてえんだが、なんだかな。花火は線香花火みたいにあちこち上がるんだが、
リーダーが出てこねえからな。
――村としてはどうなんですかね。村長さんの意向としては、みんな帰るんだっていう・・・
帰るんだって、おらに言わせると村長の意向つうか、村民の話を聞いてるわけでねえからな、いまは。
村民がなにをしたいんだっていうのを聞いてねえわけだべ。
――自治体の長としては自治体を維持しなきゃいかんというのは分かるんだけど、
帰ってこられないっていう人もいるわけじゃないですか
いるわけだし、国の方針が決まってからやってくんでは、やれることは何もないんだと、国の言うままにな。
――帰ってきたらきたで、元には戻れないわけだから、そこからどういうふうに
村の未来をつくっていくのかっていうのが見えてこないと
それは飯舘村では、まず除染と。長泥もまず除染をすると。そういう考えだから次のステップというのは、
除染をして、それから考えるというのが帰村の(基本的な方針)。
帰村できないつうのは脳裏のどこさにはあんだべが、おれもちょっと言ったべが、
(村の回答は)二股はかけられねえと。
帰村できない、外に出て帰ってきたくない人が福島でもどこでもいいから出ていくのと
除染して帰村するというのと、二股かけろと言ったら、それはできないと。村はなに考えてんだと。
――なぜできないんでしょう
おれが説明を受けたのは、国からの交付金を受けるんだって、
村を再生する気なんだか村を出たいんだか、どっちかになったときは、
ふたつでやるって言ったら、それはカネも半分になるし、除染もどうなんだかな。
だから村長の思いは、村を守りたい。それの意志が強いと思う。
村民のためにやるというんなら、みんな一軒一軒に聞いてな、戻るか戻らないかをな。
早く除染できるかできないかって聞いたら、除染は村のモデル地区でやってる結果なんだから。
20ミリ以上は国策で、国のお金でやるっつってるから、村はできないから丸投げ状態なんだべ。
だが国に任せたんではしょうがねえからってんで2年、国も2年でやるっていうのにのっかってるだけで。
実際2年でやるのにお金がかかるし人が来たりできんのかと。
(それを決めるのに)おらの考えではだど、今年いっぱいはかかんじゃないかと、
除染できんだかできないんだか(決めるのに)。
やるとは言ってる。8月からやるって。8月からっていったら4カ月くれえでまた雪が降るんだから。
2年なんて、飯舘村でまともにやったって数年かかる、いま2年と言ってるが3年4年かかるわな。
そうすれば長泥とおんなじく5年は戻らんねんじゃねえのかなと。
1回で半分から6割(線量が下がる)と村長は言ってる。1ミリ以下には、なんねえど。
そういうのが目処がつかないうちは戻らねえつうのが、村でもそれは言ってるんだが、分かんね。
(確実に戻るのは)役場くれえだべ。あとは店とか何軒か戻るっていってるのは見てっけど。
そこらへんまでどうすんだか。
店出してる人に聞くと、やっぱり戻らねえべなつうんだな、人がいないところへは。
何軒かは戻るかもしれないが。
おらの考えでは、もういっかい店を開くっていうのは、人のいねえところで店を開いてもな。
国営のなんかつくってもらわねばな、そんなんなら分かるがな。
そういうおかしな発想というか、村民の考えなんて聞いてねえし、
なりゆきに任せてるっていうのがほんとなんでねえの。
だれがやったってできねえもの。みんな独り立ちするしかねえんでねえの。
国だってカネあるわけでねえし、どうしたらいいか分かんねえってのがほんとなんだべな。
わがまま聞いていたんではしょうがねえから、ある程度はしょうがねえと思うな。犠牲つったらいいか、
差別になるか分かんねえが。それやんねえでは、村も町もなんねえんでねえのか。
いまの民主主義みたいに、みんな平等だの言ってたんでは。
