008 花島小崖の模式地における地質

1 下総上位面の一般的な地層

下総上位面の地層は次の柱状図に示されるように、上から立川ローム層、武蔵野ローム層、下末吉ローム層、成田層から構成されています。

下総台地の柱状図(下総上位面)(杉原 1970)

千葉県の自然誌本編2千葉県の大地から引用

柱状図の位置は2013.04.16記事「小崖地形と地形面との関係」に掲載してあります。

この柱状図のうち、98番(千葉市花見川区天戸町)が花島小崖から南に約1㎞地点と近いことから、これを詳しく見てみます。

下総上位面の地質柱状図(杉原 1970)

下末吉ローム基底部には軽石や粘土層があり、成田層は粒子が均一な砂やシルトから成り、その境は明瞭に把握できることが多いようです。

2 花島小崖付近のボーリングデータ

千葉県地質環境インフォメーションバンクの地質柱状図を検索すると、花島付近に数多くのデータを見つけることができます。

この結果をGIS上でプロットしたものが次図です。

花島小崖付近のボーリングデータ位置図

このうち、31740番データが丁度花島小崖の上にあります。小崖の下には沢山のデータがあります。

余談になりますが、31740番データは現地を見ると、小崖上に鉄筋コンクリート製のトイレがありますので、このトイレ設計のために行ったボーリングであると考えられます。

小崖の上の鉄筋コンクリート製のトイレ

3 地質柱状図から断層の存在を推察する

左に小崖の上の地形面の地質柱状図(1本)、右に小崖の下の地質柱状図(7本)を並べてみました。

この図から、下末吉ローム層基底部と成田層の境の標高が小崖を境にして、距離にして200mも離れていないのに、約3mもの落差があります。

下末吉ローム層基底部と成田層の境は浅海底面が陸化したころの状況を示すものと考えられていますから、地形との対応関係を考慮すると、ここに断層があることが強く推察されます。

地質柱状図から断層の存在が推察される

柱状図は千葉県地質環境インフォメーションバンクから引用

つづく

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