027 芦太川谷津の仲東谷津合流部における横ずれ
花見川流域の小崖地形 その27
海老川乱歩さんから2013.09.15記事「花島断層の水平移動成分は130mもある」に次のコメントがありました。
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海老川(Ebigawa) 乱歩(Ranpo) です。
いやーこの発見は素晴らしいです。
小生もこの領域の、Google map や、国土地理院の空中写真を見ても発見できなかったので、
クーラーさんの地道な調査の成果だと思います。
しかし、このまま素通りはできません。
「2012年7月14日土曜日」の記事で芦太川のずれの距離は、約50m前後のはずです。
この記事では、柏井断層の水平移動成分は、芦太川筋では約150mのズレと記述しています。
この違いの検証は省略すべきではないと思います。
ずれが、約50mから約150mになった原因を説明して頂けないでしょうか。
お願い致します。
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ずれの認識が約50mから約150mに変わった理由を説明します。
1 間違った横ずれの認識
2012.07.14記事「海老川乱歩さんの大発見(!)」では横ずれを次のような方法で計測していました。
まちがった横ずれの計測
米軍空中写真で観察できる芦太(あしだ)川水路のずれが50mあるので、それが断層の横ずれであると考えていました。
これは完全なる間違いでした。一般論として、地史的な時間を考えると水路は谷底の中を曲流しながら絶えず移動しています。従って水路のカーブを断層の横ずれの指標とすることはできません。2012年7月にはこのことに気がついていませんでした。
断層横ずれの指標は同じ年代にできたと考えられる地形や地層の横ずれです。
2 芦太川谷津の横ずれ
次の地図は芦太川付近の旧版1万分の1地形図です。
旧版1万分の1地形図
この地図に芦太川谷津の横ずれを書き込んでみると次のようになり、その値は約150mです。
芦太川谷津の横ずれ
基図は旧版1万分の1地形図
ちなみに、仲東(なかひがし)谷津は断層(柏井断層)線に沿って発達した浸食谷であると考えています。
この芦太川谷津の横ずれ情報を現在の地図に投影すると次のようになります。
芦太川谷津横ずれ情報の現代地図投影
基図は標準地図(電子国土ポータルによる)
なお、150mもの横ずれは当然ながら花見川谷津筋もずらしたのですが、東京湾水系花見川の侵蝕作用と人工改変により地形から横ずれを計測することは、今の調査段階では、できません。
逆に、150mの横ずれを前提にすると、現在の地形の有り様を合理的に解釈できます。
つづく