昔だったら競争は激しかったもんな、弱いもんは負ける、強いものは勝つ。
いいものは伸ばしていくっつうんだが、町がどうだかいうのは、
だんだん暮らしもできるようになれば、みんな帰んなくなる、いまは。
分かんね、おれも。なんだか強い柱がねえと、うまくいかねえんでねえかと思うな。
国が迷ってんでは、みんな迷うわけだべ。国が迷ってるから住民がちぐはぐになる。
国が、こう、こう、こうってやってくんでねえでは、逆らうものは我がでやれと、
そのくらい厳しくやってくんでねえでは恐らく、復興なんてのは時間かかるだけだもんな。
それでなかったら自然に任せるしかない。やっぱし時間がたてば落ち着くもんな。
どこのどの時代でもどう選ぶかは国のリーダーでねえの。総理大臣だけでもねえべがな。
まず景気がよくなんねえことには、なんにもなんねってのは、おれは思うな。
いまの助け合いとかなんとかつうのは、ちょっと遠くから見てな。
昔の、戦争のときのどうこうをやればいいんだと思うの。メシも食わねでやってた時代。
いまはものはあんだもの。誰が考えたって生きる死ぬなんて気はしないど。
与えてんだもの。カネは与えてもらえる、モノは与えてもらえる。
――クニは、というか民主党は悪者になりたくないんでしょうね
いや自民党だっておんなじだと思うよ。
――当然、住んでた人間は帰りたいと思うし、元に戻せ、きれいにしろって言うだろうし
帰りたいひとは帰せばいいんだ。なんだかおら、分かんねえもの、ほんなの。
状況が違うもの、ほんなの。
保健もなんにも利かないよ、病気が出たってここまでは面倒見るがここからは面倒見ないから、
ほんでいいんなら帰れ。帰ったら帰ったでこうしてやるからって、早く(そうすればいい)。
食べ物は気をつけるべな。測ってやるし。
もっとな、帰りたいひとは帰していいと思うな。そのかわり条件つけて。
(そう決めてものごとを進めるどころか)バリケード作るって、なんだ。
戦争時代だったら食べ物もねえんだもの。いまの(状態で作った)やつでも
みんな食ってると思うな、飯舘あたりで。作物つくって。
いまは情報があんまりありすぎるからダメなんだよ。平等だなんて言ってたら
誰も戻んねえと思うな、おれは。単にカネどんどん落としてくだけだ。
昔は食べ物がねかったんだもの。あれくらいになんねではダメだ。ひとのことなんか構ってらんねべな。
政策でそんなことできっかできねえか分かんねども、そんくらい苦しまねえことでは。
みんな動く気しねえべな、全部タダだもの。それで間に合うくれえカネ出してるもんな。ただ生きてくための。
これがほんとの天災だっつんならどっつことねえんだもんな。放射能だけなんだから。
あれがな、放射能がなかったらいまだって(作物を)作って。飯舘なんて地震でやられたところなんて
ねえんだ。これはやっぱちょっと違うよ、つうのが福島県のひとはあっから、それは許さねえしな。
電気なんてなくなったってかまわねえんだっつうんだ。そうなればいいんだ、(日本全体が)一緒に。
ものは作らねえ、会社もみんなつぶれる。
東京あたりで・・・こっち来てみろっつう。来てやればいいんだ。
電気なんて止めてみればいいんだ、すっとな。世界がどうなるか。
分かってて言ってんだかなんだか。こっちは犠牲者だっつうんだがな。
できるわけねえんだ。できねえんならやめればいいんだしな。もういっかい原点に、
ここに戻ればいいんだ、50年先か60年先か、もういっかい。自然を考えて。
考えてきてこうだもんな。環境だのなんだの、やっと分かりかけてきたんだから。
こんなんでは世界はダメだ、地球はもたないと。みんないっかい止めればいいんだ、全部。
ありすぎんだもの。
とりあえず腹くちくさせるってことでいいと思うんだがな。ほんとの昔の苦労なんて見えねえんでねえのかな。
