「共謀罪」(組織犯罪処罰法改正案)に反対する声明(2017年6月10日)

「共謀罪」(組織犯罪処罰法改正案)に反対する声明

私たちは、「自由と進歩」の学風を誇る法政大学の教職員として、組織的犯罪処罰法改正案、いわゆる「共謀罪」法案に反対します。

この法案では、「組織的犯罪集団」か否かの認定、処罰の根拠となる「準備行為」にあたるか否かの判断も捜査当局によるとされ、担当大臣ですら解釈が二転三転するさまが報じられ、恣意的運用の疑念は深まるばかりです。

とりわけ、適用対象となる法律のなかに、著作権法や特許法など、およそテロ行為とは無関係であるだけでなく学術研究にも影響の大きい法律が含まれていることは、すべての大学人にとって大いなる脅威です。とくに法政大学はさまざまな社会的課題に対して働きかける多くの卒業生を輩出してきたことを思うと、国家権力に不都合なことを計画する集団に関わったと一方的に見なされるだけで処罰されるこの法案には大きな危惧を覚えざるを得ません。国際条約批准のために必要だとされることそのものに疑問が呈されている今、五輪開催を口実に強引に採択すべき法案とは考えられません。

この法案については、対象のあいまいさ、警察権限の濫用への歯止めの欠如など、戦前の治安維持法との共通点が指摘されてきました。法政大学には、まさにこの治安維持法の濫用によって、人民戦線事件などで少なからぬ教員や関係者が検挙された暗い歴史があります。あらためてそのことに思いを馳せ、思想・言論・表現の自由を重視する立場から、この法案に反対を表明します。

2017年6月10日

憲法を考える法政大学教職員の会有志

賛同人 計80名 (6月13日現在。順不同。敬称略。OBを含む)

法学部 屋嘉宗彦、杉田 敦、中野勝郎、建石真公子、山口二郎、衛藤幹子、水野和夫、

浜村 彰、岸井大太郎、明田川融、金子征史

文学部 中沢けい、小林ふみ子、後藤篤子、加納 格、藤村耕治、大沢ふよう、中丸宣明、

小倉淳一、黒田真美子

経済学部 原 伸子、伊藤陽一、竹田茂夫、長原 豊、後藤浩子、大谷禎之介、森 廣正、

村串仁三郎

理工学部 山田啓一、川口悠子、小屋多恵子、栗山一男、横山泰子、渡辺嘉次郎

社会学部 金原瑞人、藤田真文、岡野内 正、愼蒼宇、壽福眞美、大﨑雄二、竪田香緒里

堀川三郎、鈴木宗徳、荒井容子、島本美保子、増田正人、平塚真樹、小林直毅、

国際文化学部 島田雅彦、高栁俊男

人間環境学部 長峰登記夫、西城戸誠、小島聡、武貞稔彦、竹本研史、辻英史

現代福祉学部 馬場憲一、岩崎晋也、水野雅男、伊藤正子、中村律子

キャリアデザイン学部 笹川孝一、児美川孝一郎、佐貫 浩、

研究所 中俣 均(沖縄文化)、橋本美由紀、榎 一江、五十嵐仁(大原社研)

付属中高 岡 稔彦、大庭乾一

職 員 田中義教、山根義雄、山川次郎、兼子修一、永岡秀一、望月正蔵、横内廣隆

鈴木文夫、内川陽子、永岡嘉陽子