第36回いわき情報技術研究会
研究会を下記にて開催いたします。
ふるってご参加ください。
(参加費無料・事前連絡無用・服装自由・駐車場あり。)
日時:11月8日(土)13:30-16:00
場所:いわき明星大学 地域交流館3階 プレゼンテーション室
<<プログラム>>
1.講演
2.技術動向
((次回持ち越し))
1.講演
「いわき市議からみたITの活用」
講師:
いわき市議会議員
吉田 みきと 氏
概要:
現在の公会計では、1年間の入りと出を足し引きした、
いうなれば大福帳を作成している。
財源・予算の獲得と適法な執行に主眼を置いた行政運営が
なされる現在のシステムは、ルール上、適法であるものの、
有用できないことは公務員自らも理解している。
新しいシステムのメリットを十分に享受できるなら、今の
公会計は、あっという間に取って代わられるはず。
その際に
「新たな会計・財務管理一体ができる
システム改造・導入が必要」
となる。
新公会計の先進自治体として、東京都や町田市が上げられるが、
そのシステムの導入費用は、前者で24億円、後者で1億円と
いわれている。
新公会計は当面トライアンドエラーの模索が続くが、
「全国の基礎自治体(市町村)にこそ導入」
が求められる。
自治体ごとのカスタマイズされた会計システムが、
将来的にはクラウドで汎用的なものが提供される事が
望まれる。
=== 活動報告 ===
■CPA市議として活動する現場から
・・・公会計制度/同システムに思うこと・・・
►自己紹介
吉田みきと(吉田実貴人)
いわき市平出身
公認会計士・不動産鑑定士
県立磐城高校卒業
シンガポール国立大学 修士課程修了
・日本長期信用銀行系総合不動産会社
・中央青山監査法人
・PwCシンガポール事務所
・プライスウォーターハウスクーパース
・いわき市議会議員
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■18年間生まれ育ったいわきに貢献できる事は無いか
-市議会議員選挙への挑戦-
・ふるさとを思い悩み続けた1年間
・東京の会計アドバイザリー業務から転身
・市議会議員こそ、我が使命と決断
・選挙を通して知り得たこと
►ハンデの大きさ
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■空前絶後のいわき市の予算・決算額
概ね1,200億円前後で推移していますが、2,200億円まで
膨れ上がった。(単位:億円)
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■市議会議員とは
昨年9月にいわき市議会議員選挙を実施。(4年に一度)
現在37名。
・場所は、市役所の西隣りに隣接(2階でつながっています)
・予算の承認や、条例の制定を行う
・定例会議は、年に4回(各2~3週間)
・臨時会議は、不定期(10月は3回開催)
・その他の議会活動は、各種委員会、陳情、視察、
勉強会、会議等
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■現在の公会計の目的
►何のための会計(認識・測定・報告)なのか?
民間企業においては、会計には財務会計・税務会計・
管理会計の3つの目的・報告先がある、という事は定説。
「しかし、現在の公会計では、財務会計・税務会計・
管理会計、いずれもニーズがない」
・財務会計:地方自治法施行令に定められた会計項目(款・項・
目・節)に従い、作成が義務づけられた調書(公有財産台帳)を
作ればそれで良い
・税務会計:課税されない
・管理会計:マネジメントは管理目的に使えない、市民は
内容を理解できない
「現在は、法令遵守目的の会計」
単に1年間の入りと出を足し引きした、いうなれば、大福帳を作成
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■現在の公会計の問題
►以下の問題点が指摘されています
・現金主義会計のもとで、①財源・予算の獲得と②適法な執行
(使い切り)に主眼を置いた行政運営がなされる
・財政状態や経営成績を正確に示すツールがなく、有効な評価が
行われていない
►建物・土地等の資産のストック情報が得られない
►建物や道路等をコストとして認識できない
►未収金等に対する不納リスクが見えない
►ストックに対する住民の将来負担が見えない 等
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■現在の公会計への固執
►なぜ現在の公会計に固執するのか?
・収益の額に関して、コントロールできない
・収益の季節的変動が大きく、それをコントロールできない
・支出に関して、各部ごとの予算制度があり、全体管理の
ニーズがない
・年1回の決算のため、適時な経営判断に役立たない
・決算作業は、決算日後数ヶ月後なので、適時な経営判断に
役立たない
・市のサービスの多くが、数字につながらない性質
現在のシステムは、ルール上、適法であるものの、有用ではない
ことは公務員自らも理解している
ただ、どのようなシステムが現在のものに取って代わって
最適なのかが見えないから、現状に固執しがち
新しいシステムのメリットを十分に享受できるなら、今の
現金主義(に相当の補正をかけた)公会計は、あっという間に
取って代わられるはず
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■先進事例
►新公会計はどのようなものか?