地球全体で考えれば、そうでねえの。危機みてえになんねとダメだと思うんだな。
商売だってただパソコンでやってるだけだべ。汗流してやってるわけでねえんだもの。
おらからすっとゲームだわい、カネのな。才能あればなんでもする。なんにもしねえのが幸せって・・・
おれはだど。すこーし忙しくてすこーしうまいもの食べて、みんなですこーしずつ潤いっつうの。
いまNPOだのなんだの見てっと、我がの楽しみでやってっから幸せだなあと思うな。
ボランティアやってます人助けやってます、なんてな。おらからすっと、それで食ってられんだから、
自分が満足してればいいんだから。
おらも満足してえんだが、どうもな、おもしろくねえんだよな(笑)。
納得してやってるわけじゃない、この生活さ。
あのひとたちは納得してやってるからな、NPOやってるひとは。
ひとのカネで動いてんだか、ほんとに働いて動いてんのかなっていうのが分かんね。
自分の財産でもなんでも投げ打ってやってんだったらおれも認めるが、どっから出てくるんだか知んねえが、
世界中から義捐金みてえんだか、国から出してもらってんだか分かんねえ。税金で動いてんのかなあと思ったり。
NPOなんてひとつにしたらいいっぺなと思うんだがな。そしたらすごいカネになんのかな。
あのひとたちがどうやって生きてんだか、おれは分かんね。
寄付だって、ちょっと色眼鏡で見れば税金が回ってきてるとかな、どっから出てきてんだか。
我がが働いてるわけでねえんでねえかって、おれは思うもんな。おらはだど。
――自分もそうだけど、寄付することで何かやってるって意義を感じたりしますよね
我ががやってるわけでねえもんな。ひとのふんどしでやってるだけで。ボロ儲けしてるひともいんだもん。
なんも働かないでな、働いたふりしてひとにやらせて。全国で転々とやればいいんだもの。
世界中ひとりで回ってきたんだなんつって、死ぬか生きるかって感覚でやってんでねえんだから。
ちゃんと戻る場所もある、稼げるところもある。中にはやってるひともいんだべが、ちょっとな。
おらから見てっと、ほんとかなーと思うな。あっちのひとも商売かと思うな、おれから言わせっと。
――帰る場所がなくなっちゃったんですもんね
おらは帰る場所も財産も、神も仏も全部投げてきてるわけだから。
同じ考えだとか同じレベルで値段とかつけられねえよっていうのは、そこなんだ。
ほかから見れば保険出せばいいんでねっつうが。それもあるさ。ただ、なんとなく許さねえもんな。
納得しないつうか。我がが納得して動いてるひとは(途中で)やめたってかまわねえんだもんな。
――賠償問題ということになると、結局いくらなら満足するのって、満足できないわけですよね
カネで満足できるひとも、カネでは満足できないひともいるし。それはどうすんのかっつったら、
やっぱり、いまの世界はカネでやるしかない。
それで満足かっつのはな、100万もらったから満足するひともいれば1000万もらったって
満足しないひともいる。どこをとるかっつうのは国で、末端まで救うとかよ、国でやるべきでねえのかな。
村とか地区でやれと言われても・・・上が悪者になってやんねんでは。
区分けもカネもこっちから決めてなんてやってたんではとても・・・時間もかかるし。
みんなを吸い上げてやってたんでは時間もおカネもかかるし。無駄金だけだわ。
東電はサラリーマンだべ。あっちは雇用対策なんてやってる、おらたちは犠牲になってる。
国の雇用対策だべ、除染するだの人を雇って。ゼネコンの金儲けだっつってるが、極端に言えば国の金儲けだ。
国はばら撒いて戻して、の繰り返しでねえの。確かに景気はよくなんでねえのかなと思うが。
田中角栄だ池田勇人だみたいにな、総理大臣が国を動かしてカネは回る、カネが回れば飲み食いもやるし、
どんどんやればいいと思う。飲ませて食わせてものは売れる。農業は食べ物だから、飲む食うだから。
