013 花島小崖と芦太川交差部の現在の地形

花見川流域の小崖地形 その13

前報(2013.04.24記事「花島小崖が断層崖である地質証拠」)で示したポンチ絵付近の現在の実際の地形をカシミール3Dで作成した3D地形画像で見てみます。

1 参考図

3D地形画像に入る前に戦後の高度経済成長期以降の顕著な人工改変を知るために使った地図と、現在の地図及び地形段彩図を資料として掲載します。経緯線は2秒間隔で引いてあります。

参考 1917年(大正6年測量)の旧版1万分の1地形図(「大久保」、「三角原」図幅)

参考 1960年航空測量により作成した千葉市都市図14

参考 数値地図2500の情報

主要公共施設、道路、町丁目界等を示す。

参考 地形段彩図

5mメッシュにより地図太郎で作成

標高20m以上を0.5m刻みで段彩してある。

2 3D地形画像

花島小崖と芦太川交差部付近の3D地形画像

カシミール3Dで作成

高さ52mから撮影、高さ強調20倍、立体の刻みは1m単位。

参考図と3D地形画像を比較することによって、著しい盛土地の存在が判ります。これらの著しい盛土地を除いて考えると、花島小崖と芦太川谷津との交差部の本来の地形の姿が現代地形にかなり残されていることが判ります。

3D地形画像説明図

ア 芦太川の3谷津合流部の存在と花島小崖との交差

花見川第三小学校の敷地が顕著な盛土地であり、この部分が3つの谷津が合流する場所であることが判りました。(この場所に五差路があり、2011.12.31記事「谷中分水界と道」でこの場所を谷中分水界と説明しましたが、地形学的には正確な認識でなかったかもしれません。小金牧の馬防土手による盛土があったことも考慮して、後日検証します。)

芦太川の3つの谷津の内、支川谷津Aは花島小崖と交差していないようです。

本川谷津Bは3D画像でみると1mくらいの段差が確認できます。画期的な発見だと思います。今後現場で確認したいと思っています。

支川谷津Cは、盛土が邪魔していますが、花見川小崖によって上流部が低くなったことが明瞭にわかります。これについては旧版1万分の1地形図に凹地等高線として表現されています。

イ花島小崖に沿った東京湾水系谷頭浸食の存在

花島小崖に沿って東京湾水系谷頭浸食が図中で4か所で確認できます。

この付近の地層は下から成田層、下末吉ローム層(下部は粘土層)、武蔵野ローム層、立川ローム層となっていて、何れも地質的には大変柔らかいものです。断層付近に断層粘土層ができて、周辺よりさらに軟弱になり、差別浸食が行われたとも考えられます。しかし、断層線に沿って谷頭浸食が差別的に発生している理由としは根拠が薄弱のようにも感じます。例えば断層に横ずれ成分があれば、浸食谷との交差部では地形的なズレが生じ、そこが浸食発生の新たな場所となることは大いに考えられそうです。断層線に沿った谷頭浸食の存在をきっかけとして、この断層の水平移動成分についても検討を深めたいと思います。

別の角度からみた3D地形画像を参考として掲載します。

花島小崖と芦太川交差部付近の3D地形画像

カシミール3Dで作成

高さ52mから撮影、高さ強調20倍、立体の刻みは1m単位。

花島小崖と芦太川交差部付近の3D地形画像

カシミール3Dで作成

高さ52mから撮影、高さ強調20倍、立体の刻みは1m単位。

つづく

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