安保法の廃棄を求める千代田4大学共同講演会(メモ)

投稿日: Dec 29, 2015 2:23:11 PM

2015年11月14日

安保法の廃棄を求める千代田4大学共同講演会(メモ)

事務局(山根)

「戦争しない、させない、さらにもう一歩前へ」を掲げ、11月14日午後、明治大学リバティータワーで「安全保障関連法」の廃棄を求める千代田4大学共同講演会が開催された。

会場は、高齢者、若者を含め、ほぼ満室の状態で、約230名が参加し、関心の深さが感じられた。司会は、明治大学の現役の学生と名誉教授という取り合わせで始められた。

開会の挨拶では、法政大学の黒田真美子教授が行い、まず、先日の立教大学で予定された講演会が急遽開場変更になったこと、各地で戦争や安保関連の展示の後援などが取り下げられたことなどをとりあげ、この講演会がそのような自粛ムードの中でも開くことができたこと、反安保をあきらめず、粘り強く行動していくことのアピールの一つとして、機会を与えてくれた明治大学の関係者の方々への感謝を述べられた。そして、法政大学においても、「憲法を考える会」が立ち上げられているので、今後も協同していきたいと表明された。また、立教大学から会場変更し、法政大学で行われた「学者の会」の集会には1300人もの参加者があったことを報告、今回の「戦争法」により、軍需産業の動きも含め、戦争がヒタヒタと足音を立ててやってきていると指摘した。さらに、シールズの若者の発言から、反戦の言葉を語り続けることが使命だとすること、希望を語り目の前の絶望を変えられることができること、過去がそれを証明していることなどの言葉に感動したとして、これらの行動が継続していくと確信していると話された。そして、自身の授業の中の学生たちが、政治への不信感を感じているとして、若者たちの真摯な態度に対し、現実に生かしたいと切実に願っていると語り、最後に、世代を越えて反戦の思いをアピールしていきましょう!と力強い言葉で締めくくられた。

開会の挨拶のあと、間宮勇氏「法的安定性と立憲主義」、西川伸一氏「記憶を記録しない『真理省』的状況を考える」と題した、いずれも明治大学教授の講演に移った。

間宮勇氏は、法的安定性に関連して、私法領域における議論では、法的安定性と具体的妥当性の比較考量をしっかり考えていくとしながら、公法領域(憲法)の議論で法的安定性を言うのはなにか変だなという思いをしたとのだと言う。また、立憲主義に関しては、イエーリングの『権利のための闘争』を取り上げ、ここでは、法の確立・維持、権利の獲得・維持のためには戦う必要があるとの内容を説明。平和主義の維持=立憲主義の擁護は憲法の基本であるとした。また、60年安保、70年安保、ベトナム反戦運動などは、平和主義維持の戦いでもあったとする。そして、集団的自衛権と集団安全保障が混同されているとし、集団的自衛権は軍事同盟であることを指摘された。

西川伸一氏は、ジョージ・オーウエルの『一九八四年』(1949)を取り上げつつ、先の参議院安全保障関連法案特別委員会の騒然とした強行採決の模様とその後の鴻池氏の記者団に対する質問に、はっきりと「採決しました。全部可決」と明言したことに触れて、記憶にあるものを記録しないとし、また参議院規則第56条の「委員会においては、その会議録を作成する」、また、158条の「発言した議員は、会議録配布の日の翌日の午後五時までに発言の訂正を求めることができる。但し、訂正は字句に限るものとし、発言の趣旨を変更することができない」という条項に関連させ、その後の朝日新聞(10月14日付)の記事に「参議院事務局によると鴻池氏の判断で最終的に『可決すべきものと決定した』との文言が議事録に追加されたという」ことについて、記憶にないものが記録されてしまったと指摘した。

西川氏のレジメの中に、ジョージ・オーウエル『一九八四年』(ハヤカワ文庫57頁)からの引用がある。

「他の誰もが党が押し付ける嘘を受け入れることになれば――すべての記録が同じ作り話を記すことになれば――その嘘は歴史へと移行し、真実になってしまう。党のスローガンは言う、“過去をコントロールするものは未来をコントロールし、現在をコントロールするものは過去をコントロールすると」

二人の講演のあと、安保関連法に反対するママの会の方のスピーチと、シールズの学生がスピーチを行い、安全保障関連法案への反対の思いを語ってくれた。最後は、明治大学学生の先導による“コール”で締めくくられた。

以 上