・町田市が、新公会計に
「現在のシステムに付加する形で、東京都モデルの
複式簿記を採用」
►町田市会計基準(非常に簡素)を設定
►個別の組織・事業におけるマネジメントに活用できること
►市民にわかりやすい財務諸表すること
►迅速・勘弁に財務諸表4表を作成すること
B/S・行政コスト計算書・CF計算書・純資産変動計算書
・導入費用は、東京都で22億円、町田市で1億円
・全国の基礎自治体(市町村)こそが、管理会計導入が必要
►資産のライフサイクルコストの算定
►複数の政策判断の意思決定
►住民への説明責任
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■平成26年5月23日 総務大臣通知
今後の地方公会計の整備促進について
・「今後の新地方公会計の推進に関する研究会」が、
平成26年4月30日に報告
・固定資産台帳の整備と複式簿記の導入を前提とした
財務書類の作成に関する統一的な基準
・今後、平成27年1月頃までに具体的なマニュアルを作成
・原則として平成27年度から平成29年度までの3年間で全ての
地方公共団体において統一的な基準による財務書類等を作成
するよう要請する予定
・財務書類等を作成するためには、各地方公共団体において
ICTを活用したシステムの整備が不可欠
(事務負担や経費負担に配慮)
・システム整備の重複投資を回避するため、地方公共団体
共通のシステムを一括構築することも重要な課題
・ICTを活用した標準的なソフトウェアを開発し、
平成27年度のできる限り早い時期に地方公共団体に
無償で提供したい
・地方公共団体は、財務書類作成の前提となる固定資産台帳
整備の準備(資産の棚卸等)等をすすめること
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■今後の地方公会計の整備促進について
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■今後の新地方公会計の推進に関する研究会報告書概要等
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■地方公会計システムの構築について(イメージ)
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■新公会計の方向性
►今後はどのような方向性に進むのか?
・神学論争はもう終わり。実質的な導入検討段階
・新公会計においては、月次決算の導入や、PDCAの導入等、
当面はトライアンドエラーの模索が続く
・全国の基礎自治体は、基礎的な形態は類似
・将来的には、全国統一的な基礎自治体の会計基準が設定
・自治体ごとのカスタマイズされた会計システムは、
将来的にはクラウドで汎用的なものが提供される
ことが望まれる
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上記内容に関して講演をして頂きました。
今後の地方公会計の方向性、それらのシステムを構築していくには
IT技術者の方々の力が必要だと語った吉田みきと 氏。
この後、行われた質疑応答は参加者と吉田みきと 氏の間で白熱した
議論となりみなさん一様に公会計に関する思い、いわき市に対する
熱い思いがある事を感じる事が出来ました。
筆者:ジモッティーとはまだまだ言えない筆者だが故郷を愛する参加者及びみきと氏に目から汗が(T_T)
((休憩時間))
講演~技術動向の間に休憩時間がありました。
今回のお菓子は中野修三 氏からでした。
筆者:フフ、修三氏、熱い気持ちが溢れてるお菓子、美味しく頂戴しましたよ。
講演内容に関して談笑したり、初めて来て頂いた方と
名刺交換したりしていました。
ここで、今回、HPを見て初めて来て下さった方がいる事を
知りました!
筆者:「惚れてまうやろ~」と思いながら顔は冷静に名刺交換をする。
2.技術動向
「個人向け3Dプリンターの使用報告」
講師:
エンベデッドシステムスペシャリスト
蛭田 浩光 氏
概要:
近年、3Dプリンターの高機能化と低価格化が著しく、
産業界のみならず、教育や趣味など、多様な分野に普及が
進みつつあります。
IT分野との強い連携と、今後、大きく発展する事が
期待できます。
講師の方は、個人向けの比較的低価格の3Dプリンターを
購入しました。
これを用いた製品の製作過程を通して得られた経験を
報告致します。
・3Dプリンターの現状
・使用3Dプリンター(UP!Plus2)について
・ソフトウェア
・作成作業
・今後の展開
=== 活動報告 ===
■3Dプリンターの現状(定義)
・3Dプリンターとは?