そうすれば放射能なんてこだわってられねえべや。
カネがぐるぐる回れば世の中はよくなるんだから、びびってるこたねえと思うんだ。
おらだって補償されればうちは建てる、恐らくな。なんでもどんどんやればいい、やって税金とればいいんだし。
荒療治でもなんでも、手荒くやるしかねえと思うど。みんなどう思うのかな。日本をどう変えたいと思うのか。
――他人事ですよ。他人事だから日本をどうこうじゃなくて被災者をなんとかしろ、という点だけでやってる
みんな他人事だもん。阪神淡路だって新潟だって、おらだってそんなことは考えてねえ。
だからココなんだって。ここさ集中的にやるしかない、ここは犠牲になるしかねえんだから。
逆に犠牲にしたくねえんならカネでもなんでもどんどん落として、できねえんならできねえで切るなら切ると。
九州のひとでも東京のひとでも、何も考えてるわけでねえんだから。我が身だけだ、みんな考えてんのは。
だからここも、我がは我がで暮らせってやれば・・・
100年だか200年だかの地震なんて考えたって分かんねえって。恐らくまだずっといねえよ。
だれか掘っ立て小屋建てながら。津波とか地震とか逃げろとか自然相手なんだから。
来てみろって、どんだけおっかねえか。
飯舘村だってな、20ミリとか30ミリとか言ってもみんな戻ってくる。行くとこねえんだから。
いま戻る戻らんねえって、そんなものは20ミリだ100ミリだ言ってるから悪いんだ。
奇形児ができるって、実際できてるわけでねえだべ。おかしいんだって、世界が騒ぎすぎんだって。
インターネットだのツイッターだの、ああいうのはいっかい遮断してもらって。
飯舘でもどこでも入ったら10年ぐれえ税金でもなんでも投入して保険をなんとかしてやればいいと思うのな。
戻ってこねえなんて言わねえでよ、住めばいいんだって、住まえるひとは。
戻ってくれば何千万でもやるってやれば戻るだろ。魅力ねかったら戻んねえど。
こっちで暮らしててカネもねえし小遣いくらいもらって戻りようもねえし。
カネを持ったら人が狂うとか言われるが、あれはいいと思うんだ。
もっと出せばみんなハイハイ言って行くんだわい、と思うわけだ。
20ミリでも30ミリでもあの中さ(家を)建てればいいんだ。
国で買い取ってどんどん建てればみんな行くわよお。カネもらうんなら行く気になるわい。
カネちょっとずつくれて生かしてるようでは、おらはだど、復興はできねえと思う。
どこかに犠牲になるひとがいねえでは。
いいやつ悪いやつできるしな、儲かるやつ損するやつ(ができる)。
世の中動かねえべ、みんなよくなる、みんな儲かるでは復興はできねえべな。自然の流れでは。
どっちになるかだ。言われるままにな、言いなりになって流れていくのか、それとも早くやんのか。
それも人生だから。急がねえでいいひとは急がねえでいいし。
どこかダメだっていうのを見っけねばダメだと思うな。それを国がやるんでねえではダメだど。
国が決めねで住民さ決めろなんて言ってんだもの。ほんなこと言って聞くのかっつうの。
なあ、聞くわけねえんだから。
だんだん飯舘村もそうなるしな。村長もなんもできねえで、とんでもないこと言ったって、だれも・・・。
我がでやってくれと、ある程度カネはくれてやっからそれでな。満足なカネはもらえねっぺでも。
3200億だっけか、あんなこと言っても、いま全部覆してきてっからな。
流れに合わせてやるんだか、それともちっと逆らいながらやんのか。
国の方針に沿いながら村としてやってくんだかっていうのを、村の住民の話を聞きながら。
両方の間さ入って押したり引いたりして、住民が我がで参加してやれば、もっとなんとかなるべや。
いまのやり方は違うからな、一方的だからな。空中戦だって言ってんだ、おらは。
村長は村長で、住民は住民でやってるだけ。火の粉が落ちてきたらどうすんだって。
