投稿日: Jul 07, 2013 9:15:54 AM
スノウ、後でお仕置きだ
そして、その言葉に・・・うっすら(多分私の)血が滲む唇をメイドさん(スノウさん)は薄く開いた。
・・・笑っているの?
太い腕に髪を引き上げられ、スノウさんはよろよろと立ち上がる。
髪をつかまれたまま、無防備に晒された白い首。
そこを口からあふれた唾液と混ざった薄い桜いろの血がひとすじ流れ、隠すようにご主人の右手が、下から滑っていく。
手は顎で止まり、親指が、やや開いた口のふっくらと形よく膨らんだ下唇をなぞり、紅を引いたように赤い血を拭う。
そして、魔法のように取り出したハンカチで血が指から、綺麗に拭い取られていく・・・。
はぁ、そのままキスするのかと思ったよ
座ったまま、てか、固まったまま、なんだか、見つめてしまった
ドキドキ鼓動が早い
指を吸われるなんてことも、子供のころ以来だし、髪を引っ張るとか姉妹で喧嘩した時くらい
痛みを思い出したら、自分も髪を引っ張られたみたいな感じになってきた
痛いのは悔しい想いのはずなのに、どんな痛みだったか思い出せない
思い出したいって・・・私、おかしい、変!?
そっと右手に冷たいものが触れる。
細い指が器用に動いて、細く裂いた布を包帯替わりにして傷口を隠す。
レイナさんが、聖母のように微笑んでいる。
私の手を両手で、包んで胸元に優しく運ぶ。
あ、ありがとうございます
私のお礼に答えるように、その両手に軽く力が入る。
メリーに服の替わりを。その服にも、染みが残らないようにしなさい
お前も、○○○ルームを使っていいから
こちらへとスノウさんが私の手を取る。
とっても、温かい手・・・でも、力強い。
有無を言わさず、引っ張られる。
主の命令は、絶対って感じ・・・。
ちょっと、待って、言わなきゃ
あ、あのカップごめんなさい。どちらで買われてんですか?バイトして、弁償します
お茶を滴らせながら、踏ん張っていう私、道化師
でも言えた
いいよ、お客さまは気にしなくて。それに君にあげようと思っていたからね・・・
残念だけど、工房の一品ものだから、もう、手に入らないんだ。昔の作品だし
え、それって、とってもお高いんじゃ
4000ポンドくらいかな?
出会った記念にと思ってたんだ、何か別のものを探しておこう
それに、このハプニングの原因は、僕らが原因みたいだし
ご主人は両手を広げると、両肩を少し上げて、微笑むとウインクした。
あわわわwww ウインク!!
力が抜けた私をスノウさんが引きずるように部屋から、連れ出した。
通路の床にぽたぽた
あ、歩けますから
チラとスノウさんは私を見るけど手は離さない。
代わりに歩調が、早くなる。
確かに、このままじゃ、あちこちお茶びたしだ。
あ、さっきの4000ポンドって、いくらなんです?
無言のまま、ドアをいくつか通り過ぎるとスノウさんが立ち止まり、ぼそっと答えてくれた。
・・・日本円で約50万円くらい
え、え、え、大学生のアルバイトじゃ、追いつかない
呆然とする私にドアを開けてくれる。
こちらへ、どうぞ
笑いを堪えてませんか?・・・もう(おこ)
第3章 終わり