3DCAD、3DCGデータを元に立体(3次元のオブジェクト)を
造形する機器。
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■3Dプリンターの現状(方式と素材)
(1)光造形法
1980年、小玉 秀男が考案 光硬化性樹脂
(2)熱溶解積層法(FDM法)
ストラタシス社 fused deposition modeling
熱可塑性樹脂
(ABS樹脂・PLA樹脂・ポリカーボネート樹脂…)
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■3Dプリンターの現状(市場)
2008年から2011年にかけて、低価格の個人用3Dプリンタ
市場は毎年、平均346%もの爆発的成長を遂げた。
2013年には7万台が売られたと見積もられている。
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■3Dプリンターの現状(特徴)
ハードウェア&ソフトウェア オープンソース
RepRapプロジェクト
(Replicating Rapid prototyper)
組み立てキット(国内の例)
・MakiBox A6 ¥34,800
・LUNAVAST-PRUSA ¥64,000
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■3Dプリンター(UP!Plus2)について-Ⅰ
目的
・3Dプリンターの評価
・ロボットの部品の製作
・3DプリントしたABS樹脂の製品の強度を確認
製品名
UP!Plus2
製造元
TierTime Technology社(中国、北京)
日本代理店
株式会社サンステラ(http://www.pp3dp.jp/)
製品寸法(mm) 245W×260D×350H
重量 5kg
価格 ¥164,000
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■3Dプリンター(UP!Plus2)について-Ⅱ
UP!Plus2を選択した理由
・キャリブレーション機能が付属(台座、ヘッド位置)
・ABS樹脂の臭いが少ない
・支持材を除去しやすい
造形方式
FDM(熱溶解積層法)
使用部材
ABS樹脂、PLA樹脂
積層ピッチ(mm)
0.15/0.20/0.25/0.30/0.35/0.40
プリンタヘッドタイプ
シングルヘッド
プリントエリア(mm)
140×140×130H
フィラメントの種類(ABS樹脂)
代理店の推奨
(ライトブルー、グレー、パープル、ピンク…)
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■ソフトウェア
(1)モデリング
形状を入力・編集する。形状データ(.stl)の出力
・Shade (コンピュータグラフィック)
(2)プリンタ制御
3Dプリンタの各種設定、形状データ(.stl)の転送、
プリントの開始、停止 (名称:"UP"プリンタ付属)
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■3Dプリント作業
モデリング(6種類)
1.立方体 基準(10×10×10mm)
2.立方体 ねじ穴(垂直) 機械部品の応用
3.立方体 ねじ穴(斜め) 切削加工との比較
4.球(精度:既定値) 曲面(半径10mm)
5.球(精度:高精度) 再現の精度
6.カメラ台 ロボット部品の評価
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■3Dプリント作業-Ⅰ
モデリング(6種類)
1.立方体 基準(10×10×10mm)
2.立方体 ねじ穴(垂直) 機械部品の応用
3.立方体 ねじ穴(斜め) 切削加工との比較
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■3Dプリント作業-Ⅱ
モデリング(6種類)
4.球(精度:既定値) 曲面(半径10mm)
5.球(精度:高精度) 再現の精度
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■3Dプリント作業-Ⅲ
モデリング(6種類)
6.カメラ台 ロボット部品の評価
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■3Dプリント作業(モデリング)
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■3Dプリント作業(STLファイル)
STLファイル(.stl)
物の表面形状をポリゴンで近似
開発者:3D Systems
Stereolithography
Standard Triangulated Language
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■3Dプリント(6種類) 積層:0.2mm
・立方体
・立方体 ねじ穴
・立方体 ねじ穴(斜め)
・球(精度:既定値)
・球(精度:高精度)
・カメラ台
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■3Dプリント作業(UP)
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■3Dプリント結果
・立方体
・立方体 ねじ穴
・立方体 ねじ穴(斜め)
・球(精度:既定値)
・球(精度:高精度)
・カメラ台
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■3Dプリント実行時間とABS樹脂使用重量
・立方体 7分 0.9g
・立方体 ねじ穴(垂直) 7分 1.0g
・立方体 ねじ穴(斜め) 7分 0.9g
・球(精度:既定値) 14分 2.2g
・球(精度:高精度) 14分 2.4g
・カメラ台 59分 10.4g
※プレヒート:+9min. 80℃ ヘッド部 加熱1.5min.を含む
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■まとめ
長所
・任意の形状が製作可能
・3Dプリント(造形)中は、作業が不要
・材料に無駄が少ない
短所
・使用するには、細かいノウハウが必要
・3Dプリント(造形)には、時間が必要
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■まとめ(UP!Plus2)
・キャリブレーション機能は、容易に使用できる
・ABS樹脂の強度は十分
・3Dプリント中は、独特の臭いがする
・支持材を除去しやすい
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■今後の展開
・E-nable:
ボランティア 子供用義手を作ってプレゼント
・保守部品の管理
・製品の通販→3Dデータのダウンロード
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((次回持越し))
「会津IT秋フォーラム2014の参加報告」
講師:株式会社 東日本計算センター
中野 修三 氏
概要:
会津大学が、産学官にわたる取り組み成果発表を
毎年開催しています。
(耐災害性情報管理システム、オープンデータ、
ITを活用した地域活性化、先端ICTラボ、セキュリティなど)
このフォーラムに参加してきた内容を報告致します。