この記事は、6人の憲法学者と言語学者から成る「改憲をめぐる言説を読み解くプロジェクト」が6月末に緊急出版した冊子の全文を、同プロジェクト執筆者の許諾を得て、WEB版パンフレットとして公開するものです。


       改憲という空気に流されないために、憲法について考える       

     改憲をめぐる素朴なQ&A     

WEB版パンフレット目次はこちら

はじめに

あまり政治に興味がない人でも「改憲」という言葉を聞いたことがあると思います。18歳から選挙権が使えるようになり、若い人たちにとっても「改憲」は大きな問題です。

しかし7月に行われる参議院選挙において「改憲は争点ではない」とか「機が熟していない」などという報道があります。本当にそうでしょうか。自民党は「争点隠し」をしていると言ってもよいと思います。なぜなら自民党は党結成当初から改憲を目指している党であると公言し、すでに自分たちで憲法草案も作っているからです。漫画のパンフレットを作って改憲の機運を高める活動もしています。ですから、選挙の争点になってもならなくても、「改憲」は常に意識されていると言えます。参議院選の結果次第では一気に「改憲」に進むこともありえるでしょう。

そもそも政治の争点というものは政治家やマスコミが作るものではなく、私たち一人一人が自分で考え自分で作りあげるものです。政治は国会議事堂にあるのではありません。私たちの日々の生活そのものが政治なのです。政治に関わる憲法は私たちの生活にも関わります。

では、私たちは「憲法」や「改憲」についてどのくらい知っているでしょうか。「改憲」という空気が感じられる今、なんとなく耳にする「改憲」の必要性を深く考えずに信じこんでいないでしょうか。私たちも「改憲」について考えてみるときにきています。

そんな気持ちで、社会に広がりつつある「改憲」の言説を、普通の目で改めて眺めてみると、いろいろ素朴な疑問が湧いてきました。「当たり前のように言われているけど、ちょっと考えてみたら変だぞ」とか「現行憲法では無理だというけど、別の方法でちゃんと解決出来るじゃないか」というようなことがいっぱい出てきました。

そこでこのパンフレットを作りました。およそ50個の素朴な質問に対し6人の大学関係者が答えを示しています。質問も短いものですし、答えも長くありません。なるべく難しい専門用語も使わないようにしました。ですので、どのQ&Aも気楽に一気に読んでもらえると思います。また、内容別に構成していますので、どこから読んでもらっても結構です。興味のあるところから読んでみてください。素朴な疑問だけでは物足りない人向けに、後半部分では「自民党改憲草案」についてのQ&Aと解説もつけました。

このパンフレットが、皆さん自身が憲法や「改憲」について考え、自分の中で争点化するきっかけになれば嬉しいです。


改憲をめぐる言説を読み解くプロジェクト 執筆者一覧(五十音順)

石川裕一郎(聖学院大学、憲法学)稲正樹(国際基督教大学元教員、憲法学)神田靖子(大阪学院大学元教員、言語学)志田陽子(武蔵野美術大学、憲法学)名嶋義直(琉球大学、言語学)野呂香代子(ベルリン自由大学、言語学)

2016年6月23日発行 改定版発行6月28日


構成と内容

このパンフレットは以下のような3部構成になっています。第1章は「素朴な疑問」とそれに対する回答です。第2章では現行憲法についてよく言われていることや、自民党が改憲の世論を作るために作成した「漫画政策パンフレット」に書かれていることなどを検証します。第3章は「自民党改憲草案」についての解説です。1,2章はQ&Aの形式になっています。どのような質問が取り上げられているかは、目次を見てください。

1章・・・・・・・「憲法改正」議論についての素朴な疑問について

2章・・・・・・・現行憲法について一般に流布している言説と自民党「漫画政策パンフレット」で説明されていることについての質問集 1. 現行憲法の成立過程と改憲について 2. 現行憲法の内容について(1)軍隊について (2)緊急事態条項について (3)天皇と愛国心について (4)国民の権利および義務について

3章・・・・・・「自民党改憲草案」についての解説


WEB版「改憲をめぐるQ&A」の使い方(読み方)

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