ふざけんでねえっつうのな。我がでは頭わるいからって、決めらんねえからって。
大概のもんは決めてやってんだからさ。村長も村も国もな。ここはできねえってのは、そうだべ。
どうしても決めらんねえとなって空から落として住民に落として。
焼け石だもん。焼け石に水かけられてもな。火の粉落とされても、そんなのできねえべっつの。
真っ黒くなるだけだわ。火の粉と同じだっつうの、いまの行政のやり方は。
だれがやったってできねえと思う、住民が納得(するようなやり方は)。吸い上げでなくてな、
これでやるんだって大きな基礎をつくってな、戻るなら戻れって、そんでいいと思うな。
ここさ住みたいひとは、あとは我がで責任取るんだよって。
自分で決めてやれば(自分で)納得してやれば。自分でやるとなって、
ここまでは保障するとやって、こんくらい(の損害、リスク)ではこんくらい(の保障)だよっつって。
財産がどうとか山はどうとか語ってねえで。
ある程度の切り捨てっていうのは、どこの世界だってやるしかねえんだって。
100人いたら100人みんな同じにするってできないんだから、どこまではやって、
そこからこぼれたのはしょうがねえって。
昔なら首ちぎれてるべや、さむらいの時代なら。それでいいと思うもんな、おらはだど。
国がこうだとなれば、(抵抗が)来たってはねつけとけば。そうだべ。
その代わり7割8割がな、政策つうか考えさ持ってれば。実際、なにやったってそうだべ。
――いまの状態だとみんなが犠牲になっちゃってるという
みんなして腫れ物つうの、おっかなくて手をつけられなくて、ずっと・・・。
みんなしておっかなくて、人の顔見ながら逃げ腰のままやってっと無理だべな。
核心が分かんねえ、そうだべ。骨がないんだから。みんなして素晴らしいことつくれって、
そういう考えがあってっていうんなら、また別だが。
そんなこと言ってるようでは、考えてるだけで行動さ起こさねえんでは。
いまはやってみるしかねえんでねえの。で10年か20年過ぎたらまた考えると。
そんなには、だれがやったってできねえと思う。みんな構想してもな、議会の状況で変わんだもんな、なんでも。
世界が豊かになれば豊かになってくし、ダメになればダメになるし。
もっと、飯舘村なんてのはスローダウンつうの、ゆっく~りな、生きてくっていうの。
食ったり病院さかかったりっていうのも、みんな納得できるようなな、そんな世界はできねえべな。
もっとブレーキ踏んだらいいべっつのがな、飯舘村つのはもっとゆったりした方が、バックはしないんだが、
仕事でも経済でもスピードゆったりでも、川の流れにあんまり逆らわないで。
地球でも国でも都市でもそうだべ、流れに逆らってるわけだべ、自然に。
埋め立てやってビル建ててみたり。ほんなんでなくて、あるものを利用したり
お金をかけないでやったり食べ物でも・・・。
みんなラクしたくて都会さ出てっちゃったんだもんな。やっと農業が分かってきたんだもんな。
環境だとか農業だとか温暖化だとか。水張っただけで温度が下がるっつのがな、コメつくってて。
やっと分かりかけてきたんだよな。ああいうのを飯舘はやってって、いまの村長が。ほうだったなと思ってんだが。
――いろいろ見てると、飯舘村はそういうのを目指してきたんだなあと思いますね
世界からは認められるわけよ。
――それが今回、事故が起こって全部取り上げられたわけですよね
いまはなんつうの、犠牲っていうんだか壊れたっていうんだか。
壊れたものは再生するのが楽しみだもんな、おらは。逆手に取るっていえばいいか。
逆手に取って、また再生してっていうのもまた楽しみだと思うんだがな。
――自分は最初、写真を撮りに飯舘村に行くようになったんですよ。で行ったら
田んぼとか草がぼうぼうに生えてるじゃないですか。ちょっとわくわくしたっていうか、
