「ぼくたちがまだ子供だった頃,地球はガミラスと戦っていた」
先日,相模原のJAXAの見学に行ったら,こんな文章が貼ってありました.そう,宇宙戦艦ヤマトに出てくるあの遊星爆弾ってのは怖かったですねぇ.
というわけで,授業で使うために太陽系シミュレータを作ってみました.簡単に作ったので,惑星軌道は全部真円,オイラー法で微分方程式を解いています.
これがとりあえず動いたところで,試すのは,三体問題より先に遊星爆弾ですよね.やってみました.
冥王星軌道を40AUとして,この軌道を安定してまわっている小惑星を設定.とりあえずイトカワと同じ質量3.5E10kgとしておきましょうか.
ホーマン軌道でも良いけど,なかなか落ちてこないので,軌道速度4.74km/sをいきなりゼロにまで減速してみました.これで太陽方向に自由落下を始めるはず,,,うーん,やっぱり落ちるまで時間がかかる.😢
では軌道方向の速度0にして,太陽方向に10km/sの速度を設定してみます.これなら地球の近くをかすめるまでに,,って,やっぱり落ちるのに時間がかかる,,だいたい5200日くらいかかりました.14年です.宇宙戦争は距離も時間もスケールが違うなあ,などと感心している場合ではありません.ヤマト2199では2191年にガミラスが太陽系に侵攻してきて,2193年にはもう遊星爆弾が落ちてきているのです.2年以内に冥王星軌道から地球に到達しているのです(Wikipedia参照).それに14年もかかっていたら,ヤマトがイスカンダルに行く途中で冥王星基地を叩いて,1年でイスカンダルから帰ってきて,コスモクリーナー/コスモリバースを作動させて,「ああ,地球はもとに戻った」と喜んだのもつかのま,それからも遊星爆弾が落ち続けることになってしまいます.土方さんもカンカンです.
ということで速度設定を変更します.太陽方向に100km/sまで速度を上げてみました.これなら,地球到達までに2年ほどで,納期的には大丈夫です.ガンツ君も安心.よかったよかった.(良くないけど)
さて,3.5E10kgの物体が100km/sで地球に衝突するとなると,そのエネルギーは10E20Jくらいでしょうか.ツァーリボンブの1000倍くらい.作中ではこれが何発も地球に命中していることになっています.やっぱり遊星爆弾は恐ろしい.
ヤマト2199では,遊星爆弾の加速のために反射衛星砲を使って,ほぼ数秒で加速していたように見えました.一度動き始めたら,回転しながら進むため,遊星爆弾には推進器は付いていないものと思われます.反射衛星砲の加速が1回だけだとすると,この1回の加速で100km/sまで加速しなければいけないので,小惑星に10E18Jくらいのエネルギーを与えることになりますねぇ.計算間違っていないかな.このエネルギーはもとの仮定の3.5E10kgの小惑星の重力結合エネルギーより大きいので,反射衛星砲の照射により遊星爆弾は木っ端みじんに吹き飛びます.シュルツ司令官もびっくり.
というか,冥王星軌道から地球に衝突させるようにコースを設定する方が難しいと思う.