これからこれがどうなっていくのかな、どういうふうにつくり替えていくのかなっていう
伝えてもらいたいのは、動物が増えた。キツネも見られるしウサギも見られるしタヌキも
ハクビシンも見られる。イノシシもサルも出る。いままではなかなか見えないものが見えてきてる。
キツネなんて何十年ぶりくれえだ。
農業はできねえとしても観光つうのはできねえのかなつうな。
長泥で花見してて、飯坂のラジウム温泉とかあって長泥は線量高いんだから観光地にしてとかな。
だれかがやっちまえばいいと思うんだな。
あそこさ行ったら健康になると(笑)。3日くらいあたってっと、なんだか毛が生えてきたとかよ、
からだがラクになんだとか。人間つうのは本気になるとそうなるつうんだよな、気分次第だから。
だれかやんねえかなと思ってな(笑)。
あと動物がいんだから動物は見せられるな。そういうヘンな発想つんだかアンテナを立ててな、
どういう方向にもってくかつうのは頭使ってよ。なんでんかんでんダメなんだつうのは・・・。
ほんなこと考えてんのはおれだけかな、何かしたらいいんでねえかなんつ考えんのは。
だって宇宙さ行くつうのだって最初はマンがだったんだべ。
それだと思うんだよ。できねえことを発想を変えて現実にしていく。
月に行ってきたっていうのもウソだかホントだか分かんねえんだが、おらは(笑)。
行ってきたって言うひともいるし、いやーそんなことはねえって言うひともいるし。
――もうちょっと長い目で見てね
んだ。放射能つうのは300年過ぎれば元さ戻んだから。
地球は回ってるし世界は回ってるし。100年先は飯舘村はこうなってんだっていうのを決めてな、
50年先はこう、30年先はこう、10年先はこう、5年はこうだって。
それで5年10年はやればいいと思うんだがな。
――いまは、今日明日入ったら危ないっていうだけで・・・
今日明日だもん。ほんなもんはなあ、それも大事だよ。それをやりながら逆手だつうんだか夢つうんだか、
ふざけてんのかって言われるかもわかんねが、それもまたありかなっつのがおれの考えだ。
それは裏で考えてな、作る。いまはそんなこと言ったらバカかって言われるから、
夢のような構想を5年か10年のうちに立ててな、いまも大事だが、将来こうなんだっつうのを
やってんだかやってねえんだか。まあ20年か30年先はな。
――そういう長い目で見るっていうのは、飯舘村はそういうふうにやってきたし、
農業はそういうふうにやってきたっていうのがベースなんでしょうね
いまは夢中になんのも分かるがな、でも1年過ぎたし、そういうスパンで考えねえと。
除染除染と言ってるが、この結果は今年中には出ると思うがな、ある程度。
できないんだっていうのも、自然に任せるしかないんだっていうのも・・・
それはなんでも除染して戻すんだっていうのは、国もよ、分かってるわけだべ。
もう(事故以前の状態には)戻らねえよっていうのでいいと思うんだ。
戻るんなら戻ってくるでかまわねえ、そこらへんは目をつぶってやるべきでねえのかなと思うな、おらはだど。
国としては90歳も0歳も同じく考えねばなんねから、そうだと思うのな。
だがもっと落ち着いて、放射能なんて消えねえのさ。だが世界は回ってっから、経済は動いてっから、
それはそれなりに国はやんねかなんねえし、しっかりやってもらわねえと。
ここは性根と思うのな、福島は。頑張ってもらってカネもつぎ込んでもらって。
ここでも働かせるなにか魅力はあると思う。企業でもなんでも誘致してもらって。
国で国策みたいにやって雇用する。
やらせるんでなくて、やるようにな。やったらお金になると。タダでやるやつは絶対ダメだ。やっぱしカネだ。
それはキツイかも分かんねがな、キタネエって言われるかも分かんねが、人間動かすのはコレ(お金)だよ。
これでみんな喧嘩したり騒いでんだからな。
そうして働いてだんだんカネが使えるようになるから。そうやって回せばいいと思うんだ。
治安が悪くなれば警察増やせばいいんだし。指導者をつくってとかな、やんねばダメだと思うんだがな。
でなければ自然に任せるか。
いまみたいに、やりますやります言ってな、国ではやんねえんだからな。努力しますとか言うがよ。
時間が経てば暮らしてかねばなんねえから自分で見っけてやってかねば。100%成功つうのはないんだから
7割8割成功したんなら、それは成功と見なさねば。
――(収入を得ると交付金から減額されるという問題について)
いや、それはしないと。100万の中で20万儲かったら80万しか交付金出さねえなんてな、
バカげてんでねえぞつったの。それじゃ夢もなにもねえべつったの。
おらみたいに眠ってる人間になに言ってもきかねえが、前向きになってる人間は雇用になってくるべ。
沈むわけねえんだから。カネが儲かればものは買う、ものは売るだもの。
なんでそういう発想しねえのかな。会社に勤めても給料もそうだ。
(給料を)とったら(交付金を)減らす。失業保険も。働いたら減らすでなくて、働いたら余計にくれれば
もっと働くようになんだって、なんでも。働いたら減らすんだから、ふざけたやり方だ、
だれも働かなくなるわい。(働かずに)パチンコやったり酒飲んだりだもん。
――そうすると周りから、あいつらはもらったカネでパチンコやってる酒飲んでるって言われるわけでしょ
そんなん当たり前だっつうの。だれだって我が身になってやってみろつうんだ。
働いたら減らされる、そんなら働いてなんてらんねってなる。
そんなもんだれだって、みんながみんなでねえがな。割合は多くなるもんな。
利益あげるってことは素晴らしいんだもんな。
――カネの使い方間違ってますよね
うん、間違ってる。動かねえもんにはカネくんねえでいいんだ、昔からそうだったんだ。能力主義だった。
まったく見捨てろとは言ってねえけど、ある程度は見てねえとな。からだ弱いひととかな。
それはきめ細かく見てかねばなんねえけど、儲かってるひととか働く意力あるひとは、
どんどんカネやった方がいいんだ。
(いまの行政のお金の使い方は)ムダ金のような気がするな。雇用になる、ものは作る、作れば売る。
そんなん利益出ねえんだったらできねえんだから。大きくなれば大きくなるほど雇用はしてもらえるしな。
(そうした営みの逆をいく行政のやり方は)ふざけてんでねえかって、バカげたことだっていうんだ。
商売になればいいんだから、世の中。それが国を支えることになんだから。
正しくやったからとかきれいにやったからとかじゃねえんだからな。
カネを回せるかなんだから、ガンガンガンガンな。外国さもってって使われたんじゃ困るわな、
どっかのバカ息子(大王製紙前会長)みてえにな。
外国のカネをこっちで使うんならいいよ。飲み屋でもなんでもいいんだべ、落とせば回るんだから。
ものを買う、ものを作る。儲けさせるためにやってると考えるから悪いんだよな、
やる気あるひとさ仕事を与えるためにやってるんだと考えれば。
(オワリ)
11月16日(金)、ラジオ日本「マット安川のずばり勝負」(12:30~15:00)に
鴫原さんがゲスト出演、長泥の現状を語ります。
ゲスト登場は12:45頃~14:00頃。
多くの人が飯舘村や長泥に関心を持ち続けることが
「逃げ出したくなることもあるが、リーダーの責任として前に進み続けるしかない」と踏ん張る鴫原さんを支えます。
質問、応援メッセージ等、ぜひお送りください。
e-mail:yasukawa@jorf.co.jp
fax:03-3582-1422
radiko(ラジコ)http://radiko.jp/# でも聞けます。
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